使い方によっては、中小企業の経営改善に大きな威力を発揮する補助制度があります。
この記事のポイントは以下です。
☑ 専門家を活用した経営改善計画策定事業には、405事業とポスコロ事業がある。それぞれの事業で以下記載の通り、特徴が異なるので、状況にあった活用が大切。うまく使わないとコストと時間が無駄になる。
☑ 405事業は、ポスコロ事業の最大12倍の予算規模である(ただしいずれも【通常枠】の場合)。
☑ 事業の一番の違いは、金融支援がセットになっているか、なっていないか、である。
☑ しかしながら、令和6年3月~ポスコロの計画書が日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの申込に利用できるようになった。
以下の内容をチェックして、自社に使えそうか、検討してみてください。
【目次】
経営改善計画策定支援事業。。。通称405事業。
当初事業ができたとき(2013年3月)405億円の予算がついたため、そう呼ばれています。
早期経営改善計画策定支援事業。。。通称ポスコロ事業。
ややハードルが高い405事業を使いやすくするために、考案された事業です。今年(2017年)5月から開始されました。使い勝手の良さから、事業申請が増加している模様です。
405事業、ポスコロ事業、どちらも経営計画を策定する場合、要件を満たせば、2/3上限に計画策定費用とモリタリング費用(事業者が認定支援機関に支払うコンサルフィー)に対して、補助金が支給されます。
違いは、以下のようなことです。
①補助事業規模
〈405事業〉
・企業規模・借入規模に応じて最大450万円(うち自己負担は1/3、補助金負担は2/3)。
〈ポスコロ事業〉
・最大37.5万円-405事業の1/12(うち自己負担は1/3、補助金負担は2/3)。
【参考】405事業、ポスコロ事業の申請方法(中小企業庁オフィシャルサイト)
②金融機関との関係
〈405事業〉
・申請はメインバンク、企業、認定支援機関(行政から認定されている士業等)の3者連名。
・金融支援がセット。
・融資取引金融機関全部から計画に対する同意書要。
・策定後3年間のモニタリング期間に事業進捗を報告義務(最低年1回)あり。
〈ポスコロ事業〉
・申請は企業と認定支援機関の連名。メインバンクには計画策定の事前報告。
・金融支援は求められない。
・モニタリングは、2回程度を想定。
③申請企業のメリット
〈405事業〉
・金融支援(新規融資や元金返済猶予等)がセットになっており、計画の同意を得られれば、資金面での不安が低減する。
・計画の実施、定期報告により、取引金融機関との信頼関係が深まる。
〈ポスコロ事業〉
・金融支援がセットでないため、計画策定のハードルが下がる。
・比較的低予算で、専門家の支援が受けられる。(専門家の力量を測ることが出来る)。
・低予算で、自社の方向性を書面に落とし込むことが出来る。
・短時間で計画策定ができる。
④申請企業デメリット
〈405事業〉
・がっつり計画を作り込む必要があるので、時間と費用がかかる。
・費用対効果がイメージしづらい(支援専門家の力量が分からない)。
・計画に縛られ、柔軟な事業実施が難しくなる。
〈ポスコロ事業〉
・金融支援がセットにならないため、策定のメリットが分かりづらい。
(ただし、令和6年3月~日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの申込みに活用できるようになった)。
⑤認定支援機関(計画策定を支援する士業等)
〈405事業〉
・すべての金融機関の同意が必要なので、ハードルが高い。(金融機関の考え方、要望を満たす計画書が必要)。
・計画策定後もモニタリング期間が長く、計画の妥当性・責任を長期間に渡り追及される。
・計画書の質とボリュームが求められるため、スキルと時間が必要。
・予算規模が比較的大きいので、事業としては魅力。
〈ポスコロ事業〉
・金融機関をあまり気にせず、事業者支援ができる。
・税理士等の場合は、記帳・決算処理業務以外の付加価値サービスとして位置づけできる。
・予算規模が小さいので、クライアントに勧めやすい反面、事業としてのうまみは少ない。
⑥事業申請・実行までの流れ(案件の掘り起こし方)
〈405事業〉
・メインバンク主導。メインバンクが経営改善および金融支援が必要でかつ、自社が今後再生支援していく方針の取引先をリストアップ。実績、経験が豊富な専門家を企業に紹介する。
・一方、経験が浅く金融知識が少ない士業等の認定支援機関が、クライアントを説得して申請してくることがある。その際は、計画書の品質に対して全金融機関から同意が得られなかったり、実態をよく分析できていない机上の計画になったりして、効果が得られない可能性があるので注意が必要(事前にメインバンクが認定支援機関を確認しておく)。(ちなみに当事務所が作る経営改善計画書はこんな感じで作ります)。
〈ポスコロ事業〉
・士業等の認定支援機関がクライアントに提案し、申請が多い様子。逆に金融支援が必須でない分、金融機関から企業への提案は、少ないかも。(融資が絡まないこともあるので、金融機関が企業に提案するインセンティブが少ない)。
以上、405事業とポスコロ事業の違いと使い方について、まとめてみました。
令和6年3月に大きな政策変更がありました。
ポスコロで作成した事業計画を日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの申込みに利用できるようになったのです。
ポスコロのデメリットは、融資と直接結びついていないことでした。
今回の変更でその点が改善されました。
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早期経営改善計画策定支援事業を利用した、日本政策金融公庫のコロナ資本性劣後ローン申込時の計画策定支援について
資本性劣後ローンについては、以下の記事に詳しいので参考にしてください。
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