・バックナンバー
【事業デューデリ編】
① 経営再建計画が必要な状態とは?こちら
② 経営再建計画は「デューデリ」が8割 こちら
③ 事業デューデリ:うち内部環境分析 こちら
④ 事業デューデリ :外部環境分析はこれだけやれ こちら
⑤ 事業デューデリ:SWOT分析。不都合な真実と有効化の方法 こちら
⑥ 事業デューデリ:経営課題抽出は再建を左右する こちら
⑦ 事業デューデリ:損益イメージを共有せよ! こちら
【アクションプランと数値計画編】
⑧ アクションプランと数値計画:作成の流れと良い計画 こちら
⑨ アクションプランと数値計画:減価償却と設備投資計画 こちら
⑩ アクションプランと数値計画:リース支払計画と人件費計画 こちら
⑪ アクションプランと数値計画:計画0年目 損益計画着地見込みの作り方 こちら
アクションプランと数値計画の第5回目。
今日は、「アクションプランと数値計画:販管費計画作成のポイント」の話をします。
販管費とは、決算報告書損益計算書の後のページにある「販売費及び一般管理費」のことです。
略して「販管費」と言われていますので、この記事でも「販管費」として話を進めていきます。
ざっくりいうと、製造や建設現場以外の営業事務部門の人件費や営業経費、事務所経費などのことです。
役員報酬もここに含まれます。
経営再建計画では、この販管費の内容を分析して、どの項目にどれだけの予算を配分していくか、またどの項目をどれだけ削減していくかを検討していきます。
販管費計画を作成するにあたり、ベースとなる数値は前期実績と0年目着地見込みです。
例えば12月が決算なら、前期実績は令和5年12月期、0年目着地見込みは令和6年12月期となります。
上記の分析は、事業デューデリの内部環境分析のパートで完了させておきます。
【参考記事】事業デューデリ:うち内部環境分析 こちら
ポイントは、総勘定元帳を確認して、各勘定科目ごとに内訳をつかんでおくことです。
もちろん、販管費計画の実績、0年目見込みは、前回説明した「計画0年目 損益計画着地見込みの作り方」の数値と合致させます。
私は販売管理費計画を作成する際、以下の様なフォーマットを使います(パソコンで閲覧の方は、表のうえでクリックすると拡大します)。
上記のフォーマットで販管費計画を作成する際のポイントは以下です。
① 令和5年12月期の内訳を記載すること(茶色塗りの列)
・現況が分からないと計画は作れない
② 数値根拠、削減の内容、追加の内容を記載すること(一番右の茶色塗りの列)
・アクションプランと内容を合わせる
③ 令和5年12月期(実績)の差額を記載すること(青塗りの列)
・会社としてどの項目をどれだけの経費削減を行うか、数値で示す
④ 経営再建アクションプランを実施するにおいて、追加の販管費を記載(黄色塗りの列)
・経費削減するだけでなく、追加投資が必要な場合もあり
私は今までコンサル活動13年間で、数十社(30社までは数えましたが、それ以降は数えていません)の経営再建計画策定を支援してきました。
その経験上、販管費計画数値決定において、注意が必要な勘定科目を以下抜き出します。
① 役員報酬
・業績や業務内容に応じた役員報酬設定になっているか
・赤字なのに役員報酬を高く設定、または生活ができないほどに低く設定し会社から生活費を持ち出し
【参考記事】赤字会社の役員報酬~役員報酬の決め方、変更の手順~
② 旅費交通費
・無駄な出張旅費がないか
・営業のための旅費は予算化されているか
③ 接待交際費
・適正な予算組ができているか
・業務に直接関係のない飲み食いや贈答が含まれていないか
・売上規模と比較して過大ではないか(年商5億円以内までの中小企業の場合、年間100万円を超えるようなら、精査が必要かもしれません)
【参考記事】赤字なのに役員報酬、接待交際費が多額
④ 賃借料(リース代)
・ 華美な営業車両など、不要なリースはないか
・ 割高なリース契約はないか
⑤ 支払手数料
・ コンサルなどに実績に見合わない過大な顧問・コンサル報酬を支払っていないか
・ 税理士顧問報酬は過大でないか(会社規模・作業状況によりますが、中小企業の場合、1社年間100万円を超えると適正価格かどうかの精査が必要かもしれません)
⑥ 保険料
・ 保険料支払い価格は適正か、必要な保険か
・ 期末に節税対策のため不要な保険に入っていないか
⑦ 広告宣伝費
・ 費用対効果は適正か
・ コンサルティング会社に丸投げし、広告予算が膨らんでいないか
・ デジタル広告は投入した予算分の成果が出ているか
【参考記事】広告宣伝費の売上割合の考え方
⑧ 地代家賃
・ 都市圏などに成果の出ない営業所などを借りていないか
・ 不要な倉庫などを借りていないか
・ 親族への家賃支払いは適正か
⑨ 販売手数料
・ 販売先ごとの手数料設定は適正か
⑩ 雑費
・ 雑費で一括りにして無駄な経費支出が含まれていないか
経営再建計画は、自社の事業継続のために作成するものです。
主要債権者である金融機関の反応は重視する必要があります。
金融機関は、販管費計画数値を見て、会社が本気で経営再建に向かうのかどうか、判断材料としています。
そして、経営再建にとって最も重要な関係者は社員です。
社員を巻き込み、会社一丸となって、再建に取り組まないと効果は薄れます。
社員は社長の経費の使い方を、社長が考える以上によく見ています。
社員がどう感じているか、、、。
販管費計画にはそうした視点も必要なのです。
【参考記事】「社長だけ贅沢」を社員は見ている
以上、「アクションプラン&数値計画:販管費計画作成のポイント」について、お話しました。
今後の貴社の財務改善にお役立ていただけますと幸いです。
次回は、アクションプラン&数値計画「製造原価計画」についてお話ししていきます。
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