アクションプランと数値計画の第2回目。
今日は、「アクションプランと数値計画:減価償却と設備投資計画」の話をします。
【バックナンバー】
経営危機を乗り越える!経営再建計画の作り方|⑧アクションプランと数値計画:作成の流れと良い計画
「アクションプランと数値計画」は、労力を費やした「デューデリ」の延長線上にあります。
とはいえ、結構な工数がかかるのも事実です。
どこから手を付ければ良いのか?
私の場合は、まず減価償却予定を作ります。
減価償却予定を作る際には、以下の様なフォーマットを使います。
以下フォーマットに基づき、作成手順を説明していきます。フォーマットを確認しながら、読み進めて下さい。
【減価償却明細と設備投資計画フォーマット】※表のうえでクリックすると拡大します
まず、平均償却率を計算します。フォーマットで言えば、①の部分です。
償却限度額を直近実績の期首簿価で割って算出します。
①償却限度額÷期首簿価
ちなみに、償却限度額は決算報告書の「別表十六(一)、十六(二)減価償却資産の償却額に関する明細書」に記載されています。
決算報告書「別表十六」については以下の記事で説明していますので、参考にしてください。
【参考記事】決算報告書「別表十六」の見方
フォーマット②のように0年目期首簿価を転記します。
次に、1年目期首簿価(0年目期末簿価とイコール)を計算します。
0年目とは今期のことです。
●年●期実績とは、前期のことです。
今期(1年目期首=0年目期末)の固定資産の簿価は、まだ確定していませんので、計算します。
0年目期首簿価×償却率=0年目償却額
フォーマットの「既存建物」のケースで言えば、6,550千円×0.0643=421千円が0年目償却額(フォーマット③)です。
1年目期首簿価は、
0年目期首簿価-0年目償却額で算出されます。
上記、既存建物のケースで言えば、6,550千円-421千円=6,129千円が1年目期首簿価(=0年目期末簿価:フォーマット④)となります。
こうして、0年目の償却額と1年目の期首簿価が計算されます。
0年目償却額合計は、フォーマット⑤の914千円となります。
1年目の期首簿価合計は、フォーマットの⑥の8,336千円となります。
後の工程になりますが、⑤914千円はPL計画の減価償却費の、⑥8,336千円は個別資産ごとに分割されてBS計画の計算根拠となります。
事業デューデリの中で、「経営課題の抽出」と「改善の方向性提示」がすでに終了しています。
例えば、
✔ 設備が老朽化して更新が必要
✔ 営業車両や運搬用車両の購入が必要
✔ 工場のリフォーム工事が必要
など、設備投資案が検討されています。
上記フォーマットでは5ヵ年計画としています。どのタイミングで、どんな設備投資をいくら実施するのか、記載します(フォーマットの⑦)。
事例では、2年目期首に7,000千円の生産性向上設備を投入することとしています。
事業デューデリで、今後の設備投資計画をしっかり検討しておくことが大切です。
上記のように、手順1~手順4の流れで、「減価償却費計算」と「設備投資計画」を作成します。
このフォーマットで計算された数値は、後の「PL計画」「BS計画」「CF計画」「金融支援計画」「タックス計画」「不良資産削減計画」にリンクしていくのです。
以上、「アクションプラン&数値計画:減価償却と設備投資計画」について、お話しました。
今後の貴社の財務改善にお役立ていただけますと幸いです。
次回は、アクションプラン&数値計画「リース支払計画」についてお話ししていきます。
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