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経営危機を乗り越える!経営再建計画の作り方|⑩アクションプランと数値計画:リース支払計画と人件費計画

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【事業デューデリ編】
① 経営再建計画が必要な状態とは?こちら
② 経営再建計画は「デューデリ」が8割 こちら
③ 事業デューデリ:うち内部環境分析 こちら
④ 事業デューデリ :外部環境分析はこれだけやれ こちら
⑤ 事業デューデリ:SWOT分析。不都合な真実と有効化の方法 こちら
⑥ 事業デューデリ:経営課題抽出は再建を左右する こちら
⑦ 事業デューデリ:損益イメージを共有せよ!  こちら

【アクションプランと数値計画編】

⑧ アクションプランと数値計画:作成の流れと良い計画 こちら
⑨ アクションプランと数値計画:減価償却と設備投資計画 こちら

 

アクションプランと数値計画の第3回目。

今日は、「アクションプランと数値計画:リース支払計画と人件費計画」の話をします。

 

リース物件ごとに支払計画を作る

販売管理費計画に将来のリース料を記載する際、「過去の実績がこうだから、今後の計画は同金額程度にしておこう」。

こうして過去と横並びのリース金額を記載する。そうした対応を取っていることがあるかもしれません。

これを根拠のない数値計画と言います。

リース物件が2~3件で、かつ年間支払金額が100万円以下など少額なら、こうした数値設定でも影響は少ないかもしれません。

しかしそれ以外なら、リース物件ごとに毎月支払金額、リース終了時期を調査し、正確なリース支払計画を作成します。

私は以下の様なフォーマットを使い、リース支払計画を作ります(表のうえでクリックすると拡大します)。

リース支払計画フォーマット

この表を作成するためには、事業デューデリの内部環境分析のパートで、リースの内容についてすべて把握しておく必要があります。そのためリース料の明細表を事業デューデリの際、集めます。

この表で、例えば3年計画の場合なら、リース支払金額の0年目合計、1年目合計、2年目合計、3年目合計金額が分かりますので、販売管理費計画や製造原価計画のリース料または減価償却費の欄に転記します。

 

リース支払計画作成の注意点

作成にあたり、2つ注意ポイントがありますので、説明します。

① 消費税込みか消費税抜きか
・決算書が、消費税抜き方式か消費税込み方式か確認して、数値計画(リース支払計画)においても計上方法を統一します。

② リース物件の計上方法
リース物件が決算処理として、「資産計上されて減価償却されているか」または「資産計上されずにリース料として経費処理されているか」確認します。
・減価償却処理なら、販管費や製造原価報告書の減価償却費として計上します(この場合、長期未払金、固定資産、現預金も動きますが、仕訳について今回は割愛します)。
・リース料としての処理なら、販管費や製造原価報告書のリース料で計上します。

 

人件費計画は部門ごとに作る

販売管理費計画に将来の人件費を記載する際、「過去の実績がこうだから、今後の計画は同金額程度にしておこう」。

こうして過去と横並びの人件費を記載する。そうした対応を取っていることがあるかもしれません。

これを根拠のない数値計画と言います。

人件費は数値計画にとり、最重要部分です。

今後のアクションプランと密接に結びつきます。

部門ごとや支店ごと、会社にとって把握しておきたい切り分けで人件費計画を作成します。

こうしておくことで、数値計画において重要となる、「部門別数値計画」「店舗別数値計画」の作成がスムーズに進みます。

私は以下の様なフォーマットを使い、人件費計画を作ります(表のうえでクリックすると拡大します)。

人件費計画フォーマット

この表を作成するためには、事業デューデリの内部環境分析のパートで、部門ごとの人件費の内容について、すべて把握しておく必要があります。そのため人件費の明細表を事業デューデリの際、集めます。

この表で、人件費金額の0年目合計、1年目合計、2年目合計、3年目合計、4年目以降の金額が分かりますので、販売管理費計画や製造原価計画の役員報酬や給与額の欄に転記します。

 

法定福利費を忘れない

人件費には、役員報酬、給与等の支払いのほかに、法定福利費があります。

法定福利費とは、社会保険、雇用保険、労災保険の会社負担分です。

社会保険は基本的に社員と会社の折半となっています。雇用保険は会社負担が多く、労災保険は会社負担です。

法定福利費の計画数値は、過去の決算を参考に比率で算出します。

仮に、直近期実績: 法定福利費÷人件費(役員報酬+給与+雑給など)=0.15とします。

その場合、上記人件費計画の合計値に0.15をかけたものが、法定福利費の計画値となります。

 

人件費計画はアクションプランとリンクさせる

人件費は、数値計画の中で最も重要な部分であると説明しました。
アクションプランとリンクさせる必要があります。

事業デューデリにおいて、人件費について、課題と方向性が浮かび上がっているはずです。

人件費計画に反映させます。

✔ 販管費の削減のため、役員報酬のカットが必要

✔ 今後〇〇部門の業績を伸ばすためには、人材確保が必要。そのため〇〇部門の人件費予算を○○%拡大する

✔ 今後△△部門は時代の流れで縮小していく。そのため退職者の補充をしない。△△部門は3年目から人件費予算を○○%削減する

✔ 組織体制の再編で全体の社員数を減らす。人件費総額を○○%削減する

✔ 個別には賃上げが必要で、一人当たり人件費は増やす

例を挙げましたが、こうした人事部門のアクションプランを人件費計画に反映させます。

 

金融機関は役員報酬を重視する

人件費計画の中で、債権者である金融機関が重視するのが、役員報酬です。

経営再建計画を策定するのは、ほとんどが「融資先金融機関からの要請」が理由です。

融資先会社の経営不振により、金融機関側は、「経営再建計画を提出してもらえないと今後継続支援ができない」と考えています。

このステージに陥っている会社は、金融機関から継続支援が受けられないと資金繰りが回らず、事業継続が難しくなります。

そのため、経営再建計画提出を求められる状況は、非常に切迫した状況と言えます。

経営者は、まずそのことを認識する必要があります。

金融機関は、役員報酬が適正なのか、厳しく見てきます。

経営者自身が経営責任を取り、真摯に経営再建に向き合っていくのか、確認したいのです。

 

役員報酬をいくらに設定するか

とはいえ、役員報酬は無造作に切り詰めればいいとは私は考えません。

役員の家族構成、生活費、住宅ローン教育ローンの支払い、過去の支給実績、業務負担、など多方面から判断して、役員報酬を決めていきます。

経営不振で報酬カットが必要といっても、年金の支給が始まっていなければ、300~400万円では生活が苦しくなるでしょう。会社の事業規模や傷み具合にもよりますが、500~600万円程度は確保したいものです。

【参考記事】赤字会社の役員報酬 ~役員報酬の決め方、変更の手順~

 

「今後の計画により金融機関借入金をどのように返済していくか」も、役員報酬金額決定に関係してくると思います。

役員報酬の金額が生活が難しくなるほど低くて、結果的に会社から持ち出しが発生する(会社のお金を生活費として使いこむ)と本末転倒です。

ただし、一度提出した役員報酬の支給計画を再建計画期間の途中で(利益が予想以上に出そうだとして)、増額することには金融機関は難色を示します。

一方、再建計画実績数値が下振れして、役員報酬を減額することには同意します。

以上のようなことに注意しながら、役員報酬額を設定します。

以上、「アクションプラン&数値計画:リース支払計画と人件費計画」について、お話しました。

今後の貴社の財務改善にお役立ていただけますと幸いです。

次回は、アクションプラン&数値計画「計画0年目 着地見込みの作り方」についてお話ししていきます。

 

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ご覧いただきありがとうございました。

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