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部門別採算管理の始め方|採算表の作り方と赤字部門の判断

「忙しいのに利益が残らない。どの商品や部門から見直せばよいのだろう?」

「部門別の利益を計算したいが、本社経費や人件費をどう分ければよいか分からない」

「赤字部門は撤退すべきなのか。やめた後、本当に会社の利益は増えるのだろうか?」

部門別採算管理は、売上と費用を事業・商品・取引先等に分け、改善すべき点を見つける方法です。まず限界利益と部門固有の固定費を確認し、本社などの共通費を配賦した後の利益まで段階的に見ます。撤退は赤字額だけで決めず、失う利益・減らせる費用・他部門への影響を比較します。

愛媛を拠点に全国の企業を支援する和田経営相談事務所では、採算表を経営判断に使える形にすることを重視します。「売上が大きいから主力」「配賦後に赤字だから撤退」と結論を急がず、数字の中身と現場の事情を確かめましょう。

採算管理強化

採算管理を始めるときは、自社のどの単位を比べるか、何の判断に使うかを先に決めます。

部門別採算管理で分かること・分からないこと

全社の黒字だけでは、どの事業が利益を支え、どこで費用が増えたかは分かりません。部門別に分けることで、値上げ、作業改善、人員配置、投資・縮小の検討材料が得られます。現場責任者と予算・実績を共有すれば、改善行動も具体化できます。

ただし、採算表は利益の分析です。売掛金回収、在庫、設備代金、借入元金返済などを含む現金の動きとは一致しません。手元資金が減る原因の整理は、黒字なのに現金がないのはなぜ?原因の見分け方と資金繰り改善策で確認してください。

自社に合う採算管理の切り口は7つ

最初から全種類を作らず、経営上の疑問に合う一つを選びます。会社に正式な「部門」がなくても、商品群や案件単位から始められます。

  1. 商品・サービス別:販売数量、単価、材料・外注費、作業時間を比べ、価格や提供方法を見直す。
  2. 事業・部門別:小売・卸・不動産等の事業ごとに、専属の人員・設備費と利益を把握する。
  3. 取引先別:値引き、配送、追加対応、手直しまで含め、取引条件の改善を検討する。
  4. 店舗別:家賃、人件費、営業時間、客数を確認し、出店・改装・縮小の判断に使う。
  5. 車両・重機別:稼働、燃料、修繕、償却費を把握し、更新・外注・売却の選択肢を比べる。
  6. プロジェクト・工事別:予算と実績、追加作業、完成までの見込原価を追い、赤字の拡大を防ぐ。
  7. 担当者別:担当業務と投入時間を把握する。営業支援・育成等の役割も確認し、売上と人件費だけで人事評価を決めない。

部門別採算表を作る5つの手順

手順1:対象と期間をそろえる

例えば「主力3商品」「上位5社」「2つの店舗」を選び、同じ月・同じ集計範囲で比較します。季節差がある場合は前年同月も見ます。売上台帳、仕入・外注明細、給与・勤怠、作業日報、固定資産台帳等から、必要な情報を集めます。

入金額ではなく売上と、それに対応する費用を集計します。期末在庫や仕掛品、未払費用、部門間取引も確認し、単純な入出金の差を部門利益としないでください。

手順2:部門に直接ひもづく費用を集める

専用材料、案件別の外注費、専属社員の給与、店舗家賃など、帰属が分かる費用はその部門へ直接集計します。複数部門を担当する人の費用は、作業時間等の根拠に基づいて分けます。同じ給与を製造原価と販管費に二重計上しないようにします。

「直接費・間接費」と「変動費・固定費」は別の区分です。店舗専用の家賃はその店舗の直接費ですが、売上が減っても契約上発生する間は固定費です。

手順3:限界利益と部門の貢献利益を分ける

限界利益=売上高-変動費
部門の貢献利益=限界利益-部門固有の固定費
配賦後利益=部門の貢献利益-共通費の配賦額

変動費は、販売量・生産量等に応じて増減する費用です。材料費や販売数量に連動する手数料等が該当します。固定費との区分は、費目名だけでなく自社の契約・働き方・分析期間から決めます。

ここでは、本社共通費を負担する前に部門が残す利益を「部門の貢献利益」と呼びます。一方、粗利は「売上高-売上原価」です。製造業の売上原価には固定的な人件費・減価償却費も含まれるため、粗利と限界利益を同じものとして扱いません。

減価償却費を含めて赤字でも、それだけで限界利益がマイナスとは言えません。まず、どの段階で不足しているかを確認します。

変動費・固定費・限界利益の基本は、中小機構J-Net21「損益分岐点の計算方法と経営改善に向けた活用方法」も参照してください。

手順4:共通費の配賦基準を明示する

配賦とは、本社管理費や共用設備費等を各部門へ割り当てることです。共用スペースなら使用面積、事務作業なら処理件数や時間など、費用の発生と関係する基準を選びます。売上比を使う場合も、その基準が適切か確認します。

基準は継続して使い、変更時は理由と影響を記録します。共通費を無視せず、配賦前と配賦後を両方表示してください。部門合計から全社共通費を引いた利益を、同じ範囲の試算表と照合し、未配賦や重複を残さないことが大切です。

手順5:予算との差を、担当者と行動へつなげる

前月・前年・予算と比べ、販売数量、単価、材料単価、作業時間、手直し、稼働率等へ原因を分解します。「利益率が低い」で終えず、「見積もりに含めていない追加作業を有料化する」など、担当者・期限・期待効果を決め、翌月の実績で確かめます。

時間に制約がある現場では、利益率だけでなく、制約となる機械や人の1時間当たりの限界利益も比較します。ただし、受注見込みや品質・納期を犠牲にした配分にはしません。

計算例:配賦後に赤字でも、撤退で利益が減る場合

以下は、考え方を確認するための別の数値例です。X・Yの2部門があり、1か月分の営業損益を万円単位で示します。金額は売上と対応する費用として集計し、利息・税金等は含めません。

部門別採算表の記入例(単位:万円/月)
項目 X部門 Y部門
売上高 800 500
変動費 480 300
限界利益 320 200
部門固有の固定費 200 150
部門の貢献利益 120 50
共通費の配賦額 100 80
配賦後利益 20 −30

全社利益は120+50-共通費180=マイナス10万円です。ここでY部門の赤字30万円だけを見て撤退を決めると、判断を誤る場合があります。

Yの売上500万円と変動費300万円がなくなり、固有固定費150万円も全額なくなる一方、共通費180万円とXの損益は変わらないと仮定します。撤退後の全社利益は120-180=マイナス60万円。失う限界利益200万円に対して減らせる固定費は150万円なので、利益は50万円悪化します。

これは撤退時の一時費用や代替受注を含めない比較です。現実には配置転換後も給与が残る場合や、賃貸借の解約まで時間がかかる場合があります。減らせる費用を時期別に確認し、解約費、設備処分、代替事業の利益も加えて比較します。

この例は赤字を放置してよいという意味ではありません。値上げ、工程改善、共通費の見直し、他事業への転用、縮小・撤退を比べ、全社で改善する方法を選ぶためのものです。

モデルケース:採算と顧客関係を一緒に見る

以下は判断のポイントを説明するモデルケースです。実際の企業の業績をそのまま示すものではありません。

部品メーカーA社:主力製品の作業負担を確認する

売上の7割を占める主力製品があるA社は、材料・外注費に加え、作業時間、人件費、設備費を製品・取引先別に整理しました。その結果、主力製品の価格では原価を十分に賄えていないことが分かりました。

このモデルでは、原価の根拠を示して価格交渉を行い、一部製品の受注を見直し、採算のよい製品へ生産余力を振り向けることで改善につなげています。実行時は、固定費がどこまで減るか、代替受注があるか、特定顧客への依存が高まらないかも確認します。

IT企業B社:小規模案件が次の受注を支えていた

B社は利益率の低いサイト改修をやめ、大規模開発に集中しました。しかし、小規模案件は顧客が対応力を確かめる入口であり、その後の大型受注につながっていました。このモデルでは、1年後に大型案件が減少しています。

継続率、追加受注、紹介、保守負担まで取引先単位で追うと、単発案件の利益率では見えない役割が分かります。「将来につながるはず」で採算悪化を放置せず、効果を確認する期間と見直し基準を決めましょう。

銀行には採算表と、改善後の資金計画を示す

銀行への説明では、集計範囲・配賦基準、採算が悪化した原因、具体策と実行時期、全社利益への影響を示します。採算表だけで融資が決まるわけではなく、資金使途や返済可能性等も確認されます。

回収までの運転資金、投資・撤退の支出、元金返済を反映し、資金繰り表の作り方|実績と予定をつなぐ5つの手順へつなげてください。利益の改善額を、そのまま現金の増加額として説明しないことが重要です。

必要な全社利益から部門の目標を考える場合は、目標利益の決め方|借入返済・設備投資・手元資金から逆算するが参考になります。事業全体の調査が必要なら、【経営改善計画の要】「デューデリジェンス」の正しい進め方(2026年度版)で現状分析の進め方を確認できます。

AI経営参謀で、採算管理の始め方を整理する

直近2期分の決算書をご用意ください。付属の明細も一緒に送れます。部門別資料がなくても、まず全社の利益・費用の変化から整理し、追加情報は必要なものから順に確認します。

  1. 画面右下のチャットを開く。
  2. クリップから2期分を添付する。PDF、Excel(.xlsx/.xls)、JPG・PNG画像に対応。スマートフォンのPDF・Excelはファイルの選択画面から送ります。
  3. 次の質問をコピーして送る。

添付した直近2期分の決算書から、利益と費用の変化を整理し、採算管理で優先して確かめる点を教えてください。部門別資料がなければ、赤字部門や商品別利益を推測しないでください。変動費・固定費の区分や配賦基準は確認し、不足情報を一つずつ質問したうえで、最初に作る採算表の切り口を提案してください。

全社の決算書だけで部門別採算や撤退の可否は確定できません。AIは一次整理に使い、担当者への確認と実際の取引データを基に判断します。

取り扱う権限のある自社資料を使用し、不要な個人情報は除いてください。情報の取扱いはプライバシーポリシーをご確認ください。

一つの切り口から、使い続けられる採算管理へ

まずは一つの部門や商品群を選び、数字の根拠を確かめ、改善を一つ実行します。翌月の結果を確認する流れを続けることが、採算管理を定着させます。

部門別の利益構造や費用の分け方を整理し、経営判断に使える管理体制を作りたい方は、和田経営相談事務所の初回30分無料相談をご活用ください。返済猶予等を伴う再建が必要な場合は、まずメインバンクと金融支援の方向性をご相談ください。

実態に基づく改善を支援します。粉飾の隠蔽や虚偽説明を目的とするご相談はお受けしていません。

「部門別採算管理の始め方|採算表の作り方と赤字部門の判断 」
ご覧いただきありがとうございました。

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