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【黒字なのに現金がない!】なぜ?会社のお金が足りない3つの原因と対策(2025年版)

「損益計算書(P/L)は黒字なのに、なぜか月末になると会社の現金が足りない…」

「利益は出ているはずなのに、資金繰りがいつも苦しいのはどうして?」

「『黒字倒産』なんて言葉も聞くけど、うちの会社は大丈夫だろうか…」

経営者の皆様、このような**「黒字なのに現金がない」**という状況に、疑問や不安を感じたことはありませんか? 多くの会社、特に成長期の中小企業などで見られるこの現象は、放置しておくと深刻な資金ショート、いわゆる「黒字倒産」のリスクにも繋がりかねません。なぜ、利益が出ているはずの会社で現金がないという事態が起こるのでしょうか?

この記事では、中小企業支援の専門家として、「黒字なのに現金がない」(=会社 現金がない)という状況がなぜ発生するのか、その主な3つの原因と、資金繰りを安定させるための具体的な対策について、分かりやすく解説します。
黒字なのに現金がない

【はじめに】利益と現金は別物!

まず大前提として理解しておくべきことは、**「会社の利益(損益計算書上の黒字)と、会社の現金(手元資金)の増減は、必ずしも一致しない」**ということです。会計上の利益には、まだ現金化されていない売上(売掛金)や、現金の支出を伴わない費用(減価償却費など)が含まれる一方、現金の支出には、経費にならない支払い(借入金の元本返済など)も含まれます。

このズレが、「黒字なのに現金がない」という状況を生み出す根本的な理由です。資金繰り表を作成してみると、利益はプラスでも、キャッシュフロー(現金の流れ)がマイナスになっていることがよくあります。

原因①:事業成長に伴う運転資金の増加

会社が成長し、売上が順調に伸びている時にも、「黒字なのに現金がない」状況は発生しやすくなります。これは一見「嬉しい悲鳴」ですが、注意が必要です。

売上増 ≠ 現金増 のメカニズム

・仕入・経費の先行: 売上が増えれば、それに伴い商品の仕入や材料費、人件費、外注費などの支払いも増加します。多くの場合、これらの支払い(現金の支出)が、売上代金の回収(現金の収入)よりも先に発生します。

・売掛金・在庫の増加: 売上が増えれば、売掛金(未回収の売上代金)や在庫(販売前の商品・材料)も増加する傾向にあります。これらは貸借対照表上は「資産」ですが、現金化されるまでは会社の現金が増えるわけではありません。 むしろ、在庫を仕入れるためにお金(現金)が出ていきます。

このように、事業が成長する過程では、利益が生まれるサイクルよりも早く現金が出ていくため、一時的に運転資金が不足し、現金が足りなくなるのです。これは前向きな理由による資金不足ですが、手当て(例:銀行からの運転資金融資など)を怠ると、成長のボトルネックになったり、資金ショートを招いたりする可能性があります。

原因②:決算書(貸借対照表)に隠れた問題

損益計算書(P/L)は黒字でも、貸借対照表(B/S)の資産内容に問題があると、会社の現金はどんどん減っていきます。

回収されない売掛金

売上は計上され、利益も計算上は出ていますが、その代金である**売掛金が期日通りに回収できていない、あるいは貸倒れ(回収不能)**になっている場合、会社の現金は増えません。むしろ、その売上にかかった仕入代金や経費だけが出ていくことになります。

不良在庫の滞留

売れる見込みのない商品や材料(不良在庫・デッドストック)が倉庫に眠っていませんか? 在庫は仕入れた時点でお金(現金)が出ていきます。それが売れて現金収入に変わらなければ、在庫という「資産」が増える一方で、会社の現金は減り続けます。 定期的な棚卸と、不要在庫の処分が必要です。

[関連記事:決算書を理解する – 在庫と利益とお金の関係]

経費にならない「現金」の社外流出(役員貸付金など)

これは中小企業で特に注意が必要な点です。社長や役員が、会社の現金を個人的な用途(生活費、住宅ローンなど)に使用したり、使途不明な出金があったりする場合、それらは経費(損金)にはならず、「役員貸付金」などの資産勘定で処理されることがあります。

損益計算書上の利益は減りませんが、会社の現金は確実に社外へ流出しています。これが積み重なると、「黒字なのに現金がない」大きな原因となります。

[関連記事:役員借入金と役員貸付金 – 決算書での意味と銀行評価の違い]

原因③:借入金返済とキャッシュフローのアンバランス

銀行からの借入金も、「黒字なのに現金がない」状況を生む一因となり得ます。

返済の原資は「利益」だけではない

銀行への借入金返済は、「利息」と「元本」で構成されています。損益計算書で費用として計上されるのは「利息」のみです。「元本」の返済は、損益計算書には表れませんが、確実に会社の現金から支出されます。

企業が返済に充てられる現金(フリーキャッシュフロー)の簡易的な目安は、**「税引後利益 + 減価償却費」**です。(実際には運転資金の増減なども考慮が必要です)

返済額 > キャッシュフロー → 現金不足

もし、年間の借入金元本返済額が、会社が生み出す年間のキャッシュフロー(税引後利益+減価償却費)を上回っている場合、利益が出ていても、返済によって会社の現金はどんどん減っていきます。

・例: 年間キャッシュフローが1,200万円なのに、年間の元本返済額が2,400万円の場合、年間1,200万円の現金が不足する計算になります。

この不足分は、新たな借入や自己資金の投入で補わなければならず、資金繰りを圧迫します。

[関連記事:自社の決算書から、長期借入金の返済能力を判断する簡易な方法]

特に「長短バランス」の崩れが影響

本来、常に必要な運転資金は短期借入金で賄い、設備投資などを長期借入金で賄うのが理想的な「長短バランス」です。しかし、運転資金を長期借入金で調達してしまっている場合、常に必要な資金に対しても毎月元本返済が発生するため、上記のキャッシュフローアンバランスが起こりやすくなります。

[関連記事:【借入金 長短バランス】なぜ崩れる?資金繰りを楽にする改善策]

 

「黒字なのに現金がない」状態を解消する具体策

では、「黒字なのに現金がない」「会社 現金がない」という状況から脱却し、資金繰りを安定させるためには、どうすれば良いのでしょうか? 原因に応じて、以下のような対策が考えられます。

1. 運転資金管理の強化:
売掛金: 回収サイトの短縮交渉、与信管理の徹底、滞留債権の早期回収努力。
在庫: 適正在庫水準の設定、定期的な棚卸による実態把握、不要在庫・不良在庫の早期処分、仕入・発注プロセスの見直し。

2. 資産内容の精査と整理:
役員貸付金等: 発生原因を特定し、役員からの返済計画を立てる、あるいは役員報酬との相殺などを検討する(税理士相談要)。公私混同をなくし、新たな発生を防ぐことが最も重要。

3. 借入金の見直し:
・返済計画: 自社のキャッシュフロー創出力に見合った返済額になっているか確認する。過大な場合は銀行に返済条件の変更(リスケジュール)を相談する。
・長短バランス: 運転資金が長期借入金で賄われていないか確認し、必要であれば短期借入金への借り換えなどを銀行に相談する。

4. 資金繰り表の作成と活用【最重要】:
・これが最も重要かつ基本的な対策です。 過去のお金の流れを分析するだけでなく、将来の現金の入出金を予測する「資金繰り表(キャッシュフロー予測)」を作成し、常に最新の状態に更新していくことが不可欠です。
・これにより、「いつ」「いくら」現金が不足しそうかを事前に把握でき、余裕を持った資金調達や支払い計画の調整が可能になります。「黒字なのに現金がない」という事態を未然に防ぐことができます。

[関連記事:【資金繰り表 作成方法】初心者でも分かる手順と注意点|会社経営の必須ツール(2025年版)]

(上記の対策をまとめたリスト)

黒字なのに現金がない原因と対策のまとめイメージ

[関連記事:お金の流れを知りたければ、資金繰り表を作りなさい!]
[関連記事:中小企業経営者は、キャッシュフロー経営を意識せよ!]

まとめ:利益と現金の流れを両輪で管理しよう!

黒字なのに現金がない」という状況は、多くの経営者が陥りやすい罠ですが、決して放置してはいけない危険なサインです。その主な原因は、「①成長に伴う運転資金増」「②貸借対照表に隠れた問題(不良資産)」「③借入返済とキャッシュフローのアンバランス」にあります。

重要なのは、損益計算書上の「利益」だけでなく、貸借対照表の「資産の質」、そして実際の「現金の流れ(キャッシュフロー)」を常に把握し、管理することです。特に、将来の現金の動きを予測する資金繰り表の作成・活用は、安定経営のための必須ツールと言えるでしょう。

自社の「現金」の流れを見える化し、原因に応じた適切な対策を講じることで、「黒字なのに現金がない」という悩みから解放され、安心して事業成長に集中できる体制を築きましょう。

この記事が、貴社の資金繰り改善と安定経営の一助となれば幸いです。自社の資金繰り分析や改善策について、具体的なアドバイスが必要な場合は、お気軽にご相談ください。

 

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