【この記事で分かること】
・ 銀行員が連続赤字会社の決算書を見るときの視点
・ どの部分を重点的にチェックされるか
・ 銀行が嫌がる赤字会社の経営者の行動
赤字が続くと、銀行への事情説明も気が重くなるものです。
どんなことを突っ込まれるのか、考えると胃が痛くなります。
連続赤字なら、銀行の対応も厳しくなるでしょう。
この記事のポイントは以下3点です。
☑ 2期連続赤字を出すと銀行員の態度が変わる。理由は、『赤字が恒常化したのではないか』と、警戒するから。
☑ 決算書の内容について、今まで聞かれなかったようなこと(以下記事の3つの項目)まで、詳しく突っ込んでくる。
☑ 特に決算書から見えてくる社長の危機感(危機意識をもっているか、どうか)をチェックしている。
それでは、どんなことを聞かれそうか、少し考えてみましょう。
【目次】
銀行から融資を受けていると、決算書が完成した際、写しの提出を求められます。
前年より業績が良ければ、「社長、前期は好調だったんですね。」とか言われます。取引銀行の支店長からそう言われれば、経営者としては、1年の通知表が評価されたことに嬉しい気持ちになり、頬が緩むでしょう。
逆に、決算数値が悪ければ、「どんなことを言われるのか」、「評価が低くなり融資が難しくなるのではないか」、不安な気持ちで決算書を提出されるのではないでしょうか。
基本的に業績が良い企業に対しては、銀行員は決算内容について、あまり質問してきません。「融資元金の返済が安泰」と感じているからです。
しかし、決算書を確認して業績が悪化したと判断した場合、決算書の内容について、色々なことをヒアリングしてきます。
銀行員が決算書について、厳しくヒアリングしてくる目安の一つは、「2期連続営業利益の赤字が続いた場合」です。
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3期連続赤字で会社はどうなるか ~関係者の態度変化とあなたの選択肢~
なぜ営業利益の赤字かというと、
たとえ当期利益(損益計算書の一番下)が赤字でも、もしもその原因が、以下のような科目によるものだったとしたら、
固定資産売却とか除却、不良債権の償却、有価証券の売却損など。
これらの特別損失は一過性(その期だけたまたま、来期は改善する)だと判断するからです。
しかし、営業利益が赤字となれば、「本業が厳しくなっている」と警戒します。
なぜ、2期連続赤字かというと、
1期の赤字が発生しても、次の期に黒字になれば、手を打って改善できていると判断するからです。
しかし、2期赤字が続くと、恒常的にこの融資先は赤字体質になってしまったのではないか、と警戒します。
そうなった場合、今まで聞かれたこともなかった、決算書の細かな科目まで、ヒアリングが開始されます。
経営者の中では、今まで気さくで優しかった銀行員の態度の変化に戸惑い、「そこまで聞かなくても」と、少し不満が出てきます。同時に融資に対する姿勢も厳しくなります。
では、どのような決算書の項目について、聞かれるのでしょうか?実際はもう少し多岐に渡るのですが(隅から隅まで)、今日は3点お話ししますね。
まず聞かれやすいのが、役員や親族に関する項目です。
具体的には、役員報酬とか、親族への地代家賃の支払い状況です。
その意図は、口には出しませんが、「赤字が続いているのに、役員報酬が多すぎませんか?」だったり、「親族への地代家賃支払いは、黒字になるまで待てないのですか?」だったりします。
【関連記事】銀行員は「役員に関するお金の動き」を細かく見ています。どんなところか?こちらの記事でチェック☟
2つ目は、接待交際費や旅費交通費、広告宣伝費など、営業活動に関する経費です。
その意図は、口には出しませんが、「これらの経費は削減できないのですか?」です。
経営していると、得意先への接待費は必要ですし、取引を紹介してくれた人へのお礼などは、大切な営業活動です。営業活動のための出張も必要です。
しかし、銀行員は業績が悪化した場合は、「一般費および販売管理費」のこうした経費を、「本当にその額必要なの?」「削減するべきではないのか?」、と考える傾向にあります。
そして、「利益を出して、融資金の返済財源を確保してもらわないと困る」、と感じています。
【関連記事】銀行から見て首をひねりたくなる決算書⑤~赤字なのに役員報酬、接待交際費が多額~
3つ目は、固定資産勘定の増減です。
固定資産には、土地や建物、機械設備、車両運搬具、器具備品、などがあります。機械設備などは、事業を継続していくための前向きな設備であれば、理解してくれます。
口には出さないかもしれませんが、見ているのは車両運搬具です。早く言えば、高級車やクルーザーなど、です。
もし、業績が悪化している局面(例えば、2期連続の営業利益赤字や、リスケジュールの期間中)で、経営者が高級車などを購入していた場合、銀行員はあまり良い気がしません。この経営者は、今後付き合いしても大丈夫だろうか、と不安に思っています。
「リースを組んで税金対策」との経営判断であっても、銀行員はそのようには理解してくれません。
以上、業績悪化局面において、「銀行員が注目する決算書の科目」についてお話ししました。
業績悪化局面においては、私情をなるべく廃し、「いかにして会社を立て直すのか」、「そのためには何を優先順位にすれば良いのか」を、適切に判断し正確に実行していく姿勢が、経営者には求められます。
人間は弱いものですから、「いい想いをしたい」「他人に良く見られたい」「つらいから現実逃避したい」と、誘惑に負けそうになります。しかし状況によっては、我慢が必要な時がある気がします。
私自身も、経営者の一人として、常日頃から心しておきたいものです。
下記表に記事の内容をまとめました。参考いただけますと幸いです(画面クリックで表は拡大します)。
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