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【会社 赤字 役員報酬】どうする?減額は?据え置きリスクと変更手順を解説(2025年版)

「会社が赤字になってしまった…自分の役員報酬はどうすればいいのだろう?」

「赤字なのに役員報酬をもらい続けるのは、まずいこと?」

「役員報酬を減額する場合の手続きは?」

会社の業績が赤字に転落した際、経営者自身の役員報酬の扱いは非常に悩ましい問題です。「会社 赤字 役員報酬」を据え置くべきか、減額すべきか。その判断は、会社の資金繰り、経営者個人の生活、そして銀行からの評価にも影響を与えます。

この記事では、中小企業支援の現場に立つ経営コンサルタントとして、会社が赤字の時に役員報酬をどう考えるべきか、据え置くことのリスク、特に「役員報酬 高すぎ 赤字」と見られるケースの問題点、銀行への開示(「中小企業 役員報酬 開示」)の必要性、そして役員報酬を変更する際の具体的な手順について、分かりやすく解説します。

会社赤字役員報酬

なぜ「会社 赤字」なのに「役員報酬」が問題になるのか?

まず、なぜ赤字という状況下で役員報酬の額が重要視されるのか、その理由を理解しましょう。

役員報酬が会社財務に与える影響

役員報酬は、損益計算書上では「販売費及び一般管理費(販管費)」に計上される主要なコストの一つです。当然ながら、その金額は会社の利益(または赤字)額に直接影響します。

赤字時の「役員報酬 据え置き」が招くリスク

中小企業の場合、赤字になっても、しばらくは役員報酬を以前と同額に据え置くケースが見られます。株主=経営者一族であることが多く、外部からの引き下げ圧力が働きにくいためです。しかし、赤字時に役員報酬を据え置くことには、以下のような重大なリスクが伴います。

1. 資金繰りの悪化: 赤字ということは、事業活動で十分なキャッシュを生み出せていない状態です。そこに高額な役員報酬の支払い(または帳簿上の支払い計上)が加わると、会社の貴重な現預金が流出し、資金繰りをさらに圧迫します。

2. 実態との乖離(役員借入金の発生): 資金繰りが厳しく、実際には役員報酬を満額支払えない場合、帳簿上は支払ったことにして、差額を「役員借入金」(会社が役員から借りているお金)として処理することがあります。これは実態を表さない不健全な状態であり、役員借入金が膨らむ原因となります。

[関連記事:役員借入金と役員貸付金 – 決算書での意味と銀行評価の違い]

3. 個人負担の増加(税金・社会保険料): 非常に重要なポイントです。たとえ会社から現金で役員報酬を受け取っていなくても(役員借入金が増える場合など)、税務・社会保険上は「支払われた」ものとして扱われます。 そのため、経営者個人には、その帳簿上の役員報酬額に基づいた所得税・住民税、そして社会保険料の支払い義務が発生します。現金収入がないのに多額の支払いが生じる、「踏んだり蹴ったり」の状態になりかねません。

4. 銀行評価の悪化: 銀行は、融資先の経営状況を厳しく見ています。赤字にも関わらず、経営者が以前と同じ高額な役員報酬を受け取り続けている(ように見える)場合、「役員報酬 高すぎ 赤字」と判断され、経営者の当事者意識の欠如、コスト削減努力の不足、会社の私物化などを疑われ、銀行からの信用を失う大きな要因となります。

銀行は赤字会社の役員報酬をどう見ている?開示は必要?

銀行との関係においても、赤字時の役員報酬は重要なチェックポイントです。

銀行が役員報酬の開示を求める理由

「中小企業 役員報酬 開示」は法律上の義務ではありませんが、銀行は融資審査や業況確認の際に、役員報酬の内訳(誰にいくら支払っているか)が記載された「勘定科目内訳明細書」の提出をほぼ必ず求めます。

その理由は、役員報酬の金額や変動状況が、以下の判断材料となるためです。

・会社のコスト構造の妥当性
・経営者の経営姿勢(コスト意識、責任感)
・赤字の場合の、役員報酬削減による改善余地の有無
・(実態として支払われていない場合の)役員借入金の発生状況の確認

銀行が問題視するケース:「赤字なのに高額報酬」

銀行が特に問題視するのは、会社の業績が悪化し赤字が続いているにも関わらず、経営者が(実態はともかく帳簿上)高額な役員報酬を得ているケースです(まさに「役員報酬 高すぎ 赤字」の状態)。これは、経営改善への真剣度が低い、あるいは会社の資金繰りよりも個人の収入を優先している、と見なされかねません。融資の継続や追加融資の審査において、極めてネガティブな評価に繋がります。

[関連記事:銀行から見て首をひねりたくなる決算書 – 赤字なのに役員報酬、接待交際費が多額]

赤字会社の役員報酬:減額?据え置き?判断のポイント

では、会社が赤字の場合、役員報酬は具体的にどう判断すべきでしょうか。

業績連動の原則:赤字なら減額が基本

役員報酬は、会社の業績に対する経営責任の結果として受け取るもの、という考え方が基本です。したがって、会社が赤字であるならば、経営責任を取るという意味でも、役員報酬を減額するのが原則的な対応と言えるでしょう。据え置きは、前述のような様々なリスクを内包します。

判断材料:赤字の原因と今後の見通し

ただし、一律にゼロにするということではありません。減額幅や据え置きの可否を判断する際には、以下の点を考慮します。

・赤字の原因: 一過性の特殊要因による赤字なのか、構造的な問題による赤字なのか。

・今後の業績見通し: 近い将来、黒字回復が見込めるのかどうか。実現可能性の高い経営改善計画があり、その計画達成のために一時的に報酬を維持する必要がある、といった明確な理由があれば、銀行に説明できる可能性はあります。しかし、それでも通常は減額が求められるケースが多いでしょう。

生活費とのバランス

経営者にも生活があります。役員報酬をゼロにしてしまうと生活が成り立たない、という現実的な問題もあります。しかし、会社が存続できなければ、役員報酬どころではありません。 会社の存続を最優先に考え、必要な生活費を確保しつつも、可能な範囲で報酬を抑制し、会社の資金繰りを支える姿勢が求められます。

役員報酬を変更する手順とタイミング

役員報酬を変更(特に減額)する場合、税務上のルール(損金算入要件)に注意が必要です。

原則:期首から3ヶ月以内に行う

役員報酬を損金(会社の経費)として税務上認めてもらうためには、原則として**「事業年度開始の日(期初)から3ヶ月以内」**に報酬額を決定(または改定)し、その金額を事業年度を通じて毎月定額で支給する必要があります(定期同額給与)。変更する場合は、以下の手順を踏みます。

1. 役員報酬金額の決定
2. 株主総会の開催: 役員報酬は株主総会の決議事項です。
3. 株主総会議事録の作成: 決議内容を記録します。
4. (必要に応じて)税務署等への届出: ※通常、変更自体に届出は不要ですが、議事録は要保管。

期中変更(減額)が例外的に認められるケース

原則として期中の変更は損金算入が認められませんが、経営状況が著しく悪化した場合など、やむを得ない事情があれば、期中に役員報酬を減額しても損金として認められる場合があります。

国税庁の示す要件(例:第三者である利害関係人(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない状況、など)を満たす必要があり、その証明として臨時株主総会の開催と議事録作成、場合によっては変更届の提出などが考えられます。
安易な期中変更は税務リスクを伴うため、必ず事前に顧問税理士に相談してください。

税理士との連携の重要性

役員報酬の変更手続き、特に損金算入の可否については、税務の専門知識が必要です。必ず顧問税理士に相談し、適切な手順とタイミングで変更を行うようにしましょう。

経営者の主体的な関与が不可欠

役員報酬の決定は、特に同族経営の中小企業においては、経営者が実質的にコントロールできることが多いです。だからこそ、経営者自身が役員報酬に対する明確な方針を持つことが重要になります。

「お任せ」ではなく方針を持つ

「例年通り」「税理士に任せている」ではなく、会社の業績や財務状況、将来の見通しを踏まえ、**「自社にとって、そして自分にとって適正な役員報酬はいくらか」**を主体的に考え、判断する姿勢が求められます。

事業計画に基づいた判断

その判断の根拠となるのが、**「今期の業績見通し」**です。信頼できる事業計画や資金繰り計画があれば、どの程度の役員報酬なら支払いが可能か、あるいは減額が必要か、といった具体的なシミュレーションが可能になります。

まとめ:赤字会社の役員報酬は、経営判断そのもの

会社 赤字 役員報酬」の問題は、単なる金額設定の話ではなく、経営者の責任感、コスト意識、そして会社の将来をどう考えているかを示す重要な経営判断です。

・赤字時に役員報酬を据え置くことのリスク(資金繰り悪化、個人負担増、銀行評価悪化)を認識する。

・銀行は役員報酬を開示させ、特に「役員報酬 高すぎ 赤字」の状態を問題視する。

・原則として、赤字であれば役員報酬の減額を検討すべき。

・変更する場合は、税務上のルール(期首から3ヶ月以内が原則)と適切な手続きを守る。

・経営者自身が、業績見通しに基づき、主体的に判断する姿勢が重要。

厳しい状況だからこそ、役員報酬のあり方を見直し、会社と個人の双方にとって持続可能な着地点を見出すことが、危機を乗り越えるための一歩となります。

この記事が、赤字という困難な状況の中で、役員報酬について悩む経営者の皆様にとって、適切な判断を下すための一助となれば幸いです。

 

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