「6月の消費者物価指数が2%を超えた」と報道がありました。
このところ、食品やエネルギーの価格上昇が目に付きますから、なるほどな、という感想です。
むしろ、2%でよく踏み留まっているな、という印象です。
一方、コンサル現場では、値上げに苦慮する経営者をたくさん見ます。
値上げによる顧客離れを心配しているのです。
私は中小企業は今、値上げを本格的に検討する時期だと感じていますが、経営環境も様々ですから、悩んでしまうことも理解できます。
そこで今日は、「値上げ」について、一緒に考えてみたいと思います。
【目次】
コロナやウクライナは、人手不足、原料不足、物流費上昇を引き起こし、人件費も燃料費も電気代も材料費も運送費も上がっています。
こうしたコスト上昇の中で、販売価格を据え置くと、赤字になります。
赤字なのに事業が続けられているのは、銀行から借入をしているか、政府や行政から給付金がでているからか、以前の蓄えを切り崩しているか、経営者が個人資産を投入しているか、だからです。
でもいつまでも続きません。
どこかのタイミングで、販売価格の改定、「値上げ」をする必要が出てきます。
経営者が値上げを迷うのは、①値上げにより顧客が離れるのを恐れるため②収支などの数字が頭に入っていないため、です。
値上げするとお客さんがもう買ってくれないかも、、、。
漠然とした不安が経営者の行動を遅らせます。
扱っている商品やサービスが日用品など生活必需品でなければ、不安になる気持ちも分かります。
次に、収支を把握していないため、販売価格設定など経営判断が遅れるケース。
「取扱い商品の原価はいくらか」、きちんと把握できていない場合に、発生します。
おそらく儲かっているだろうと、推測で経営しています。
しかし、「原価を拾ってみれば、実は赤字だった」、ということも起こりがちです。
これはまずい状況です。
販売価格に原価が紐づけられないのには、理由があります。
どの原価をどういうルールで紐づけするのか、社内で決めていないからです。
このように、値上げをタイムリーにできないのは、①顧客離れが不安②収支を把握できていないことが原因です。
では、どのような対策を打てるのでしょう?少し考えてみます。
顧客離れが不安なのは、一つには、顧客と自社の関係が理解できていないからです。
以下の項目について考えてみます。
✔顧客が自社の商品・サービスを指名買いするのはなぜか
✔競合他社と比較して、自社が顧客から選ばれているのはなぜか(品質なのか、納期対応なのか、価格なのか)
✔値上げすると顧客は本当に離れるか
これらの項目についてしっかり考えてみることで、値上げ余地があるのかないのか、判断材料になります。
次に、付加価値を付けた新商品・サービスを開発し、既存商品・サービスより上の価格帯で販売します。
それにより実質値上げを達成する、という方法があります。
先日、八幡浜市「道の駅みなっと」の喫茶でかき氷を食べました。
メロンを半分に切って中をくりぬき器として、かき氷を提供していました。氷の上には、くり抜いたメロン果実がふんだんに載せられていました。写真の商品です。
味はもちろん美味しかったですが、見栄えもよく、SNS映えしそうです。
ちなみに値段は1,700円ですが、周りを見ると何人か注文していました。
もう一事例、東温市に「かどみせ」という夏季限定営業の手作りアイスクリーム屋さんがあるのですが、今年「イチゴミルク」という新商品を発売しました。
アイスクリームの中に、地元でとれたイチゴ果樹がたくさん入っています。
ミルクや抹茶など他の既存商品は120円から130円なのですが、「イチゴミルク」は300円です。
ちなみに私が子供のころ、かどみせのアイスは50円だったので、上手に値上げしてきていることが分かります。
値上げをしても顧客離れしない価値提供が、できていたのでしょう。
このように、新たな商品を開発して顧客から価値を認められることで、実質的な値上げを達成する方法もあります。
原価を把握する方法を具体的に考えます。
例えば、食料品製造業(販売先は事業会社;BtoB)の場合は、以下の様なシートで原価を計算します。
✔抜き出しが必要な原価項目はなにか、
✔どの単位で把握するのが良いか、(㎏あたりか、升あたりか、㍑あたりか、など)
✔目標利益率はいくらにするか、
✔目標に対して今どれだけ利益が取れているか、
を把握することで、販売先と数値を根拠に値上げ交渉をします。
(原価計算シートは、表のうえでクリックすると拡大します。可能なら印刷してご活用ください)。
【原価計算シート】
例えば、単位当たりの材料費が把握できていれば、材料費が上がった分だけ、素早く値上げ交渉ができます。
次にBtoC(販売先が消費者)の場合ですが、楽天やAmazonなど大手プラットホームに出店すれば、チャンスは広がります。
ただ、大手プラットホームは、①手数料がかかるため利益率が下がることと、②自社に顧客情報が蓄積できない、というデメリットがあります。
それを打開するために、自社ECサイトを立ち上げたり、SNS(Instagram、ライン@、グーグルマップ)を有効活用したり、など直接販売を行います。
手数料分が利益に上乗せされるため、値上げと同様の効果があります。
値上げは、①「値上げに取り組む」という意思がスタート地点で、②「自社と顧客の関係性を整理」し、③「付加価値付きの新商品開発」をして、④「原価を把握する仕組みにより素早い対応」を行い、④「デジタルを活用する」。
このような方法が検討できます。
以上、「値上げにどう取り組むか」について、お話ししました。参考いただけますと幸いです。
今日お話ししたことに興味がある方は、お手伝いしますので、下の相談フォームからお気軽にご連絡ください。
お祭りの屋台で、値札が付いていない店には、いくら取られるか分からないので、不安になります。
私は10年前から、Webサイトにコンサル料金を公開しています。こちら
コンサルタントで料金開示しているサイトは少ないのかもしれませんが、人を見て値段を変えたりなどの、不透明会計を避けることが目的です。
依頼が来るときには、事前に料金を確認いただいたうえでの交渉になるので、料金交渉などのストレスは軽減されます。
私は開業時から価格付けには苦労して、試行錯誤して今のプランにたどり着きました。
何をもって適正料金と捉えるのかなど、商品・サービスの適正料金設定には、興味が強いのです。
料金を決めるのは事業者ですが、決定権があるのは購入する消費者であり、正解への道のりは難しいところですね。
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