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【銀行への決算報告】経営者が自ら行うメリット・流れ・注意点を解説(2025年版)

「決算書ができたけど、銀行にはどうやって渡すのがベスト?」

「経営者がわざわざ銀行に出向いて決算報告する必要はあるの?」

「銀行への決算報告、具体的な流れや準備すべき資料、注意点を知りたい」

会社の決算書が完成した後、取引銀行へどのように提出・報告していますか? 営業担当者が受け取りに来るのを待って、経理担当者から渡してもらうだけ、というケースも多いかもしれません。しかし、それでは会社の成長に繋がる貴重な機会を逃している可能性があります。

実は、経営者自身が銀行に出向き、主体的に決算報告を行うことは、銀行との信頼関係を深め、将来の融資取引を円滑にし、さらには自社の経営改善にも繋がる、非常に有効なアクションなのです。

この記事では、ここ愛媛県をはじめ多くの中小企業をご支援してきたコンサルタントとして、なぜ経営者自ら銀行への決算報告を行うべきなのか、その具体的な流れ(「決算報告 流れ」)と準備すべき資料(「決算報告 資料」)、得られるメリット、そして重要な注意点(「決算報告 注意点」)について詳しく解説します。

銀行へ決算報告を行うことの重要性を示すイメージ

 

なぜ経営者自ら「銀行への決算報告」を行うべきなのか?

銀行との良好な関係は、安定した経営、特に円滑な融資のために不可欠です。懇親会やゴルフも有効ですが、最も本質的な信頼関係は、日々の誠実なコミュニケーションから生まれます。

銀行との信頼関係構築の最良の方法

**銀行との信頼関係を深める上で最も効果的なのは、「会社の状況を経営者自身の言葉で、正直に、分かりやすく説明すること」です。その絶好の機会が、年に一度の決算報告です。経営者が自ら出向き、前期の業績や今後の見通しを説明する姿勢は、銀行に対して「経営に対する真摯さ」「透明性」「説明責任を果たす意識」**を示すことになり、単に書類を提出するだけの場合とは比較にならないほどの信頼を得ることができます。

「ただ渡すだけ」では失う成長の機会

営業担当者に決算書を渡すだけでは、銀行は書類上の数字しか見ることができません。その数字の背景にある経営者の考え、努力、課題、そして将来への展望といった**「生きた情報」を伝える機会を失ってしまいます。また、銀行からのフィードバックやアドバイスを得る機会**も逃すことになり、非常にもったいないと言えます。

銀行への決算報告:具体的な流れと準備

では、実際に経営者が銀行へ決算報告を行う際の具体的な「決算報告 流れ」と準備すべき「決算報告 資料」を見ていきましょう。

ステップ①:アポイントメントの設定

・タイミング: 決算書が完成したら、なるべく早めに(例:1~2週間前までに)銀行の担当者へ連絡し、訪問日時を調整します。
・伝えること: 「決算報告のため、社長自身が伺いたい」旨を明確に伝えます。
・相手: 可能であれば、支店長や融資担当の役席者との面談をリクエストするのが理想です。担当者レベルだけでなく、決裁権を持つ可能性のある上席者に直接説明することが重要です。
・避けるべき時期: 月末月初や銀行の繁忙期(例:3月、9月など)は避ける配慮をしましょう。

ステップ②:必要資料の準備 (決算報告 資料)

・必須資料:
‣ 決算報告書一式(写し): 貸借対照表、損益計算書だけでなく、勘定科目内訳明細書、各種別表も含めたフルセットを用意します。銀行提出用と自社控え(説明用)の2部準備しましょう。 [関連記事:銀行提出 決算書はどこまで必要?内訳書・別表の重要性]

・推奨資料:
‣ 説明用レジュメ(1枚程度): 当日説明する内容(前期業績の概要、好調/不調の要因分析、今期の見通し・目標、具体的な取り組みなど)を簡潔にまとめたものがあると、銀行側の理解が深まります。特に業績が悪かった場合は、赤字の原因分析と具体的な改善策を記載すると良いでしょう。

ステップ③:参加者の選定

・経営者(社長): 必ず参加し、自らの言葉で説明することが最も重要です。
・財務担当者(経理部長など): いれば同席し、詳細な数値に関する質問への対応や、銀行からの指摘事項のメモを取る役割を担うと良いでしょう。
・後継者: 後継者がいる場合は、積極的に同席させることを強くお勧めします。 経営者が銀行とどのように対話し、会社の状況を説明し、質疑応答を行うかを間近で見ることは、何よりの帝王学、実践的な後継者教育の場となります。
・顧問税理士: 基本的に同席は不要です。あくまで経営者が主体となって報告する場です。税務に関する専門的な質問があれば、「税理士に確認して後日回答します」と伝えれば問題ありません。

決算報告で会社が得られる5つのメリット

経営者自ら決算報告を行うことで、会社は多くのメリットを得られます。

1. 銀行との信頼関係深化: 定期的な直接対話により、銀行は会社の状況を深く理解し、経営者への信頼を高めます。これが、いざという時の融資相談や、有利な条件での取引に繋がる可能性があります。

2. 経営課題の発見と改善ヒント: 銀行からの質問は、彼らが重視するポイントや懸念事項を示しています。**「なぜこの数字が変動したのか?」「今後のこのリスクはどう考えているか?」**といった質問に答える中で、自社では気づかなかった課題や改善のヒントを得られます。

3. 経営者自身の財務能力向上: 銀行に説明するためには、自社の決算内容を深く理解する必要があります。この準備と質疑応答のプロセスを通じて、経営者の財務リテラシーが自然と向上します。

4. 取引銀行の比較・評価: 複数の銀行と取引がある場合、各行の決算報告時の対応(誰が出てくるか、どんな質問をするか、どんな情報を提供してくれるか)を比較することで、どの銀行が自社を本当に理解し、親身になってくれているかを見極めることができます。今後の銀行取引戦略の重要な判断材料となります。

5. 後継者育成の絶好の機会: 前述の通り、後継者にとって、リアルな銀行との対話の場を経験することは、座学では得られない貴重な学びの機会となります。

銀行への決算報告:注意点とNG例

多くのメリットがある決算報告ですが、やり方を間違えると逆効果になる可能性もあります。以下の「決算報告 注意点」を守りましょう。

・アポイントは必須・時期も配慮: 突然訪問したり、繁忙期に無理に時間を取らせたりしないこと。

・正直さが大前提: 粉飾決算など、虚偽の内容を報告することは絶対に避けるべきです。正直に、誠実に説明する姿勢が信頼の基本です。 [関連記事:粉飾決算とは?銀行はこう見抜く!融資への影響]

・継続は力なり: 業績が良い時だけ報告に行くのではなく、悪い時も(改善策とセットで)正直に報告し続けることが、長期的な信頼関係を築きます。

・主目的は「報告」:過度な交渉は避ける: この場の主目的は決算「報告」とコミュニケーションです。その場で具体的な新規融資の申し込みや、露骨な金利引き下げ交渉を行うのは避けましょう。 (ただし、今後の資金ニーズについて軽く触れておく程度は問題ありません)。融資の相談は、改めて別の機会を設けるのがスマートです。

ちなみに、経営者が銀行支店長などに対して、つい口にしてしまいがちな「NGワード」もあります。不用意な発言で関係を損なわないよう注意が必要です。

[関連記事:経営者が銀行支店長に言ってはいけない禁句とは?]

【チェックリスト】効果的な銀行への決算報告のために

最後に、効果的な決算報告を行うためのチェックリストを掲載します。ぜひご活用ください。

(銀行への決算報告チェックリスト)

【事前準備】
□ アポイント取得済みか?(訪問日時、対応者)
□ 決算書一式(内訳明細書、別表含む)を2部準備したか?
□ 説明用レジュメ(前期概要、今期見通し・対策等)は準備したか?(推奨)
□ 決算内容のポイント(特に変動が大きい項目)を説明できるか?
□ 業績不振の場合、原因分析と改善策を説明できるか?
【参加者】
□ 経営者自身が参加するか?
□ 財務担当者(いれば)の同席を検討したか?
□ 後継者(いれば)の同席を検討したか?
【報告当日】
□ 銀行側の出席者は誰か確認したか?(相手の関心度)
□ 自社の言葉で、業績と見通しを正直に説明したか?
□ 銀行からの質問事項をメモし、不明点は後日回答を約束したか?
□ 過度な融資・金利交渉は避けたか?
【報告後】
□ 銀行からの質問事項について、確認・回答したか?
□ 報告を通じて得た気づきや課題を、今後の経営に活かす意識があるか?

(チェックリスト例)
銀行への決算報告チェックリスト

まとめ:決算報告は、未来への投資

経営者自らが行う銀行への決算報告は、単なる義務的な手続きではありません。銀行との信頼関係を深め、自社の経営課題を発見し、経営者自身の成長にも繋がる、未来への投資と言えます。

推奨される流れに沿って、適切な資料を準備し、注意点を守って実行すれば、その効果は計り知れません。特に後継者がいる場合は、絶好の教育機会となります。

「忙しいから」「面倒だから」と、この貴重な機会を逃さず、ぜひ次回の決算から、積極的な決算報告を始めてみてはいかがでしょうか。それが、貴社の持続的な成長と、安定した銀行取引、ひいては円滑な融資獲得への道筋となるはずです。

この記事が、貴社の決算報告の取り組み、そして銀行とのより良い関係構築の一助となれば幸いです。

 

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