【この記事で分かること】
・ 決算書を見せないと銀行はどう感じるか
・ 「勘定科目内訳明細書」で何を確認しているのか
・ 「別表」で何を確認しているのか
・ 子会社の決算書まで、なぜ求めてくるのか
【この記事のポイント】
✔ 決算書には、様々な種類の帳票があるが、銀行と信頼関係を深めたいなら、隠し立てせず、すべて渡してはどうか。
✔ 勘定科目内訳明細書と別表には、銀行が融資審査に必要な項目が記載されているため、提出を求められる。
✔ 銀行は、関連会社を含め、グループ全体で企業内容を把握したいため、関連会社の決算書提出を求めてくる。
それでは、詳しく見ていきましょう(自社の決算書を手元に置いて、記事を読み進めていただくと、より理解が進むものと思います)。
企業にとって大切な1年の通信簿ともいうべき、決算書。銀行にとっても、融資先の現状把握や、今後の融資方針の決定において、大変重要な役割を果たします。
決算書といっても、貸借対照表、損益計算書、販売管理費、製造原価報告書、株主利益計算書、別表、勘定科目内訳明細表、と結構な分量になります。それではどこまで銀行に提出すればよいのでしょうか。
【参考記事】銀行が嫌う決算書 ~追加融資が難しい低評価の決算書~
銀行との取引関係を深めたいのなら、上記すべて提出することをお勧めします。変に一部を抜いて提出したり、出し渋ったりすると、「決算書を提出できない、何か特別な事情があるのだろうか?」と警戒されます。
昔銀行員だったころ、何かと理由をつけて、決算書の勘定科目内訳明細書を見せたがらない経営者がいました。その経営者は決算書を粉飾しており、数年後に倒産しました。やはり提出できない事情があったんだな、と思いました。
貸借対照表、損益計算書、販売管理費、製造原価報告書、が融資審査判断に必要なのは分かるとして、勘定科目科目内訳明細書はなぜ必要なのか?
枚数も多いし、コピーも面倒くさい。
あなたはそう感じるかもしれません。
しかし、銀行にとって決算書とは、勘定科目内訳明細書がセットです。
では、勘定科目内訳明細書で何を確認しているのでしょう?
簡単に言えば、以下4つです。
✔ 勘定科目内訳明細書の中に、資産性のない「不良資産」が含まれていないか
✔ 勘定科目内訳明細書の中に、支払いが遅延している税金、社会保険、支払債務が含まれていないか
✔ 預金や金融機関借入金のシェアに大きな変更はないか
✔ 雑収入・雑損失、特別利益・特別損失の中身は何か
以下の記事に詳しく説明していますので、参考にしてください。
【参考記事】決算書を理解して会社を成長させる【中級編】~⑥勘定科目内訳明細表を見るときのポイント~
決算書つづりの最初にある「別表」。
何十枚もあります。
銀行は、この「別表」の提出も求めてきます。
何やらよく分かりませんが、あなたから見て経営にあまり関係があるようには見えません。
しかし、銀行は重要視します。
見ているのは主に以下のページです。
① 別表(一)
・「電子申告完了済み」または、「税務署の受付印」が確認できるか
・銀行に提出された決算書が、税務署に提出された本物の決算書であるかどうか
② 別表(二)⇒同族会社等の判定に関する明細書
・株主は誰か
・持分割合はどうなっているか
・株式総数は何株か
③ 別表7(一)⇒欠損または災害損失金の損金算入等に関する明細書
・当期発生した繰越欠損金はいくらか
・翌期へ繰り越される欠損金はいくらか
④ 別表16(一)(二)⇒減価償却資産の償却額計算に関する明細書
・減価償却不足額はいくら発生しているか
・減価償却費で利益調整を行っていないか(以下の記事に詳しく説明しています)
【参考記事】減価償却不足額を、銀行はどう見ているか ~銀行と経営者 考え方の違い~
以上のようなことを「別表」で確認しています。別表の見方を図で分かりやすく説明した記事は以下です。
【参考記事】決算書を理解して会社を成長させる【中級編】 ~⑦決算書「別表」見るところは4枚~
また銀行は、親会社や子会社など、関連会社の決算書提出も求めてきます。中小企業の場合、関係会社間で資金のやりとりがあることが多いからです。銀行は、関係者間の資金のやり取りや、連結ベースで見ると財務内容はどうなのか、確認しておきたいのです。これも拒まず提出することをお勧めします。「別会社は関係ないでしょ!」は、銀行には通用しないと考えてよいでしょう。
以下の記事に詳しく説明していますので、参考にしてください。
【参考記事】銀行が子会社の決算書を要求してきた ~何を調べるのか、どうするべきか~
自社の決算内容は客観的にどうなのか、どこを改善すれば良いのか、分からないことがあれば、下記メール連絡フォームからご連絡ください。
【ブログ記事書いているのはこんな人】プロフィール
【過去の企業支援実績はこちら】企業支援実績
【関連記事】
2期連続赤字が続くと、銀行員にチェックされる決算書3つの項目
銀行から見て首を捻りたくなる決算書~赤字なのに役員報酬、接待交際費が多額~
財務改善、銀行対応に関するお問い合わせは、こちらからどうぞ(暗号化対応をしているので、問い合わせ内容が外部に漏れることはありません。返信は翌営業日以降になることがあります)。☟