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銀行との上手な付き合い方④~決算書はどこまで渡せばよいか~

【この記事で分かること】

・ 決算書を見せないと銀行はどう感じるか

・ 「勘定科目内訳明細書」で何を確認しているのか

・ 「別表」で何を確認しているのか

・ 子会社の決算書まで、なぜ求めてくるのか

 

【この記事のポイント】

✔ 決算書には、様々な種類の帳票があるが、銀行と信頼関係を深めたいなら、隠し立てせず、すべて渡してはどうか。

✔ 勘定科目内訳明細書と別表には、銀行が融資審査に必要な項目が記載されているため、提出を求められる。

✔ 銀行は、関連会社を含め、グループ全体で企業内容を把握したいため、関連会社の決算書提出を求めてくる。

 

それでは、詳しく見ていきましょう(自社の決算書を手元に置いて、記事を読み進めていただくと、より理解が進むものと思います)。

 

 

銀行に渡す決算書

企業にとって大切な1年の通信簿ともいうべき、決算書。銀行にとっても、融資先の現状把握や、今後の融資方針の決定において、大変重要な役割を果たします。

決算書といっても、貸借対照表、損益計算書、販売管理費、製造原価報告書、株主利益計算書、別表、勘定科目内訳明細表、と結構な分量になります。それではどこまで銀行に提出すればよいのでしょうか。

 

【参考記事】銀行が嫌う決算書 ~追加融資が難しい低評価の決算書~

 

銀行に決算書を見せない

銀行との取引関係を深めたいのなら、上記すべて提出することをお勧めします。変に一部を抜いて提出したり、出し渋ったりすると、「決算書を提出できない、何か特別な事情があるのだろうか?」と警戒されます。

昔銀行員だったころ、何かと理由をつけて、決算書の勘定科目内訳明細書を見せたがらない経営者がいました。その経営者は決算書を粉飾しており、数年後に倒産しました。やはり提出できない事情があったんだな、と思いました。

 

銀行は勘定科目内訳明細書で何を見ているのか

貸借対照表、損益計算書、販売管理費、製造原価報告書、が融資審査判断に必要なのは分かるとして、勘定科目科目内訳明細書はなぜ必要なのか?

枚数も多いし、コピーも面倒くさい。

あなたはそう感じるかもしれません。

しかし、銀行にとって決算書とは、勘定科目内訳明細書がセットです。

では、勘定科目内訳明細書で何を確認しているのでしょう?

簡単に言えば、以下4つです。

✔ 勘定科目内訳明細書の中に、資産性のない「不良資産」が含まれていないか

✔ 勘定科目内訳明細書の中に、支払いが遅延している税金、社会保険、支払債務が含まれていないか

✔ 預金や金融機関借入金のシェアに大きな変更はないか

✔ 雑収入・雑損失、特別利益・特別損失の中身は何か

 

以下の記事に詳しく説明していますので、参考にしてください。

【参考記事】決算書を理解して会社を成長させる【中級編】~⑥勘定科目内訳明細表を見るときのポイント~

 

銀行は別表で何を確認してるのか

決算書つづりの最初にある「別表」。

何十枚もあります。

銀行は、この「別表」の提出も求めてきます。

何やらよく分かりませんが、あなたから見て経営にあまり関係があるようには見えません。

しかし、銀行は重要視します。

見ているのは主に以下のページです。

① 別表(一)

・「電子申告完了済み」または、「税務署の受付印」が確認できるか

・銀行に提出された決算書が、税務署に提出された本物の決算書であるかどうか

② 別表(二)⇒同族会社等の判定に関する明細書

・株主は誰か

・持分割合はどうなっているか

・株式総数は何株か

③ 別表7(一)⇒欠損または災害損失金の損金算入等に関する明細書

・当期発生した繰越欠損金はいくらか

・翌期へ繰り越される欠損金はいくらか

④ 別表16(一)(二)⇒減価償却資産の償却額計算に関する明細書

・減価償却不足額はいくら発生しているか

・減価償却費で利益調整を行っていないか(以下の記事に詳しく説明しています)

【参考記事】減価償却不足額を、銀行はどう見ているか ~銀行と経営者 考え方の違い~

 

以上のようなことを「別表」で確認しています。別表の見方を図で分かりやすく説明した記事は以下です。

【参考記事】決算書を理解して会社を成長させる【中級編】 ~⑦決算書「別表」見るところは4枚~

 

銀行が関連会社の決算書提出を求めてくるわけ

また銀行は、親会社や子会社など、関連会社の決算書提出も求めてきます。中小企業の場合、関係会社間で資金のやりとりがあることが多いからです。銀行は、関係者間の資金のやり取りや、連結ベースで見ると財務内容はどうなのか、確認しておきたいのです。これも拒まず提出することをお勧めします。「別会社は関係ないでしょ!」は、銀行には通用しないと考えてよいでしょう。

以下の記事に詳しく説明していますので、参考にしてください。

 

【参考記事】銀行が子会社の決算書を要求してきた ~何を調べるのか、どうするべきか~

 

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