お問合せ

【銀行が嫌がる決算書とは?】融資が遠のく5つの特徴と改善策(2025年版)

「うちの会社の決算書、銀行はどう見ているんだろう?」

「決算書のせいで、銀行融資が受けにくくなっているかもしれない…?」

「銀行に『この決算書では評価できない』と言われないためには、どうすればいい?」

会社にとって年に一度の成績表である決算書。税務申告のためだけでなく、銀行融資を受ける際にも、会社の信用力を示す最も重要な書類となります。しかし、提出した決算書の内容によっては、銀行の評価を下げ、融資を遠ざけてしまう「銀行が嫌がる決算書」になってしまっているケースも少なくありません。

私自身、銀行員として17年、その後経営コンサルタントとして14年、合計31年以上にわたり多くの中小企業の決算書と銀行融資の現場に接してきました。その経験から見えてきた、「銀行が嫌がる決算書」の主な特徴とその背景、そして銀行から信頼される決算書にするための改善策について、具体的な「銀行 決算書 見方」のポイントも交えながら解説します。粉飾決算のリスクにも触れます。

(「うーん、この決算書は…」と難色を示す銀行員)

銀行が嫌がる決算書①:内容が「よく分からない」決算書

銀行がまず嫌うのは、内容が不透明で、実態がよく分からない決算書です。これでは、会社の正確な財務状況やリスクを評価することができません。

不透明な勘定科目が多い

・問題点: 貸借対照表の資産の部に、役員貸付金、仮払金、立替金、出資金、営業権、関係会社貸付金などが、多額かつ長期間、同額のまま計上されていませんか? これらは**回収可能性が低い「不良資産」**と見なされ、実質的な資産価値がない(=隠れた赤字)と判断されることが多いです。

・改善策: これらの勘定科目の発生原因を特定し、整理・解消(役員からの返済、費用や損失としての処理など)を進め、透明性を高める必要があります。

[関連記事:代表者勘定とは?役員借入金・役員貸付金の意味と影響]

必要な内訳・明細が不足している

・問題点: 決算書本体だけでなく、その内訳を示す「勘定科目内訳明細書」や、税務計算の根拠を示す「別表」の提出も銀行は求めます。これらが添付されていなかったり、内容が「在庫一式」「売掛金 その他多数」のように大雑把だったりすると、銀行は詳細な分析ができません。

・改善策: 銀行との信頼関係のためにも、決算書は内訳明細書・別表も含めて一式提出しましょう。税理士と連携し、内訳明細書も可能な限り詳細に作成してもらうことが望ましいです。

[関連記事:勘定科目明細とは?決算書を深く読む!主要科目の見方]
[関連記事:決算書 別表 読み方 – 経営者が見るべきは4枚だけ!]

会計方針・担当税理士の頻繁な変更

・問題点: 短期間で顧問税理士が頻繁に変わると、会計処理の方針(勘定科目の使い方など)に一貫性がなくなり、過去からの業績推移を正確に比較・分析することが困難になります。銀行は「なぜ頻繁に変えるのか?何か隠したいことでも?」と不信感を抱く可能性があります。

・改善策: 税理士は信頼できるパートナーとして、長期的な関係を築くことが理想です。変更する場合は、後任の税理士にこれまでの経緯や処理方針を正確に引き継ぐ必要があります。

銀行が嫌がる決算書②:「粉飾」が疑われる決算書 (粉飾決算)

銀行が最も嫌がり、かつ最も厳しい対応をとるのが、粉飾決算の疑いがある決算書です。

意図的・悪質な粉飾決算

・内容: 売上の架空計上・水増し、原価・経費の隠蔽・繰延、簿外債務、架空資産の計上など、明らかに意図的な不正操作が行われている決算書。

・銀行の対応: 発覚すれば即座に信用は失墜し、「詐欺行為」と見なされます。 新規の銀行融資は絶対に受けられなくなり、既存融資の一括返済を求められるなど、会社の存続に関わる致命的な事態を招きます。

不適切な会計処理による「利益操作」疑い

・内容: 意図的ではないとしても、結果的に利益を実態より良く見せてしまっている会計処理。
‣ 減価償却不足: 利益調整のために、本来計上すべき減価償却費を計上しない。
‣ 不良在庫の過大評価: 価値のない在庫を簿価のまま資産計上し、売上原価を低く見せる。
‣ 不適切な収益・費用認識: 売上計上時期の前倒しや、費用計上時期の先送り。

・銀行の対応: 銀行はこれらの操作を**「利益調整」と見抜き、実態に合わせて評価を修正します。見かけ上の利益を取り繕っても意味がなく、むしろ「数字を操作する会社」として信頼性を損ないます。**

[関連記事:粉飾決算とは?銀行はこう見抜く!融資への影響]

銀行が嫌がる決算書③:「返済能力」に疑問符が付く決算書

当然ながら、「貸したお金が返ってきそうにない」と判断される決算書も、銀行は嫌がります。

継続的な赤字(特に営業・経常赤字)

・問題点: 赤字が続いている、特に本業の儲けを示す「営業利益」や、利息支払い能力を示す「経常利益」が赤字である場合、銀行融資の返済原資がないと判断されます。

・銀行の視点: なぜ赤字なのか、改善の見込みはあるのか、を厳しく問われます。改善が見込めなければ、追加融資は極めて困難です。

[関連記事:決算書の赤字の見方 – 4つの赤字の意味と深刻度]

銀行が嫌がる決算書④:「資金繰り」に懸念がある決算書

利益が出ていても、資金繰りに問題がある決算書(主に貸借対照表から読み取る)も警戒されます。

多額の未払金(税金・社会保険料・買掛金等)

・問題点: 税金、社会保険料、仕入代金(買掛金)などの支払いが常態的に遅延し、未払金として多額に計上されている。

・銀行の視点: 深刻な資金繰り悪化の兆候であり、いつ支払不能(倒産)に陥ってもおかしくないと判断します。特に税金等の滞納は、差し押さえのリスクもあります。

現預金が極端に少ない

・問題点: 会社の規模や業種に対して、手元資金(現預金)が極端に少ない。

・銀行の視点: 予期せぬ支出や売上減少に対応する財務的なバッファー(緩衝材)がないと見なし、リスクが高いと判断します。

[関連記事:現預金とは?帳簿にあるのに現金がない理由と対策]

銀行が嫌がる決算書⑤:「経営者の姿勢」が見えない決算書

決算書は、数字を通じて経営者の姿勢をも映し出します。

役員報酬・交際費などが業績に見合わない

・問題点: 会社が赤字など厳しい状況にも関わらず、経営者が高額な役員報酬を得ていたり、多額の接待交際費を使っていたりする。

・銀行の視点: 経営者の危機感の欠如、コスト意識の低さ、公私混同などを疑います。「会社を立て直す気があるのか?」と見られ、支援意欲が削がれます。

[関連記事:社長 役員報酬 高すぎ?赤字なのに経費・交際費使い過ぎ?]

財務への関与不足(他人任せ)

・問題点: 決算書の内容について質問しても、社長が「経理に任せているから分からない」「税理士に聞いてみないと」といった反応しかできない。

・銀行の視点: 自社の数字を把握・管理できていない経営者と見なし、経営能力そのものに不安を感じます。

[関連記事:銀行が嫌がる社長の態度とは?融資が遠のくNG行動]

銀行に信頼される決算書にするための改善策

では、「銀行が嫌がる決算書」を、「信頼される決算書」に変えていくためには、どうすればよいのでしょうか。

1. 正確な月次決算とタイムリーな試算表作成: これが全ての基本です。日々の会計処理精度を高め、毎月、実態に近い財務状況を把握できる体制を構築します。

2. 会計基準に沿った適切な処理: 減価償却の適正計上、売上・費用の期間対応、在庫や売掛金の適正評価など、基本的な会計ルールを遵守します。不透明な勘定科目は整理・解消します。

3. 詳細な内訳・別表の添付: 銀行から求められなくても、勘定科目内訳明細書や主要な別表は、決算書とセットで提出する姿勢が望ましいです。

4. 経営者自身の財務理解と関与: 社長自身が決算書の内容に関心を持ち、理解しようと努め、銀行や税理士に対して自分の言葉で説明できるようになることが重要です。

**結局のところ、銀行に信頼される決算書とは、「会社の真の姿を、正確に、分かりやすく示している決算書」**と言えます。そして、それを作成・維持していくためには、経営者自身の財務に対する意識改革と、日々の地道な管理体制の構築が不可欠なのです。

「自社の決算書が銀行からどう見られているか不安だ」「信頼される決算書にするための改善点を具体的に知りたい」経営者様は、当事務所の初回無料相談をご利用ください。貴社の決算書を分析し、具体的な課題と改善策をご提案します。

この記事が、貴社の決算書に対する理解を深め、銀行融資に繋がる財務改善の一助となれば幸いです。

 

お問い合わせはこちらから。☟

「【銀行が嫌がる決算書とは?】融資が遠のく5つの特徴と改善策(2025年版) 」
ご覧いただきありがとうございました。

「銀行融資審査の考え方」 関連の記事一覧

お問合せ
セミナーの依頼
 
注目の記事カテゴリ

経営者の方へ

銀行員の方へ

中小企業診断士の方へ

ページトップ