【この記事で分かること】
・ 銀行から嫌われる追加融資の受けられない決算書の特徴
・ お金が返ってきそうにない決算書とは、どんな決算書のことか?
銀行が嫌う決算書。
今日は、2つの観点からお話しします。
簡単に言うと、次の2つかなぁ、と思います。
✔ よく分からない決算書
✔ 貸したお金が返ってきそうにない決算書
詳しく見ていきます。
【目次】
決算書をもらったけど、中身を見てもよく分からない。そんな決算書を銀行は嫌います。
よく分からない理由。3つの項目について説明します。
① 不透明な勘定科目
② 必要な勘定科目明細が添付されていない
③ 税理士が替わり過去のことが不明
このような決算書は、よく分かりません。
貸借対照表の中に、不透明な勘定科目がある決算書は、銀行から嫌われます。
以下の様な勘定科目は、往々にして長年に渡り同じ金額が計上されていたりします。回収不能な不良債権になっているからです。
✔ 役員貸付金(短期貸付金、長期貸付金)
✔ 立替金
✔ 出資金
✔ 営業権
✔ 投資有価証券
✔ 子会社貸付
✔ 仮払金
複数年、同じ金額、同じ相手先で計上されている回収不能な上記勘定科目、実際はその金額が赤字と言えます。
以下の様な勘定科目や別表が抜かれていると、銀行は嫌がります。追加提出を求められることもあります。
✔ 別表1(税務署の受付印つき)
✔ 別表7 繰越欠損金の内訳
✔ 個別資産の減価償却費を確認するための固定資産台帳
✔ 在庫の内訳がない(在庫一式など一括りで記載され内容が分からない)
✔ 売掛金(相手先の欄で、「その他」の金額が多額)
顧問税理士が替わると困るのは、決算書の連続性がなくなるからです。
税理士により、会計処理のやり方に特徴があります。勘定科目の振り分けが変更されたり、新しい勘定科目が登場したりします。
そして一番困るのは、銀行が過去の決算内容を確認しようとしても、誰も分からないことです。
社長は言います。
「前の税理士がやったことだから分からない」
「なぜ、そんな経理処理をしたのだろう?」
今の税理士も言います。
「過去の経緯はよく分かりません。前の税理士の処理なので」
そして、銀行は途方にくれます。
短期間で税理士事務所を頻繁に替えられると、銀行は困るのです。
場合によっては、「なぜ頻繁に税理士を替えるのか?隠したいことでもあるのか?」と、銀行に疑われるかもしれません。
【参考記事】銀行が嫌う税理士 ~銀行が嫌がる経理処理と経営者の心構え~
貸したお金が返ってきそうにない決算書も嫌われます。
当たり前ですが、赤字続きの決算書は、一番嫌われます。
連続赤字の会社は、融資の返済財源がないからです。
それ以外で考えてみます。
以下2つについて説明します。
① 利息を利益で支払えない
② 未払金が多い
どういうことでしょう?
利益で利息を支払えないとは、上の図で言うと、C社のケースです。
言葉は悪いですが、巷では「ゾンビ企業」と言われています。
A社、B社はもっと厳しい状態のため、この状態が続けば早いうちに事業継続が困難になります。
C社のケースですが、利息を支払うために、新たに追加融資を受ける必要が出てきます。
もちろん、役員の自己資金投入や、会社の預金取り崩し、資産売却が可能なら問題ありませんが、いつまでもは続かないでしょう。
どこかで追加融資が必要になります。
利息を支払ってもらうために追加融資が必要ということ。
利息が利益で払えないのですから、融資元金はもちろん支払えません。
銀行は、「利息ぐらいは利益で払ってほしい」と思っていますが、払えないので嫌がられます。
どんどん、資金が必要になるので、債務も膨らんでいきます。
利息さえも、融資で賄(まかな)ってもらっている、、、。
この認識のない中小企業が結構多いのです。
【参考記事】経営者保証を求めない地銀はどこか ~先行する14の地銀と融資慣行変化に対する経営者の心構え~
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)
貸借対照表の右側、負債勘定の未払金が多い会社も、銀行は嫌がります。
商取引で発生する、通常の未払金なら問題ありません。
以下の様な未払金が問題です。
✔ 消費税、法人税、固定資産税の支払いが遅れている
✔ 社会保険料の支払いが遅れている
✔ 水道光熱費の支払いが遅れている
✔ 地代家賃の支払いが遅れている
✔ 従業員の給与支払いが遅れている
全て未払金になります。
税金や社会保険料の未納は、不動産や現金の差し押さえリスクがあります。
従業員の給与遅延は、もう最終段階です。
銀行は身構えるでしょう。
以上、銀行が嫌う決算書、2つの切り口から5つに分けて、お話ししました。
✔ よく分からない(不透明な勘定科目、必要な勘定科目明細が添付されていない、税理士事務所が良く替わる)
✔ 貸したお金が返ってきそうにない決算書(利息を利益で支払えない、未払金が多い)
経営者はどうすれば良いか。上記の状態になってからでは、残念ながら改善は難しいです。
必要な時に追加融資も受けられなくなります。
まず第一歩は、上記の状態が銀行に嫌われる決算書であることを知ることです。
そして、傷が浅い早期のうちに、対策を立てて、改善策を実施していくことです。
この記事が、貴社の財務問題点の早期発見、早期改善の手助けにつながりますと、幸いです。
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