経営者であれば、銀行支店長と借入の相談や業況の説明などで、面談する機会もあるでしょう。飲み会などの懇親会にも同席するかもしれません。
銀行支店長から飲み会、懇親会に誘われたら、貴社は大切にされています。銀行員は、業績不振で資金が不足しているなどで警戒している取引先を、飲み会に誘うことはあまりありません。
距離が近づいてしまい、融資できない先に融資を申し込まれると困るからです。酔った勢いで、気持ちが大きくなり、「よっしゃ、社長任しといて!」と言ってしまう可能性もあります。
銀行支店長との懇親会を気軽に開催できる貴社は、「良い関係性を築いている」と言えるでしょう。
【目次】
で、今日は銀行との飲み会の時の話ではありません。「しらふ」の時の面談の話です。
支店長ともなれば、取引先顧客の面談の他に、支店の業績管理、支店内部の人事調整、審査部・営業統括部等本部との折衝、部下の行動管理、地域行事への参加など、多忙を極めています。
その上今は、働き方改革で、残業があまり出来なくなっています。そのため経営者にとって、銀行支店長と話す機会は、以前に比べると少なくなっていると思います。だから、支店長との面談は、有意義なものにしたいものです。
経営者の皆さん、銀行支店長とどんな話をしていますか?
大体は、支店長から、色々質問があり、話を振ってくると思います。
で、本題ですが、経営者は悪気なく言っているつもりですが、支店長が嫌がる話について、です。私も銀行員時代に支店長に同席していましたが、こんな話をされると、面談後は苦虫をかみつぶしたような顔をしていました。
■前の支店長の話
以前の支店長は、あれをしてくれた、こまめだった、お世話になった。何度も以前の支店長を褒め称える経営者がいます。(ひどくなれば、現支店長を飛びこえて、転勤して担当を離れた前の支店長に色々相談する人もいました)。
→過去の経緯説明のため、少しぐらいはいいですが、前の支店長の話はほどほどにして、(例え相性が悪くても)今の支店長にスポットをあて話しましょう。
■銀行役員との親しさをアピール
「専務とはよく飲んでいる」、「あの常務とは昔から親しい」、と支店長にとって上司である銀行役員との関係性を、自慢げに度々話す人がいます。度が過ぎれば、支店長にとってプレッシャーにしかならず、嫌な気持ちになります。パートナーとして建設的な関係にはならないでしょう。
→そもそも経営者が銀行役員と親しいことは、支店長であれば事前に情報としてもっています。あまりに現支店長の態度が悪ければ、役員に相談しても良いですが、そうでなければ積極的にアピールする必要はありません。
■融資の話、金利の話をダイレクトにする
あまり親しくなっていない段階で、いきなり融資の話を支店長に直接するのは避けたいものです。(関係が良好になれば、相談しても問題ないケースがあるので、自社と銀行の関係で、ケースバイケースです)。支店長は支店の最終決裁者なので、直接談判されると困ることがあるのです。(特に融資が難しいとき)。
→取引先担当者や、担当者が頼りないときは融資担当役席など、まずはしかるべきルートに相談しましょう。
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では、何を話せば良いのでしょう。天気の話、ゴルフの話、趣味の話、経済情勢、孫の話・・・。それもいいでしょう。
しかし、本当に話しておきたいのは、自社の話です。
現在の状況、新事業展開など貴社が今後向かうべく検討している方向性、業界内部での位置づけ、自社の得意分野、事業承継や人材育成など組織に関すること、設備投資予定、など会社に関することです。
貴重な面談の機会を有意義に使うべきだと思います。
そして大切なのは、かみ砕いて分かりやすく説明することです。(中学生に教える感覚でちょうど良いです)。業界用語で話してもほとんど通じてません(例え、ふんふんと、したり顔で聞いていたとしても、理解していません)。
そうした話を分かりやすく熱意を持って出来たなら、きっと銀行支店長は、貴社を応援してくれるはずです。
最後に銀行支店長は、前触れなくアポ無しで、「ふらっ」と貴社に立ち寄ることがあります。それは貴社の普段の姿、真の状態を確認したいから、でもあるのです。
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