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銀行は融資約束をしないの? ~融資稟議システムの仕組みと対策~

【この記事で分かること】

 

・銀行内部での融資決定までの流れ

 

・気を付けておくべき融資担当者のタイプ

 

・銀行が例外的に融資約束をするパターン

 

 

【はじめに】

銀行員に融資を申し込んだとき。経営者としては「社長、任せてください!」と胸をたたいてくれると心強いものです。しかし一方で、こうしたタイプの銀行員を無条件で信じすぎることは、リスクでもあります。それはなぜなのか?銀行には稟議(りんぎ)システムという決まりごとがあるのです。知っておきたい銀行融資決定までの流れ。今日はその話をしたいと思います。

 

この記事のポイントは以下の通り

☑ 銀行融資には、稟議(りんぎ)システムがあり、すべての手順をクリアしないと、融資決定とならない

☑ そのため、基本的に銀行員は、稟議前に融資の約束をしない。気軽に「今回融資できます」、という銀行員は、信用してはいけない

☑ 銀行と会社で融資に関する食い違いが生じるのは、以下記事の通り経営者にも責任がある、会社の資金繰りを守るために、経営者自身も注意が必要である

 

銀行融資を受ける流れ ->銀行融資の申し込みから決定までの流れ

銀行融資を申し込むとき。

銀行の営業担当に申し込むか、店頭の融資担当者に申し込むか、だと思います。

企業からの融資申し込みを受け、審査すべく、担当者は、起案します。

銀行は融資申込があれば、融資を承諾するか、謝絶(否決)するか、稟議して決定します。

融資審査には、稟議システムがあり、担当者→上司→支店長→本店審査部→審査担当役員という流れで、融資が決定します。

謝絶の場合は、最終権限者までいかず、流れの途中で否決の結論が決まったりもします。

融資審査をする

 

銀行は稟議(りんぎ)前に融資約束ができない ->銀行が稟議を通さないと融資約束できない理由

上記のように、毎回、融資申込の都度、稟議をして融資諾否を決定しています。

審査する内容は、事業推移、財務内容、資金使途、返済能力、資金繰り、保全(担保や保証)とのバランス、などです。

融資を申し込むと、決算書や試算表、資金繰り表、必要資金の根拠資料(見積書や契約書)などの提出を求められます。

銀行員は、「今回融資できます」という口約束をしません。

必ず、「稟議してからお返事します」と言います。

もし、稟議する前から「社長、融資大丈夫だと思います」と言う銀行担当者がいれば、信用しないほうが良いでしょう。そう軽く言う担当者に限って、「社長すみません、稟議が通りませんでした」と、後から言ってくる可能性があります。

銀行はシステム上、稟議をしていないのに、融資の約束ができないようになっているのです。

 

経営者が気になること、銀行員の返答

経営者が気になるのは、「必要な時期」に「必要な金額」「希望した条件」で、融資してくれるのかどうか、ということです。

融資申込の際には、金額、必要時期、希望条件、を融資担当者に提示します。

銀行員に、「いつぐらいに返事くれる?」「融資はできそう?」と質問しても、銀行員は曖昧な返事しかしません。上記お話ししてきたような事情で、自分に権限がないので、明確な返事ができないのです。

 

融資を約束する例外

基本的には融資の約束ができないのですが、例外もあります。

融資極度契約を結んでおけば、期間は限定されますが、必要な時期に稟議なしで融資実行されます。

当座貸越の枠を作っていたり、手形貸付の枠を作っている、というケースが該当します。

これとは別に、最近では、融資枠契約(コミットメントライン)を銀行と企業間で結ぶこともあるようです。

コミットメントラインとは、企業と銀行が予め契約した期間・融資枠の範囲内で、企業の請求に基づき、銀行が融資を実行することを約束(コミット)する契約です。

ただし、使っても、使わなくても、融資枠に対する手数料が金利以外に発生します。融資を受けた際には、別途融資額に対しての金利がかかります。

手数料分だけ費用が余分になるので、コミットメントラインは、中小企業にとってハードルが高い契約です。

 

事業計画を作り、認めてもらう

その他、事業再建時に事業改善計画を作り、計画の実現可能性が債権者(銀行)から評価されれば、緩やかな融資予約を獲得することがあります。

例えば5ヵ年計画を作り、「この時期、こうした用途で、資金が必要になりますから、融資の検討をお願いします」、というような要請を計画に盛り込むのです。

ただし、これは決定事項ではありません。緩やかな約束です。再建の様子を見て、「約束通り進んでいるなら、その時に検討しましょう」、という約束です。

だから、数値目標など改善計画通りに進んでいないなら、融資が否決されることもあります。確実な約束ではありません。

 

融資約束に対しての結論

融資の履行に対して、経営者と銀行の間で、意見相違が発生することがあります。

経営者は、「担当者が融資を約束していた」と言い、銀行は、「約束はしていない」と言います。

もしかしたら、銀行の営業担当者は、貴社を応援したくて、前向きな発言をしたのかもしれません。または、経営者の気迫に押されて、どちらともとれる曖昧な返答をしたのかもしれません。

それでも結果、融資が否決になったとしたら、会社は現在融資ができない状態にある、と考えられます。

経営者は、こうした銀行融資の仕組みを知っておくと良いでしょう。100%信用するのではなく、色々なパターンを想定して、準備しておく必要があるのです。

銀行から見て一番困るのは、「融資の申し込みが遅い(そのため審査期間が少ない)」ことで、それは経営者が自社の資金繰りを把握していないことが、原因なのです。

 

 

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