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【銀行融資審査の仕組み】稟議とは?本店決裁?支店長の融資権限と流れ(2025年版)

「銀行に融資を申し込んだけど、なかなか返事が来ない…内部で何をしているの?」

「担当者は『大丈夫そうです』と言っていたのに、なぜ融資を断られたんだろう?」

「稟議(りんぎ)ってよく聞くけど、一体何のこと? 支店長だけで融資は決められないの?」

銀行に融資を申し込んだ際、その審査プロセスや意思決定の仕組みが不透明で、やきもきしたり、銀行側の対応に疑問を感じたりした経験はありませんか? なぜ担当者はその場で可否を答えてくれないのか、なぜ時間がかかるのか。その背景には、銀行内部の厳格な**「稟議(りんぎ)システム」という銀行融資審査 仕組み**が存在します。

この記事では、ここ愛媛県をはじめ多くの中小企業をご支援してきたコンサルタント(元銀行員)として、この銀行融資審査 仕組みの核心である「銀行融資 稟議とは」何か、承認までの一般的な流れ、支店長 融資権限の範囲、そして「本店決裁とは」どういう意味なのか、会社経営者が知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。
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銀行融資審査の基本:「稟議(りんぎ)」システムとは?

まず、「銀行融資 稟議とは」何か、その基本を理解しましょう。

稟議とは?:融資承認のための行内手続き

稟議とは、銀行内部で融資の承認を得るために作成・回付される**「起案書(提案書)」およびその承認プロセス全体を指す言葉です。担当者が融資案件の内容(借入人である会社の概要、財務状況、資金使途、返済計画、担保・保証条件、リスク評価など)を詳細に記述し、関係部署や役職者の承認(押印)を得ていく手続きです。日本の多くの組織、特に銀行のような金融機関では、個人の独断ではなく、組織としての意思決定を行うために、この稟議**システムが採用されています。

なぜ稟議が必要か?:組織的意思決定と責任の明確化

稟議が必要な理由は、融資が銀行にとって重要な経営判断であり、リスクを伴う行為だからです。

・多角的なチェック: 複数の役職者や専門部署(審査部など)が内容をチェックすることで、リスクの見落としや担当者の個人的な判断ミスを防ぎます。

・行内ルールの遵守: 銀行内部の融資基準や規定に沿っているかを確認します。

・責任の所在の明確化: 誰がどの段階で承認したかを記録に残すことで、将来問題が発生した場合の責任の所在を明確にします。

融資は決して担当者一人の判断で決まるものではなく、組織全体での慎重な検討と承認プロセスを経ているのです。

融資承認までの流れ:担当者から本店決裁まで

では、融資申込から承認(または謝絶)までの稟議は、具体的にどのように進むのでしょうか? 一般的な流れは以下の通りです。

① 担当者による起案

会社から融資申込を受け、決算書、試算表、資金繰り表、見積書などの必要書類が揃うと、担当者はこれらの情報に基づいて稟議書の作成を開始(起案)します。

② 支店内での承認(支店長の融資権限)

作成された稟議書は、まず支店内で回付され、担当者の上司(係長、課長など)、そして最終的に支店長の承認を得ます。

ここで重要なのが**「支店長 融資権限」です。銀行では、支店長に一定の金額・リスクの範囲内で融資**を決定できる権限(決裁権)が与えられています。比較的小規模で、リスクが低いと判断される標準的な融資案件であれば、支店長の承認をもって融資が決定することもあります。

③ 本店審査部での審査・決裁 (本店決裁とは)

支店長の権限を超える金額の融資、リスクが高いと判断される案件、特殊な条件が付く融資などの場合は、稟議書は支店から銀行の本部にある専門部署(融資審査部、企業審査部など)へ送付されます。

ここで、より専門的な視点から詳細な審査が行われ、最終的な承認(または否決)の判断が下されます。これが**「本店決裁とは」**何か、ということです。当然ながら、本店決裁が必要な案件は、支店長決裁の案件よりも審査に時間がかかります。

④ 最終承認(役員決裁など)

特に巨額の融資や、極めて重要度の高い案件、あるいは経営再建に関わるような複雑な案件の場合は、さらに上位の役員や専門の委員会(融資会議など)での承認が必要となることもあります。

(イメージ:稟議の流れ)

会社から申込
担当者起案
係長承認
課長承認
【支店長承認】
(権限内ならここで決定)
【本店審査部 審査・承認】
(支店長権限外の場合)
(場合により役員承認)
融資実行 / 謝絶

 

なぜ担当者は「融資の約束」ができないのか?

この稟議システムがあるため、銀行の担当者は、たとえ会社から融資を申し込まれ、「感触は良さそうだ」と感じていても、稟議が正式に承認されるまでは「融資できます」と安易に約束することはできません。

担当者に最終決定権はない

担当者は稟議プロセスの出発点に過ぎず、最終的な決定権は上司や本部にあります。担当者の個人的な見解や期待が、組織の最終判断と異なることは十分にあり得ます。

安易な約束のリスク(行内ルールと顧客トラブル)

もし担当者が稟議承認前に安易な約束をし、結果的に融資が否決された場合、顧客である会社との間で深刻なトラブルに発展する可能性があります。また、行内ルール違反として担当者自身が責任を問われることにもなります。そのため、銀行員は「稟議にかけてから、正式にご回答します」という慎重な言い方をせざるを得ないのです。

もし担当者が軽い口調で「大丈夫だと思いますよ!」などと言ったとしても、それを鵜呑みにするのは危険です。

例外:稟議なしで融資が実行されるケース

原則として稟議が必要ですが、以下のような場合は、個別の稟議なしで融資が実行されることがあります。

・既存の融資枠契約(当座貸越・手形貸付枠): あらかじめ設定された限度額と期間内であれば、会社からの請求に基づき、随時利用可能です。

・コミットメントライン契約: 銀行と会社が事前に契約し、銀行が一定期間・一定枠内での融資実行を「約束(コミット)」する契約です。ただし、利用の有無に関わらず手数料が発生するため、主に大企業や中堅企業向けの契約です。

・経営改善計画に基づく「緩やかな約束」: 銀行を含む債権者の同意を得て策定された経営改善計画の中に、将来の資金需要に応じた融資実行が盛り込まれている場合があります。これは法的な約束ではありませんが、計画が順調に進捗していれば、実行される可能性が高い「緩やかな約束」と言えます。

経営者が融資審査プロセスで心がけるべきこと

この銀行融資審査 仕組みを理解した上で、経営者はどのように対応すべきでしょうか。

銀行の仕組みを理解し、過度な期待をしない

稟議というプロセスには一定の時間が必要であり、担当者の感触が良くても承認されるとは限らない、という銀行の内部事情を理解しておきましょう。担当者の言葉に一喜一憂せず、冷静に結果を待つ姿勢が大切です。

必要な情報を迅速かつ正確に提供する

稟議を進めるためには、決算書、試算表、資金繰り表、計画書など、様々な資料が必要です。銀行から依頼された資料は、できるだけ迅速かつ正確に提出しましょう。会社側の対応の遅れが、審査期間の長期化に繋がることも少なくありません。

余裕を持った資金計画と早めの相談

最も重要なのは、資金が必要になるギリギリではなく、余裕をもって資金計画を立て、早めに銀行に相談することです。稟議には時間がかかること(特に本店決裁案件)を考慮し、必要な時期から逆算して、少なくとも1ヶ月、できれば2~3ヶ月前には相談を開始するのが理想的です。

[関連記事:銀行融資の連絡がない!審査期間と行き違い防止策]

まとめ:稟議システムを理解し、余裕を持った銀行対応を

銀行融資審査 仕組みの中心には、**「稟議」という組織的な意思決定プロセスがあります。「銀行融資 稟議とは」、融資の可否を慎重に判断するための重要な手続きです。支店長 融資権限には限りがあり、重要な案件は「本店決裁とは」**何か、という本部審査のプロセスを経ます。

この仕組みを理解すれば、なぜ担当者が即答できないのか、なぜ審査に時間がかかるのかが分かります。経営者としては、

・銀行担当者の安易な「大丈夫」を鵜呑みにしない。
・稟議に必要な情報を迅速・正確に提供する。
・資金需要を早期に予測し、余裕をもって銀行に相談する。

という点を心がけることが、円滑な融資取引と、不要な誤解やトラブルを避けるために重要です。

この記事が、会社の資金調達における銀行とのコミュニケーションの一助となれば幸いです。

 

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