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銀行が融資金利を決める6つの要因

経営者にとって気になる融資金利

日銀のマイナス金利政策により、銀行が融資で儲けづらくなっているというニュースを日々目にします。

皆さんの会社はいかがですか?経営者にとっては、融資金利動向は興味があるところだと思います。

 

銀行は融資する際、適当に金利を提示しているのでありません。色々なことを勘案して、皆様方に融資金利を提示しているのです。

 

銀行に利下げをお願いしても、なかなか下げてくれない、

 

逆にこんな低金利でいいの?銀行はこの金利で儲けが出るの?と、低い金利提案を不思議に感じることもあるでしょう。

 

ではどのような要因で融資金利は決まっているのでしょうか?

銀行員に要請される

 

①調達金利

銀行融資は、企業で言えば商品販売です。販売するためには仕入れが必要です。

 

銀行は企業に融資するため、会社や個人、また市場を通じて他の銀行から、預金を集めてきているのです。

 

この調達してくる金利(仕入れ)が低ければ、当然融資する金利(販売)も低くなります。

 

ですから、都銀など規模が大きく経営体力の高い銀行は、市場から低レートの資金を引っ張ってくることができるため、融資金利は低い傾向にあります。逆に、地域の銀行や地域金融機関(信用金庫や信用組合など)は調達コストが高くなり、融資金利も都銀などに比べれば高くなる傾向にあります。

 

②財務格付け

融資を受けている企業は、銀行から格付けをされています。(銀行に自社の格付けを聞いても教えてくれませんが)。

この格付けは、皆さんが銀行に提出する決算書に基づいて実施されています。

決算書は数字ですので、定量要因と言います。自己資本比率や借入比率、売り上げの伸び率や各種利益率などで判定されます。

また決算書の数字に加えて、経営者の能力や、ビジネスモデルの強さ、顧客との関係性の親密度、特許の有無など、決算書の数字には表れない、企業の価値を格付けの参考にしています。量(数値)としては見えないので、定性要因と言います。

企業の格付けは、この定量要因と定性要因によって決定しますが、重要視されるのは、定量要因(決算書の内容)です。

この格付けが良いほど、貸し倒れリスクが低くなると判定され、金利も低くなります。逆に格付けが悪いと貸し倒れリスクが高くなると判定され、金利は高くなります。

 

③保全状況

担保力のことです。担保には、土地や建物などの不動産担保、機械や在庫などの動産担保、預金担保、有価証券担保などがあります。この評価額が高ければ、万一のことがあっても、銀行は担保権の行使により融資金の回収が可能となります。

 

そのため担保評価額が高ければ、リスクが低いと判断され、金利も低くなります。逆に担保評価額が低ければ、リスクが高いと判断され、金利は高くなる傾向があります。

 

保証協会付融資の提案や保証人を求められるのも、銀行が保全強化を図るためです。

 

④銀行間競争

実はこの項目が、かなり融資金利に影響します。

 

銀行は横並び意識が強いうえ、また縄張り意識もあります。

 

ですから、自銀行の融資シェアが落ちることを嫌がります(融資先の財務内容が良い場合は特に)。

 

だから銀行間競争が激しくなると、金利は低くなりますし、逆に1行取引だと他の銀行の情報が集まらず競争も起こらないため、高くなる傾向にあります。

 

今まで取引がなく、新規で融資提案をしてくる銀行は金利が低いですし、そのエリアに新たに参入してくる銀行は、低い金利を提示して融資シェアを奪いに来ます。

 

これも企業にとっては良し悪しで、なんでも提案に乗ればいいわけではなく、対応は注意が必要です。(詳しくは別の機会にお話しします)。

 

⑤取引内容

融資を受ける企業の融資以外の取引内容によっても金利は変わります。

 

「こんな金利で銀行は儲かるの?」と感じるかもしれませんが、きっちり別で儲けています。

 

例えば多額の預金を預け入れしている。定期預金が結構あったり、売上代金の受け取り口座にしているため、いつも一定額の預金があったり・・・。1億円借りていても3000万円預金があれば、実質融資を受けているのは、7000万円と考えることができます。実質借り入れ7000万円に対しての金利額だと考えれば、実際の銀行金利は表面金利より、実は高くなっているということです。

 

また役員や従業員取引が充実していれば、そちらでメリットを享受することができます。社債引き受けや振込手数料、預かり資産の販売手数料など、各種手数料収入も銀行にとっては大きな収益源です。

 

このように銀行は、融資金利だけではなく、総合的な取引メリットを考えて融資金利を提案しています。

 

⑥融資期間

基本的には、長期で借りれば金利は高くなり、短期で借りれば金利は安くなります。

ただし、最近は長短金利の逆転現象が起きることがあります。日銀のマイナス金利政策や、長期設備投資融資に積極的な政府系金融機関との競争、などの影響です。

 

おまけ

あと、企業側が急いでいれば、金利は高くなります。切羽詰まって交渉する余地がなくなるからです。資金需要は早めに把握し、余裕をもって銀行交渉をしましょう。

 

経営者としての向き合い方

 

以上、融資金利を決定する6つの要因についてお話しました。

 

その中で特に影響が大きいのは、②財務格付けと、④銀行間競争です。

 

ですから、融資金利を下げたければ、決算書の内容を良くすること(ただし粉飾決算はダメ!)、複数銀行取引により競争原理を働かせることが、ポイントです。

 

私も銀行員時代に経験がありますが、銀行員の顔を見るたびに、「金利を下げてくれ、下げてくれ」という経営者がいます。

 

しかし、やみくもに交渉したら良いものではありません。金利交渉には戦略が必要です。皆さん方も、商売で、押したり、引いたりで、価格交渉されるでしょう。

 

そして金利も大切ですが、最も大切なのは「借入元金そのもの」です。

 

融資を受けべきなのかどうかの意思決定、そもそも費用対効果に見合った投資判断であるのか、そして今受けている融資をどのように返済・削減していくのか・・・。

 

経営者として考えるポイントは多いように感じます。

 

 

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