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決算書を理解して会社を成長させる【基本編】~⑤在庫と利益とお金の関係~

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いまさら聞けない「決算書の読み方」。

【基本編】の第5回目。基本編の最終回です。

今回は、「在庫と利益とお金」の話です。

(4回目の「代表者勘定編」はこちら
(3回目の「減価償却編」はこちら
(2回目の「貸借対照表編」はこちら
(1回目の「損益計算書編」はこちら

「学び直し」にご活用いただければ幸いです。

 

在庫とは簡単に

在庫とは、

貸借対照表に存在する「商品」「製品」のことです。

または製造業であれば、「原材料」「仕掛品」、建設業であれば「未成工事支出金」だったりします。

これら併せて、会計用語では「棚卸資産」と言います。

棚卸資産と言われてもピンとこないので、経営実務で使う「在庫」の呼び方で話を進めていきます。

貸借対照表の左側「資産の部」の中の、「流動資産の部」にあります。

流動資産なので、「1年以内に現金化できること」が原則です。

 

在庫と期末棚卸高は同額になる

貸借対照表に存在する「在庫」ですが、実は損益計算書の中にも同額記載されていることをご存知ですか?

貸借対照表の「在庫」は、損益計算書の「期末商品棚卸高」と金額が一致します。

下の図で説明します(表のうえでクリックすると拡大します)。

例題企業A社の場合は、仕掛在庫・商品等=期末商品棚卸高=31,000千円となっています。

 

在庫額と売上総利益の関係

上の図から、売上総利益の計算式は、

【売上総利益の計算式】

売上高-売上原価=売上総利益

ですね。

また、売上原価の計算式は、

【売上原価の算計算式】

売上原価=期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高(期末在庫は減じることがポイント)

となります。

つまり、仕入額が多くても、期末在庫が増えれば、利益は同じなのです。

図で説明します(表のうえでクリックすると拡大します)。

上の図≪ケース1≫と比較して、下の図≪ケース2≫は、仕入を増やしたパターンです。

需要予測を見誤り、期末在庫が増えてしまいました。不良在庫が存在しています。

しかし、注目ポイントは、売上原価。ケース1、ケース2、どちらも186,000千円となっています。

売上が同額で300,000千円なら、どちらも売上総利益は114,000千円です(300,000-186,000=114,000)。

期間中仕入れた金額は20,000千円違うのに、結果として損益計算書の売上総利益は同じ額です。

もう売れない不良在庫だとしても、期末棚卸高として減価せずに残していると、売上原価を減少させます。

期末在庫として評価額が残っていると、表面上は売上総利益が出ています。

 

在庫とお金の関係

上記のような状態を「在庫として資金が寝ている」と言います。

つまり、損益計算書を見ると、一見利益が出ているが、倉庫に不良在庫としてお金が眠ってることになり、資金繰りが厳しい。

これが社長が決算書を見て、「黒字なのに、なぜお金がないのだろう?」と違和感を感じる理由です。

仕方なく、在庫セールをすると、手元のお金は増えますが、安売りなので利益は減ります。

在庫が増えるとお金が減る。→運転資金が増え、銀行融資が増える。

在庫が減るとお金が増える。→運転資金は減るが、バーゲンセールをするので赤字になり、銀行融資が返済できない。

これが在庫とお金の関係です。

 

在庫回転期間に注意する

在庫が寝る状態を防ぐためには、どうすれば良いでしょうか?

仕入精度を上げることはもちろん対策ですが、財務面から考えると回転期間を意識すると良いでしょう。

棚卸回転期間=棚卸資産(在庫)÷1日当たり売上原価(売上原価÷365)

※業種によって異なるが、一般的に短いほど在庫効率が良いと言われています。

業種ごとの参考数値は以下です。

 

(中小企業実態基本調査;令和3年決算実績;「出所:中小企業庁」)

日本標準産業分類:大分類

棚卸回転期間(日)

建設業 33.98
製造業 41.04
情報通信業 13.09
運輸業・郵便業 3.53
卸売業 23.87
小売業 30.24
不動産業・物品賃貸業 104.25
学術研究、専門・技術サービス業 14.99
宿泊業・飲食サービス業 6.15
生活関連サービス業・娯楽業 5.67
サービス業(他に分類されないもの) 6.08

 

例えば小売業なら1か月程度で在庫を回転させていき、建設業なら工事規模の大小はあるでしょうが、平均1か月程度で工事を回していくようなイメージになります。

自社の回転期間の目安を知っておけば、在庫保有期間の考え方について、自社の仕入・在庫政策の参考になります。

 

在庫が増える理由

貸借対照表に不良在庫が増えるのは、在庫評価を正確に行っていないのが、要因の一つです。

在庫評価が正確でないので、仕入精度も低くなります。

大切なのは、棚卸作業です。

毎月月末にできるのがベストですが、日常業務に忙しい中、時間とコストを確保するのが難しいかもしれません。

それでも半年に一度、少なくとも決算期には、正確な棚卸作業が必要です。

その時注意するのは、在庫の評価法。

摩耗したり、流行遅れだったり、市場価値のないものまで、仕入価格のまま在庫として残してしまうと、、、。

これが長年積み重なり、多額の在庫額として、貸借対照表に積み上がっていきます。

繰り返しますが、市場価値のない在庫でも、損益計算書においては期末棚卸高として、売上原価から減算されています。

対策は、在庫評価・保有のルールを決め、売れない在庫は決算期に減損、または処分していくことです。

長年の累積分をまとめてやると、財務へのダメージが大きくなるので、定期的に実施します。

 

まとめ;在庫と利益とお金

今日の話をまとめます。

 

✔ 貸借対照表「在庫額」と、損益計算書「期末棚卸高」は同額になる

✔ 売れない在庫が期末在庫で残っていると、表面上は利益が出ているが、「在庫が寝ている」ため、お金は回らない

✔ 自社が属する業種の在庫回転期間を知っておき、自社の状況と比較すると、仕入・在庫政策の参考にできる

✔ 不良在庫が貸借対照表に積み上がらないためには、在庫評価・保有ルールを決め、不良部分は決算期に減損、処分していくこと

 

在庫戦略について、適正在庫額の把握、最適な仕入政策にマニュアルはなく、置かれた状況により改善策は千差万別でしょう。

実行には労力を要します。

しかしスタートラインは、一つ。

社長が「在庫」について理解し、自社の実態を把握し、改善へのスタートを切ることだと私は考えます。

財務について勉強し、理解を深め、経営判断などの実践に活かすことは、会社を守ることなのです。

 

以上、「在庫と利益とお金の関係」について、お話しました。

今後の貴社の財務改善にお役立ていただけますと幸いです。

当事務所では、今日お話しした課題解決に対して、お手伝いをしております。

また、自社の客観的な財務評価を知りたい方。

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