【目次】
地域の衰退、人口減少により、特に地方圏では、右肩上がりの成長は難しくなりました。
以前のように成長を前提としたイケイケの経営スタイル、
経営者は現場に出て社員と一緒に汗をかく、
細かい数字のことは、経理担当や銀行員、税理士に任せておけば大丈夫、、、
残念ながら、そのスタイルでは、通用しなくなりました。
数字に弱い経営者が率いる会社は、業績が下降局面で素早く的確な対応が打てず、守りに入ったとき脆い傾向にあります。
そこで、今日は会社の財務基盤を強化するための「キャッシュフロー経営」について、考えてみます。
キャッシュ(現金)の出入りに注意を払った経営をここでは、「キャッシュフロー経営」とします。
経営者は、「うちの会社、決算書では黒字なのに、なぜ資金繰りが厳しいのだろう?」と感じることがあります。
それは、余程の理由がない限り、実は赤字だからです。表面上、黒字に見えるだけです。
例を挙げると、
☑ 売掛金の中に、焦げ付いている昔からの不良債権が残っている
→ 決算上は、売上として計上し、利益が出ていることになっているが、キャッシュは入ってこない
☑ 流行遅れの過去の人気商品が倉庫に残っている
→ 決算上は、売上原価のマイナスとして、粗利益の押し上げ要因となっているが、キャッシュは入ってこない
☑ 過去の使途不明金が、役員貸付金、立替金、未収入金、仮払金、建設仮勘定、開業費、のれん代、などの資産勘定で計上されている
→ 決算上は、資産計上されているこれらの数値は経費処理されていないが、すでにキャッシュは出て行っている。実態がない資産勘定は、すべて赤字である
これら全て、表面上は黒字ですが、キャッシュフロー(現金の出入り)ではマイナスになります。
補正してみると、実際の会社の姿があぶりだされ、経営者は真っ青になるかもしれません。
キャッシュの赤字部分は、多くが銀行からの借入金に振り替わっているはずです。
銀行からの借入金は、設備投資でもしない限り、黒字であれば、そうそう必要になるものではありません。
もし銀行借入金が長期間に渡り貼りついているなら、実際は赤字ではないのか、を疑ってみるべきです。
勘違いから、「黒字なのになぜ資金繰りが忙しいのだろう?」と感じているのです。
資金繰りが厳しくなると、よくあるのは、消費税を運転資金として使いこんでしまうことです。
税務署に消費税を分割払いしてもらう、という事態になります。
資金繰りが忙しいのは、上記でお話ししたように、経営者の「キャッシュフロー経営に対する認識不足」に起因します。
ではどうすれば、キャッシュに意識を向けた経営を実行できるのか?
改善策は例えば以下のような方法です。現金の出入りに意識を集中します。
☑ 売掛金
・代金回収に意識を向ける
・取引先ごとに回収条件を確認し、条件の悪い取引先は徐々に受注を減らしていく
・下請法を確認し、法令違反であれば改善してもらう
☑ 在庫、仕掛品
・適正在庫を把握し、発注量を抑える(小ロットにする)
・販売見込みの精度を上げる
・工程管理の精度を上げる
・在庫発注や工程管理を部下任せにしない
・在庫額を定期的に把握し、不良在庫は処分する(在庫処分のルール化)
・社内でルール化し、使途不明金を出さない
・領収書を経理に正確に提出
・消費税納税用として、積立預金を行う
☑ 買掛金
・仕入代金の支払いは、遅ければ遅いほど自社の資金繰りは助かります(一方、取引先には迷惑をかけることになります)。
キャッシュフロー経営に影響を及ぼす主な項目は以下です。自社のキャッシュフロー経営にプラスか、マイナスかを記載します。
勘定科目 | 増加 | 減少 |
売掛金 | 自社キャッシュにマイナス | 自社キャッシュにプラス |
在庫・仕掛品 | マイナス | プラス |
買掛金 | プラス | マイナス |
使途不明金 | マイナス | プラス |
利幅(利益) | プラス | マイナス |
①売掛金
・売掛金が増加するのは、口座に現金が入ってくるのが遅くなることであり、キャッシュにマイナスです。逆に減少はプラスです。
②在庫・仕掛品
・在庫や仕掛品が増加するのは、口座に現金が入ってくるのが遅くなることであり、キャッシュにマイナスです。逆に減少はプラスです。
③買掛金
・買掛金(原材料費や仕入代金)が増加するのは、口座から現金が出ていくのが遅くなることであり、キャッシュにプラスです。逆に減少はマイナスです。
・ただ自社にとってはプラスでも、仕入先からすれば迷惑になることもあります。信頼関係を失い、仕入に支障がでないよう注意します。
上記のように、キャッシュフローに注意を払えば資金繰りは安定していきます。
ただその際、注意点は、各取引において利幅も意識しておくことです。
いくらキャッシュフローが良くても、赤字取引なら、そのうち資金が回らなくなるからです。
※利幅に関する考え方は、こちらの記事を参考にしてください。
【参考記事】会社数字が分かる経営者になるには
以上、キャッシュフロー経営に取り組む上で参考にしていただくと幸いです。
自社で出来れば良いですが、自分で自分を管理し、改善策を実行するのは大変です。
その時は、第三者に手伝ってもらう方法もあります。
当事務所では、記事のような状態になってしまった中小企業の支援実績があります。
キャッシュフローを改善し、本気になって未来に向けた事業継続を考えている中小企業を、応援しております。そばにいて、叱咤激励して応援します。
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