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黒字なのにいつも資金繰りが厳しい。5つの原因と対策

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この記事のポイントは以下の通り。

 

☑ 黒字なのに、資金繰りがいつも厳しいのは、実質は赤字なのかもしれない

 

☑ その原因は、売上の増加、不良在庫、売掛金回収遅延、返済と利益のバランス、社外流出、の5点である

 

☑ それぞれ、正しい原因を資金繰り表作成などで把握し、以下記事の対策をぶつけて、地道に改善に取り組んでいくことが必要である

 

 

決算黒字なのに、資金繰りが厳しいわけ

 

試算表や決算書の損益計算書を見ると、黒字になっているのに、なぜかいつも資金繰りが厳しい、、、

 

それは、損益は黒字になっているが、キャッシュ(現金)が赤字状態になっているからかもしれません。

黒字なのに資金繰りが厳しい理由は、5つあります。

 

①売上が増加している過程で、立替金が増加している

②不良在庫が増えている

③売掛金の回収が遅れている(もしくは不良債権化してる)

④利益以上に借入金の元金返済をしている

⑤社外へ資金が出ている

 

①以外は、表面上は黒字だけれど、実質は赤字である、ということです。

 

原因と対策について、順番に見ていきましょう。

 

①売上増加による立替金の増加

 

売上増加過程において、在庫負担や売掛金の増加が発生し、自社の資金負担が増えます

 

この内容で、資金繰りが厳しいのは成長ステージにおいてよくあることですので、売掛金の回収が遅れるなどがなければ、心配することはないと思います。

 

対策は、銀行に今の状況を説明し、「増加運転資金」として短期融資を申し込むと良いでしょう。この際のポイントは、短期融資で申し込むことです。

 

また、売掛金の回収サイトの交渉や在庫管理の強化、支払いサイトの交渉なども資金繰り安定に有効となります。

 

②不良在庫が増えている

 

在庫管理が甘くなることがあります。本来は年間何回もすべきですが、棚卸を年に1回とか、その1回も曖昧(あいまい)に実施したりします。

 

 

例えば、在庫が簿価で3000万円あり、棚卸をしたら、うち1000万円が売れそうにないなら、実際の在庫は2000万円です(3000-1000=2000万円)。

 

決算時の在庫額は2000万円とすべきですが、多くの企業が在庫で残っているとして、3000万円で計上します。

 

1000万円利益が水増しされていることになります。

 

いよいよ売れなくなって、在庫破棄した場合でも、3000万円で決算書に残していることがあります。

 

長年の在庫処理の結果、実際の在庫は2000万円分しかないのに、7000万円計上されていたりします。この場合、本来は5000万円を処理しておかねばなりませんが、今更決算への影響が大きすぎるため、そのまま放置になります。

 

そして、いつまでたっても現金化できない在庫(不良在庫)を抱えていることになります。当然、キャッシュの巡りは悪くなります。

 

これが在庫負担による資金繰りの悪化です。しかし損失処理していないため、表面上は黒字になっています。

 

いつまでたってもキャッシュにならないのに、表面上は黒字のため、法人税負担(現金流出)まで発生します(決算時に期末棚卸高として仕入高から控除されるため、売上原価が減少し利益になる)。

 

対策は、毎年の決算時に棚卸を正確に行い、毎年毎年、適正在庫を計上しておくこと(その際に不良在庫を除去)、売れ筋をつかんで仕入基準を厳しくする仕入政策の適正化です。

 

③売掛金の回収が遅れている

 

売掛金の回収が遅れた場合も、資金繰りが厳しくなります。

 

入金にならなくても、売掛金が立った時点(例えば請求書を発行した、納品した)で売上高に計上されています。

 

売上が立てば当然、利益にも反映しています。そのため黒字になってるのに、資金繰りは厳しい状態が発生します。

 

対策は、売掛サイトの交渉をきちんとしておくこと、入金チェックをマメに行い、遅れていれば催促すること、です。

 

特に、トップ営業で受注した場合は、注意が必要です。経営者は代金回収など細かい交渉をしっかり行っておく必要があります。

 

社内で回収ルールを決めておくと良いでしょう。

 

④利益以上に借入金元金の返済をしている

 

借入金の元金返済は、経費と勘違いしやすいのです。

 

実際は元金は経費でない(利息は経費です)ため、損益計算書に元金返済は記載されていません。

 

すべての経費を差し引いた最終利益で、借入金元金を返済する必要があります。

 

そのため、決算書の最終利益(+減価償却費)より年間の元金返済が多ければ、資金は不足します。

 

例えば最終利益(と減価償却費を合わせて)1000万円で、元金返済が1500万円なら、500万円資金が不足します(1000-1500=▲500万円)。

 

過去の赤字を銀行融資で補填したり、一時的な運転資金を長期融資で調達したりした場合に、元金返済が増え、黒字なのに、資金繰りが厳しい状態になります。

 

こうなると、新たに銀行融資をお願いするか、法人預金を取り崩すか、個人的な資金を投入するか、資産を売却して現金化するか、他から借りてくるか、となります。

 

対策は、最終利益と年間元金返済のバランスを見直すことです。

 

借入の組み換え、預金との相殺、遊休資産の売却による債務圧縮、コスト削減による利益の向上、などです。

 

また、融資を実行するとき、その金額・方法で良いのか、しっかり事前検討することが大切になります。

 

【関連記事】資金繰りが厳しい原因は、銀行借入金のバランス崩れ。判定法と対処法

 

⑤社外へ資金が出ている

 

社外へ資金が出ている場合にも、資金繰りが厳しくなります。

本業から別の事業や関連会社へ資金を貸し付けている、生活費や遊興費など経営者個人的な支出に充当している、取引先へ貸し付けている、経費処理できない使途不明金がある、などの場合です。

 

これらの支出は経費になりません。よって、現金は減少しますが、利益減少にはなりません。貸借対照表に、貸付金や仮払金として資産計上されます。時間の経過とともに、いずれは使い道も分からなくなり、使途不明金になります。

 

まずい状態と言えます。直ちに改善が必要です。

 

原因は、経営者のずさんな資金・財務管理や脇の甘さです。

 

対策は、経営者が公私のけじめをつけ、過去を反省して、真摯に向き合い行動も改善していくこと、です。

 

原因を分析し、対策をぶつける

 

以上、黒字なのに資金繰りが厳しい5つの原因について、お話ししてきました。

 

①以外は、改善行動が必要です。

 

改善行動をとるためには、まず自社の現状を「資金繰り表」などを作成することで、正確に把握し、原因を分析することです。

 

原因が分かれば、一つ一つ対策をぶつけ、実行に移していきます。

 

会社が厳しい状態に陥ると、これをやると必ずⅤ字回復できるという、ウルトラCの改善策はあまりありません。

 

いくつかの対策を組み合わせながら、地道に時間をかけて継続していくことが大切なのです。

 

 

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