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【試算表 経営活用】経営者が毎月確認すべきポイント・注意点・問題点とは(2025年版)

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「試算表って、毎月見る必要があるの? 年1回の決算書だけじゃダメ?」

「試算表を見ても、どこをどう確認すれば経営に活かせるのか分からない…」

「顧問税理士から試算表は送られてくるけど、正直あまり活用できていない…」

会社の経営状況を把握するために、年に一度の決算書を確認することはもちろん重要です。しかし、変化の速い現代において、年に一度の健康診断だけでは、経営の舵取りは難しいと言わざるを得ません。日々の経営判断を的確に行うためには、毎月作成される「試算表」を定期的に確認し、経営に活用していくことが不可欠です。

この記事では、ここ愛媛県をはじめ多くの中小企業をご支援してきたコンサルタントとして、経営者が試算表を経営活用するために押さえるべき「試算表 確認ポイント」、見落としがちな「試算表 注意点」や「試算表 問題点」、そして試算表を具体的なアクションに繋げるためのステップについて解説します。

試算表経営活用

なぜ毎月の試算表確認が重要なのか?

「決算書で最終的な数字が分かれば十分では?」と思われるかもしれませんが、毎月の試算表確認には、それを上回る重要な意味があります。

タイムリーな経営状況の把握

決算書はあくまで「過去1年間の結果」です。それに対して、月次試算表は**「直近1ヶ月間」および「期初からの累計」の経営成績や財政状態**を示してくれます。これにより、経営状況の変化をタイムリーに把握し、問題があれば早期に対処することが可能になります。

迅速な意思決定の基盤

変化への対応スピードは、現代の経営において極めて重要です。試算表によって最新の数値を把握できていれば、データに基づいた迅速かつ的確な意思決定(例:価格改定、コスト削減、追加投資の判断など)が可能になります。

理想を言えば、試算表は月末締め後10日~2週間以内、遅くとも1ヶ月以内には確認できる体制を構築したいものです。これ以上遅れるようでは、せっかくのデータも「過去のもの」となり、迅速な意思決定には役立ちにくくなります。試算表の作成が遅い会社は、それだけで経営上のハンデを負っていると言えるでしょう。

経営者が試算表で確認すべき3つのポイント

では、毎月試算表が手元に届いたら、具体的にどこを見ればよいのでしょうか? まずは以下の3つの「試算表 確認ポイント」を押さえましょう。

ポイント①:損益計算書(PL)で「利益」を見る

売上高はもちろん重要ですが、それ以上に**「利益がしっかり出ているか」**を確認します。

・確認項目: 売上総利益(粗利)、営業利益(本業の儲け)、経常利益(会社全体の経常的な儲け)

・見方: 当月単月の数字だけでなく、期初からの累計数字も必ず確認します。それぞれの利益が、計画通りか、前年と比較してどうか、利益率はどう変化しているか、などをチェックします。

ポイント②:貸借対照表(BS)で「現預金」の増減を見る【最重要】

貸借対照表(B/S)では様々な項目がありますが、経営者がまず真っ先に確認すべきは「現預金」の残高とその増減です。

・確認項目: 現預金(現金及び預金)の期末残高

・見方:
・前期末や前月と比較して増えているか、減っているか?
・損益計算書の利益と連動しているか?
‣ (正常) 利益が出て、現預金も増えている。
‣ (要注意)利益は出ているのに、現預金が減っている。 → 原因は?(売掛金増、在庫増、借入返済>キャッシュフロー、設備投資、役員貸付など)
‣ (要注意)赤字なのに、現預金が増えている。 → 原因は?(借入増、資産売却、売掛金回収・在庫減(セール等)など)

・通帳残高との一致: 試算表上の現預金残高(特に預金)と、実際の銀行通帳の残高が概ね一致しているか? 大幅な乖離がある場合は、試算表の信頼性自体に問題があります。

現預金の動きは、会社の資金繰りの実態を最も端的に表します。利益が出ていても現金が減っていれば、いずれ資金繰りは行き詰まります。

[関連記事:現預金とは? 帳簿にあるのに現金がない理由と対策]
[関連記事:黒字なのに現金がない!3つの原因と対策]

ポイント③:「前年同月・累計」と比較する

当月の数字だけを見ていても、それが良いのか悪いのか判断しにくい場合があります。「前年の同じ月」や「前年の同期までの累計」と比較することで、季節変動などを考慮した上での業績の変化を捉えることができます。

・比較項目: 売上高、売上原価(率)、主要な販管費、各段階利益、現預金残高、借入金残高など。

・見方: 前年と比較して大きく変動している項目はないか?その原因は何かを考えます。これにより、自社の現在地を客観的に把握できます。

試算表の注意点と問題点:これでは経営活用できない!

上記のような確認を行う上で、**提出される試算表が「会社の経営実態を正しく反映している」**ことが大前提となります。しかし、中小企業においては、以下のような「試算表 注意点」や「試算表 問題点」が存在し、試算表の有用性を損ねているケースがあります。

注意点①:作成タイミングが遅すぎる

前述の通り、試算表の完成が月末締め後1ヶ月以上かかるようでは、経営判断への活用は困難です。これは、経理担当者のスキルやキャパシティの問題だけでなく、社内の資料提出フロー(営業からの領収書提出遅延など)や、税理士事務所との連携に問題がある可能性があります。原因を特定し、早期化を図る必要があります。

注意点②:実態を反映していない

月次試算表の段階では、以下のような理由で実態と乖離した数値になっていることがあります。

・完成基準の採用(建設業など): 工事が完了するまで売上が計上されず、期中の試算表では経費先行で大幅な赤字に見えてしまう。

・期中棚卸の未実施: 在庫の棚卸が決算時にしか行われず、期中の売上原価が不正確になり、利益が実態とズレる。(決算時に在庫が増え、急に黒字化するなど)

・経費計上漏れ: 領収書の提出漏れなどにより、発生しているはずの経費が計上されておらず、利益が過大に見える。(期末に使途不明金として問題化することも)

問題点への対処法:正確・迅速な月次決算体制へ

これらの問題がある場合、試算表は経営判断の役に立ちません。

・売上計上基準の見直し: (可能であれば)進行基準の導入を検討する。

・月次棚卸の実施: 正確な原価・利益を把握するため、可能な範囲で月次での棚卸を実施する。

・社内ルールの徹底: 経費精算のルールを明確化し、期限を守らせる。

正確で迅速な月次決算体制を構築することが、信頼できる試算表を得るための基本です。

[関連記事:銀行提出の試算表 – チェックポイントと注意点]

試算表を「経営活用」するためのステップ

信頼できる試算表がタイムリーに入手できるようになったら、それを具体的な経営改善アクションに繋げていきましょう。これが「試算表 経営活用」です。

ステップ①:数値と「経営者の感覚」を比較する

まず、試算表の数値(特に利益や現預金の動き)が、経営者自身の肌感覚と合っているかを確認します。「思ったより利益が出ている(出ていない)」「もっと現金が増えている(減っている)はずだ」といった違和感があれば、その原因を探ることが重要です。値上げの効果は? 原材料高騰の影響は? 人件費負担は? など、具体的な要因を深掘りします。

ステップ②:分析結果から課題を特定する

試算表の数値分析(利益確認、現預金増減確認、前年比較など)を通じて、自社の具体的な課題を特定します。「粗利率が悪化している」「特定の経費が増加している」「売掛金の回収が遅れている」「現預金の減少ペースが速い」など。

ステップ③:具体的な改善アクションに繋げる

特定された課題に対して、具体的な改善アクションを決定し、実行に移します。「A社への価格交渉を開始する」「〇〇経費の削減目標を設定する」「在庫処分セールを計画する」「借入返済計画について銀行と相談する」など、試算表から得た気づきを、具体的な行動計画に落とし込むことが「試算表 経営活用」のゴールです。

ステップ④:「壁打ち相手」と対話する

試算表を見て感じたこと、分析した結果、考えられる対策などについて、信頼できる相談相手(「壁打ち相手」)と対話することも非常に有効です。顧問税理士や経営コンサルタントなど、数字に強く、客観的な視点を持つ相手が良いでしょう。
自分の考えを口に出して説明することで思考が整理されたり、相手からの質問や意見によって新たな気づきが得られたりして、具体的な行動への決意が固まることがあります。

(例)社長:「利益率が下がっているので、価格交渉が必要かもしれませんね」
(相手):「そのタイミングかもしれませんね。まずはどの取引先から始めますか?」

(例)社長:「売掛金が増えているので、回収管理を強化しないと…」
(相手):「営業担当者の評価基準に回収を加えるのも手かもしれませんね」

まとめ:試算表は経営の羅針盤。毎月の確認・活用を習慣に

試算表は、単に過去の数字を確認するためだけの書類ではありません。**タイムリーに作成・確認し、正しく読み解くことで、会社の現状を把握し、将来の進路を決定するための「羅針盤」**となります。

・試算表は最低でも月次で、1ヶ月以内に確認する体制を目指す。
・確認ポイントは「利益」「現預金」「前年比較」。
・注意点・問題点(作成遅延、実態との乖離)がないか常に意識する。
・分析結果を具体的な改善アクションに繋げる「経営活用」を意識する。
・信頼できる相談相手との対話も有効。

ぜひ、試算表の定期的な確認と活用を習慣化し、データに基づいた的確な経営判断によって、会社の持続的な成長を実現してください。

この記事が、貴社の試算表活用、そして財務改善の一助となれば幸いです。

 

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