アクションプランと数値計画の第9回目。
今日は、「アクションプランと数値計画:税額計算表作成のポイント」の話をします。
この記事のポイントは一つ。税額計算には繰越欠損金の理解が必要である。
税額計算表とは、PL計画の法人税等充当額を算出するための計算シートのことです。
税額計算は、「税引前当期純利益」がスタートラインとなりますので、PL計画策定後の着手となります。
税額計算は、金融支援計画の返済財源(簡易キャッシュフロー)を決定するうえで大切ですので、正しく導き出す必要があります。
【金融機関借入金返済財源】={経常利益-法人税+減価償却費(リース償却除く)-優先弁済}×80%
経営再建計画添付の税額計算表の一番のポイントは「繰越欠損金」です。
繰越欠損金とは、税金の計算において、次の期に繰り越すことができる税務上の赤字金額です。
経営再建計画に着手する会社は、業績が悪化しているので、多くの会社に繰越欠損金が存在します。
次期決算の黒字から繰り越した赤字部分を控除して税金が計算されます。
計算式:法人税=(税引前当期純利益-繰越欠損金)×税率
平成30年4月1日以降に発生したものは、10年間引き継ぐことができます。
繰越欠損金額は、決算書別表7(一)「欠損金の損金算入等に関する明細書」で確認します。
以下を参考にしてください。
【繰越欠損金の確認方法:決算書別表7(一)】
実際私が作成している経営再建計画に添付する税額計算表フォーマットで、計算手順を説明します(パソコンサイトの方は、表のうえでクリックすると拡大します)。
(ステップ1) ①の欄にPL計画から税引前当期純利益(0年目~5年目)を転記する
(ステップ2) ②の欄に別表7(一)から、直近期実績(R6年)の繰越欠損金を転記する
(ステップ3) ②の欄に繰越欠損金が当期純利益との関係でどう増減するか推移を記載(0年目~5年目)
(ステップ4) ①税引前当期純利益から②繰越欠損金を引いて③の欄に課税所得を算出
(ステップ5) ③課税所得に税率(概算税率30%)をかけて⑤の欄に税額を算出
(ステップ6) ⑤税額に⑥均等割りを加えて⑦の欄に法人税等を算出
(ステップ7) PL計画の法人税等充当額の欄に⑦に欄に法人税額数値を転記
以上が税額計算表作成の流れになります。
上記の事例では、計画1年目に一時的に赤字なりますが、その他は黒字です。
黒字でありながら繰越欠損金が節税効果となり、「金融機関借入金返済に充当できる金額が増える」ことが分かります。
以上、「税額計算表作成のポイント」について、お話しました。
今後の貴社の財務改善にお役立ていただけますと幸いです。
次回は、アクションプラン&数値計画「BS計画」についてお話ししていきます。
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