経営者の皆さん、こんなことで悩んでいませんか?
☑ 決算は黒字なのに、なぜかいつもお金が足りない
☑ コストを削減したいが、何をカットすれば良いか分からない
☑ 資金不足がギリギリまで分からないので、いつもお金の準備でバタバタする
☑ 運転資金が必要だが、いくらの金額必要なのか、銀行に説明できない
上記の問題を解決するために、まず必要なのは、資金繰り表を作成することです。
もちろん、決算書も試算表も大切な資料なのですが、眺めていても資金の流れは分かりません。
少し例を挙げます。
☑ 銀行借入金の返済元金額は、損益計算書には記載されません。
☑ 社長と会社のお金の貸し借りは、損益計算書には記載されていません。
☑ 売掛金の回収遅れや、不良在庫のふくらみは、損益計算書には記載されていません。
☑ 新店舗出店で大家さんに敷金を預けても、損益計算書には記載されていません。
☑ リース資産以外の減価償却費は、損益計算書でマイナスカウントされていますが、実際にお金は動いていません。
他にもありますが、などなど。
いずれも、資金繰りに影響を与えます(上記の場合、減価償却費と社長から会社がお金を借りる以外は、資金繰りを苦しくする要因)。
しかし、短期的には損益計算書及び試算表をいくら眺めても、見えてこないのです。
経営者は、「決算書の最終利益=残っているはずのお金」と考えているため、勘違いが起こります。
そのため、キャッシュフロー計算書があります。
【参考記事】中小企業経営者は、キャッシュフロー経営を意識せよ!
ここではもう一つ、原始的ですが、分かりやすく効果が高い、資金繰り表について考えてみます。
過去2年間の資金繰り実績を作れば、自社がどのようなお金の使い方をしているか、一目瞭然になります。
そのため、過去2年間の資金繰り実績表を作ると仮定して説明します。
用意するものは、以下です。
① 売上入金、支払いなど、口座の動きがある会社名義の通帳(2年分)
② 当座預金の移動帳(2年分)
③ 個人名義であるが、実際は会社のお金を出し入れしている通帳(2年分)
④ 現金出納帳(2年分)
⑤ 銀行借入金返済表(過去2年分)
⑥ 個人名義だけど、会社の運転資金に使っている個人ローンの返済表(2年分)
⑦ リースの支払帳(2年分)
⑧ 給与支払い台帳(2年分)
⑨ 固定資産税納税通知書(2年分)
上記で用意した数字を資金繰り表フォーマット(月ごと)に落とし込んでいきます。
例としてエクセルシートの資金繰り表ひな形を添付し、入力のポイントを説明します(画面クリックで表は拡大します)。
① 営業収入
店舗別に計上したほうが良いのか、取引先別に計上したほうが良いのか、商品別に計上したほうがよいのか、販売チャネル別に計上したほうが良いのか、会社の業態に応じて、選びます。決して売上高として、合計一本化して入力しないことです。その月に入金された金額を入力します。
見る項目;通帳、当座預金移動帳、現金出納帳
② 人件費
役員報酬、定額給与(正社員)、雑給(パート・アルバイト代)、賞与、退職金、社会保険料に分けて入力します。
見る項目;通帳、当座預金移動帳、現金出納帳、給与支払い台帳
③ 原材料費
店舗別に計上したほうが良いのか、取引先別に計上したほうが良いのか、商品別に計上したほうがよいのか、販売チャネル別に計上したほうが良いのか、会社の業態に応じて、選びます。仕入高として、合計一本化して入力しないことです。その月に入金された金額を入力します。
見る項目;通帳、当座預金移動帳、現金出納帳
④ 販売管理費
項目ごとに細かく分けて入力します。決算書の勘定科目の仕訳を参考に項目を分ければ良いと思います。ただし注意点は、支払手数料、雑費など一括して入力しないことです。例えば支払手数料なら、中身は何なのか、銀行振込料なのか、どこかに対するフィーの支払いなのか、細かく分けます。細かく分けないと実態がつかめなず、以後の改善につながりません。
見る項目;通帳、当座預金移動帳、現金出納帳
⑤ リース料
項目ごとに細かく分けて入力します。例えば機械リースなのか、営業車リースなのか、社長の車のリースなのか、事務機器リースなのか、分けて入力することが大切です。分ければ何にどれだけかかっているか、把握できます。
見る項目;リースの支払い帳、通帳、当座預金移動帳、現金出納帳
⑥ 設備
新規で設備投資に投入したお金、または設備を売却して入ってきたお金を入力します。注意点は、売却して入ってきたお金は、プラス勘定することです。逆に新規投資は、お金が出ていくため、マイナスカウントします。
見る項目;通帳、当座預金移動帳、現金出納帳
⑦ 支払利息
銀行借入返済表から、支払利息を抜き出して、入力します。通帳引き落としは、元金と利息合計で記載されているため、返済表から内訳を確認します。銀行ごとに分けても、一括計上しても会社の状況に応じて使い分けましょう。
見る項目;銀行借入金返済表
⑧ 税金
税金種類ごとに分けます。法人税、消費税、市県民税、固定資産税、自動車税、に分けて入力しましょう。
見る項目;通帳、当座預金移動帳、現金出納帳、固定資産税納税通知書
⑨ 銀行からの融資金、銀行への返済元金
融資金は口座に入金になった金額、返済元金は銀行借入金返済表の元金返済額(利息は除く)を入力しましょう。
見る項目;通帳、当座預金移動帳、現金出納帳、銀行借入金返済表
⑩ 役員個人からの借入、役員個人への貸付
この項目は、資金繰り表を作るとき抜けることがありますが、決して忘れてはいけない重要項目です。中小企業の場合、法人と役員個人は一体化していることが多く、この資金の流れを把握しないと、正しい資金繰り表はできません。役員が個人ローンを借りて、会社に貸し付けているときなど、入金と出金を正しく入力することが大切です。
見る項目;通帳、当座預金移動帳、現金出納帳、役員個人名義の通帳、役員個人ローン返済表
以上の項目を1か月ごとに入力していきます。資金繰り表の一番下の翌月繰越額が、「実際の通帳残高と手持ち現金残高の合計」と一致していれば、正しく数字を拾えています(個人で言えば、財布の中のお金と、家計簿の残高が一致しているということです)。1か月ごとに残高を合わせて、次の月に進みます。
金額が合わなければ、どこか抜けがあるので、修正が必要です。
過去2年間の資金繰り表が完成すると、自社のお金の流れに対して、気づかなかったことが見えてきます。
今後の財務や資金繰り改善のヒントが見つかるはずです。
過去2年間の資金繰り表が完成すれば、今後1年間の将来予測を作ってみます。
支出(コスト)は、過去の推移からだいたい推測できるでしょうし、入金(売上)は、現在の状況から業界動向を予測し、値を入力してみます。
すると、どのタイミングでいくら資金が必要になるのか、事業継続のためにはいくらぐらい入金(売上)が必要か、支出(コスト)はどれぐらいに抑えないといけないか、が分かってきます。
資金繰り表作成は、会社の経営力強化につながるのです。
経営者の皆さん、自社の資金繰り表を作ってみませんか?お手伝いしますので、下記お問い合わせ欄からご連絡ください。
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