アクションプランと数値計画の第7回目。
今日は、「アクションプランと数値計画:PL計画作成のポイント」の話をします。
PL計画とは、損益計算書(PL)についての計画のことです。
会社の状況に応じて、3年計画、5年計画、10年計画とありますが、ここでは5年計画で話を進めていきます。
PL計画は、会社再建を進めていくうえで、中心的な計画になります。
1年後ごとの損益がどのように推移していくかの計画が、金融機関借入金の返済プランに大きく影響するからです。
基本的には、PL計画の「利益+減価償却費」が金融機関借入金の返済財源となります。
【参考記事】自社の決算書から長期借入金の返済能力を判断する簡便な方法
そのため、債権者である融資先金融機関にとってPL計画がどうなるかは、大きな関心事です。
このように大事なPL計画ではありますが、実は前回までのコラムでお話ししてきた手順により、すでに材料はほとんど揃っています。
実際に経営再建計画で使うフォーマットで説明してみましょう(パソコンで閲覧の方は、表のうえでクリックすると拡大します)。
①売上高
・取引先別売上計画や販売管理費計画で計算された数値を転記します。
・売上高成長率により、その売上計画が達成可能か確認していきます。
②売上原価
・製造原価計画や販売管理費計画で計算された数値を転記します。
③減価償却費
・減価償却明細と設備投資計画で計算された数値を転記します。
④販売費・一般管理費
・販売管理費計画で計算された数値を転記します。
⑤営業外収益
・過去実績を参考に作成します。過去実績が、一過性の補助金、助成金、保険解約金、有価証券解約金、等により多額となっている場合は、特殊要因を除いて数値を入れます。
⑥営業外費用(支払利息)
・金融支援計画の支払利息数値を転記します(「金融支援計画」の作成法については、後日改めて説明します)。
⑦法人税等
・税額計算表の数値を転記します(「税額計算表」の作成法については、後日改めて説明します)。
このようにすでにこの時点で材料は揃っているので、その数値を転記するだけでPL計画は完成します。
逆に言えば、事業デューデリがしっかりと出来ていなければ、根拠をもったPL計画は作成できないということです。
このコラムで何度も触れてきましたが、経営再建計画のPL計画について、根拠のあるものを作るためには、ここまでに至る過程、特にデューデリが大切です。
しっかりとしたデューデリができていれば、取引先別や商品カテゴリー別の売上計画が完成するでしょう。
デューデリで取引先別や商品カテゴリー別の売上要素分解ができていなければ、まるっとした売上計画になります。
「過去3年このような金額だったので、今後5年間は3%づつ増加して、この売上金額です」。
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このようなざっくりしたPL計画では、金融機関を納得させ、協力を仰ぐ経営再建計画書はできません。
PL計画は、①販売管理費計画②製造原価計画③金融支援計画④税額計算表⑤減価償却費と設備投資計画⑥リース支払計画などから構成されており、事前にそれさえきちんとできていれば、後は数字を転記するだけです。根拠のしっかりしたPL計画となります。
以上、「アクションプラン&数値計画:PL計画作成のポイント」について、お話しました。
今後の貴社の財務改善にお役立ていただけますと幸いです。
次回は、アクションプラン&数値計画「金融支援計画」についてお話ししていきます。
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