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銀行は、決算書のどこをチェックしているのか

 

融資残高があれば、銀行への決算書提出が必要

銀行融資を受けている企業は、毎年決算書が出来上がれば、銀行から決算書の提出を求められます。

「今年は融資を受けていないのに、なぜ提出しないといけないの?」

それでも例えば、3年前に長期融資を受けていて今も融資残高があれば、銀行は提出を求めてきます。

当座貸越や手形貸付、割引手形の融資枠を作っていれば、使用していなくとも、決算書の提出を求められます。

逆に言えば、融資返済が完了したり融資枠を廃止するなど、融資残高が完全になくなければ、提出を求められても断ることができます。

 

決算書は、貸借対照表や損益計算書に加えて、勘定科目の内訳明細、税金計算の部分などを合わせると、かなりの分量になります。

「面倒なので、貸借対照表や損益計算書、販売管理費明細など、重要部分の4~5枚だけでダメだろうか?」と思っても、全部コピーを依頼されます。

経営者としては、「銀行は、一体決算書のどこを見ているのか?」気になるところだと思います。

全てをここでお話しすることは難しいのですが、何点かポイントをお話したいと思います。

 

損益計算書は、ここを見る

まず銀行員が一番気にしているのは、損益計算書です。

損益計算書には、1年間の売上、経費、利益が記載されています。

経営者は、一番上の「売上高」が気になります。

自分の会社が過去と比較して伸びているか、縮小しているのかが、関心ごとだからです。

対して銀行員は、損益計算書を下から見ます。

つまり「利益」をまず確認します。

売上が増加していても、利益が赤字になっていたり、減少していたりすると、良い評価をしません。

なぜなら、銀行融資(特に1年以上の長期融資)の返済財源は、1年間の企業活動を通じて残った利益「税引き後の当期純利益(+減価償却費)」だからです。

 

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減価償却費もチェックします。固定資産に対して、あきらかに減価償却費が少なければ、償却不足を疑います。

そして、決算書の『別表16』で『減価償却不足金額』を見て、金額を確認します。

ここに経営者と銀行の見解の違いが発生します。

法人の場合、税法上は減価償却費の経費計上は任意です。だから利益が少なければ、減価償却費を計上しないことがあります。

銀行は「減価償却費」を融資の返済財源と考えているため、「減価償却費を計上しないこと」に敏感なのです。

減価償却費を計上しないことで利益がかさ上げされます。結果、「税法上でフル償却していれば払う必要がない税金キャッシュアウト」が発生することもあります。キャッシュアウトが増えると、その分、融資の返済財源が減ります。

 

【関連記事】減価償却不足額を、銀行はどう見ているか

 

会社が銀行と融資取引を親密にしているにもかかわらず、「社長、今期は利益が少ないですが、減価償却費はどうしますか(計上しますか、やめておきますか)?」と聞いてくる税理士がもしいたら、減価償却費に対する銀行の考え方を理解していない税理士です。

また、経営者が会社の正しい姿を把握するうえで、減価償却費はどんなに業績が厳しくても、計上するほうが良いと思います。

 

貸借対照表は、ここを見る

貸借対照表でまず見るのは、純資産の部です。

資本金と利益剰余金をプラスしたものが純資産の部ですが、ここがマイナスになることを、「債務超過」と言います。

銀行は、この「債務超過」の状態を厳しく評価します。

債務超過は、現時点で会社を解散した場合、資産を売却しても債務(借金や買掛金など)が残ります。理論上では、会社を辞めたくても、自然体ではやめられません。

 

債務超過状態になると、銀行の融資態度が厳しくなります。融資担当者は応援したいと思っていても、融資システム上、審査が難しくなるのです。

経営者は、自社の純資産の部に気を配り、自社が「債務超過になっていないか、また債務超過に陥りそうでないか」を把握しておく必要があります(債務超過でない状態は、資産超過と言えます)。

 

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決算書が資産超過でも安心できないわけ

 

あとは、資産勘定や負債勘定の前期との増減を見ています。

売掛金の回収は遅れていないか、在庫は不良化していないか、貸付金、仮払金、立替金などに中に、使途不明な資金流出はないか、固定資産の投資はないか、などの項目について、前期の金額との増減を見ます。金額に大きな変化があると、理由を質問されます。

特に使途不明金については突っ込んで聞かれますので、経営者が返答の準備をしておかねばなりません。

 

【関連記事】銀行員は、決算書の役員借入金と役員貸付金をこう見ている

 

勘定科目内訳明細書は、ここを見る

次に、決算書勘定科目の内訳明細書です。

この部分も、隅から隅までしっかり見ます。

まず銀行員が気になるのは、預金残高と借入残高の内訳です。

預金残高が他銀行に移されていたり、新たな融資を他銀行で受けられていたり、営業担当者は冷や冷やしています。

事前に知っていれば問題ないですが、知らなければ「担当企業の動向が把握できていない!」と上司から怒られます。

 

【関連記事】銀行との上手な付き合い方⑦~自社の決算期に気をつけること~

 

振出手形の相手先や売掛金の内訳なども、しっかり確認します。

基本的にはお話しした通り、前期との増減を見ますので、金額に大きな変化があれば、銀行員から確認が入ります。

 

経営者として決算書への向かい合い方

このように銀行の決算書の見方について、説明しました。

税務申告期限の少し前に、顧問税理士事務所から「これでいかがでしょう?」と確認が入ります。

その時点ではほぼ数値は確定しており、対策の立てようがありません。

経営者が数字に苦手意識を持っている、頼りになる経理担当や税理士事務所に任せているなど、色々事情があると思います。

しかし経営者として、自分の会社の決算数字に弱ければ、経営リスクにつながります。

例えば、毎月試算表の数字を確認し数値の動きを理解しておく、不明な点は担当者に随時確認しておく、など習慣にしておけば、だんだん分かるようになってきます。まずはやろうとする姿勢が大切です。

 

銀行員は、決算書を見ることにかけてはプロです。

融資金が返ってくるかどうか、決算内容を詳しく分析しているからです。

融資金が返済できる状態は、会社経営で利益が残る、ということです。会社にとっても良いことです。

銀行が良いと思う決算内容=会社にとって良い状態 となります。

今回は、銀行の決算書の見方を一部でも知っておけば経営にプラスになる、と思いご紹介しました。

参考いただければ幸いです。

 

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2期連続赤字が続くと、銀行員にチェックされる決算書3つの項目

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銀行員は決算書のどこを見ているか②~損益計算書編~

銀行員は決算書のどこを見ているのか③~販売管理費編~

 

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