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貴社のメインバンクがなくなる???

メインバンクとは

皆さん、経営者にとってメインバンクとはどんな銀行ですか?

・創業時からお世話になっている
・その銀行の口座を売上代金の入金や、支払いの口座に指定している
・いつも資金が必要になったときに融資を受けている融資残高が一番多い銀行

色々なとらえ方があります。

逆に、銀行から皆さん方企業を見てメイン先とは、「融資残高が一番多いこと」を指します。

メインバンクは、メイン企業先に対して、他の銀行が支援をやめても、通常最後まで面倒を見ます。

しかし、そんな頼りになるメインバンクが、将来消滅するかもしれない、という議論が銀行界では交わされているのです。

金融庁が発表した今後の地域金融の課題

つい先日、金融庁は「有識者による金融仲介の改善に向けた検討会議」がまとめた「地域金融の課題と競争のあり方」という報告書をまとめました。

その報告書によると、地域の人口減少や金融環境の変化により、全国47都道府県のうち、地域金融機関2行での競争が可能な地域は、10都府県しかないと発表しました。宮城、埼玉、千葉、神奈川、静岡、愛知、大阪、広島、福岡、鹿児島です。

そして、「地域金融機関2行での競争は不可能だが、1行単独(1番行のシェアが100%)ならば、存続可能な地域」は13都道府県、「1行単独になっても不採算の地域」が23都道府県と発表しました。

ちなみに四国であれば、愛媛県は「1行単独なら存続可能」、残りの3県はいずれも「1行単独でも不採算の地域」と試算されています。

以上のように、分析データを用いて、衝撃的な報告がされました。

金融庁はこの報告書で何を言いたいか

この外部有識者会議の報告書を金融庁はどのように受け止めて、今後の金融行政につなげていくのでしょうか。

個人的な意見ではありますが、
金融庁は、

・地域経済や人口が縮小する中で、地域金融機関の間で顧客の奪い合いが発生し、それが地域金融機関の体力を奪っている
・このままこの競争環境を放置すると、地域金融機関の経営体力が低下し、金融仲介機能に懸念が生じる
・地域金融機関は、過当競争を防ぐため、体力のあるうちに合併や提携により、経営統合するほうが良いのでは(数を減らす)
・経営統合により、重複店舗統合や人員整理、システム統合によるコストダウンが可能となり、できた余力を地域企業の支援に振り向けてほしい

と、考えているように感じられます。

この報告書は、公正取引委員会への説明文?

昨年九州地区で、福岡フィナンシャルグループと十八銀行の経営統合の話が持ち上がり、金融庁は歓迎ムードでした。

しかしながら、同じ行政組織である公正取引委員会から「待った!」がかかり、経営統合が保留になりました。

公正取引委員会は、この経営統合により、長崎県内において福岡フィナンシャルグループの融資シェアが高くなり、融資先企業に不利益を及ぼすと判断したからです。

確かに、(特に離島など)地域銀行が1つしかないと、顧客は選択の余地がありません。高い金利を提示されても、従わざるを得ません。

一方その動きに対して、金融庁は前記 (「地域金融の課題と競争のあり方」) の報告書をまとめました。公正取引委員会の判断に対する金融庁の見解は、以下です。

・厳しい金融環境の中で、経営統合ができないと、地域金融機関の体力が低下する
・金融機関の体力が低下すると、過去の経緯からも、貸し渋りや融資引き上げが発生し、地域企業の資金調達に悪影響が及ぶ
・経営統合金融機関については、銀行法により金融庁がその後の融資姿勢等をモニタリングするのだから、金利引き上げなど、顧客が困るようなことは発生しない
・だから、余力があるうちに地域金融機関同士が、経営統合を進めていくべきである→(この部分は直接記載がありませんが、私の予想)

このように同じ行政組織の中で見解が分かれて状況が膠着し、地域金融機関や地域企業は、方針を決めかねて困っているのです。

報告書は、経営統合を推し進めたい金融庁と地域金融機関にとって後押しになるでしょう。そして、厳しいと名指しされた都道府県の地域金融機関経営者も、客観的報告を受け、経営統合に向け、重い腰を上げるかもしれません。

メインバンクの動向はどうか

そこで皆さんに対して、今後予想される影響です。

もしかしたらですが、将来的に貴社が長年に渡り取引をしていたメインバンクが統合される可能性も出てくるのです。

メインバンクが変わると、融資方針が変わることもあります。今までのような、あうんの呼吸は通用しなくなるかもしれません。

銀行対応は、短い時間ではできません。時間をかけて計画的に進める必要があります。

必ずしもこの報告書がすべて正しいとは限りません。全てが消滅するわけでなく、創意工夫により、顧客に支持され永続していく金融機関も出てくるでしょう。

しかしながら、経営者に求められるのは、「金融環境の変化を察知して予測し、準備や対策を立てておく姿勢」、だと感じるのです。

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