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経営危機を乗り越える!経営再建計画の作り方|①再建計画が必要な状態とは?

このコラムでは、政府の中小企業支援方針が「当面の資金繰り」から「事業再生支援」へとステージ移行したことをお話ししてきました。

事業再生するにあたり、必要なのは、経営再建計画です。

実践で役立つ経営再建計画とはどんな計画か。

作成の手順はどうすればいいのか?作成のポイントは?

今日から何回かに分けて説明していきたいと思います。

 

経営再建計画が必要な状況とは

私個人的には、経常利益の赤字が二期続いたら経営再建計画が必要だと思っています。

二期連続赤字になると、赤字が恒常化した可能性があります。

ここで手を打たないと、泥沼に嵌っていきます。

出来るだけ早いほうが良いので、期の途中でも二期連続赤字が確実になった時点で動くと良いでしょう。

ただし、粉飾しての黒字は赤字と同じですので、注意してください。

【参考記事】粉飾認定されると銀行の融資態度は180度変わる

どのように動けば良いのでしょう?

 

自社で作成する限界

経営再建計画を自社で作成するのも、一つの方法ですが、あまりうまくいかないかもしれません。

なぜなら、二期連続赤字を赤字を引き起こした原因は、多くが会社内部にあるからです。

経営の意思決定思考とか、親密な取引先との関係性とか、組織上の問題とか、コストの問題点とか、自社が抱える問題点を的確に把握することは難しいものです。

問題や課題を整理して、アクションプランを作り、数値に落とし込む。自社内で完結するのは難しいことです。

取引金融機関や行政機関など、外部に相談して、支援を受けると良いでしょう。

 

多いのはメインバンクが公的支援機関に持ち込むパターン

私は独立後13年間で、30社以上の再建計画策定のお手伝いをしてきました。

ほとんどが、金融機関、中小企業活性化協議会(旧再生支援協議会)、信用保証協会からの紹介案件です。

まずメインバンクが、中立的公的支援機関の中小企業活性化協議会(以下活性協と略す)や信用保証協会(以下保証協会と略す)に相談します。活性協や保証協会が金融機関から持ち込まれた案件を精査し、相談者である中小企業の事業継続可能性を確認します。

手を入れれば継続可能性があると判断されれば、支援専門家に取り次いで支援スタートとなります。

この時点で、中小企業、メインバンク、専門家、そして取りまとめ役である公的支援機関の目線合わせができています。

そのため、支援スタートがスムーズなのです。

 

待ちの姿勢で手遅れになる

ただ金融機関からの提案を、待ちの姿勢でいるうち、時間切れになるケースもあります。

「もう少し早く相談してくれていたら、、、」再生支援現場でよくある嘆きです。

金融機関にも、事業再生に熱心な金融機関と、意識を向けていない金融機関が存在します。

熱心な金融機関なら、良いタイミングで再建計画策定を提案してくれるでしょう。

しかし、事業再生に意識が向いていない金融機関なら。待ちの姿勢では時間切れになります。

まずは、メインバンクに相談し、それでも相談に乗ってくれなければ、活性協など公的支援機関に相談する方法があります。

ただ、それは最終手段で、できればメインバンクが相談に乗ってくれるよう、粘り強く交渉しましょう。

メインバンクを通り越して直接公的支援機関に相談することについて、渋い顔をする金融機関もあります。

その点は、経営者には慎重さも必要です。

もし公的支援機関へのルートが難しいなら、自社で今出来る自助努力を始めるしかありません。

【参考記事】二期連続赤字になった。経営者は今すぐ何をするべきか。

 

405事業を使う

活性協に相談する以外の方法として、405事業を使って再建計画を作る方法があります。

405事業とは、中小企業が再建計画を作るにあたり、専門家へ支払うフィーの2/3を補助してくれる事業です。

金融機関との調整役や再建計画の策定支援を、国が認める「経営革新等支援機関」(私も認定されています)と言う専門家が担当してくれます。

補助事業への申請、金融機関との調整役、再建計画の策定などを経営革新等支援機関が代行してくれます。

私も405事業が始まってから約10年間で、9社のお手伝いをしました。すべて金融機関からの紹介です。

金融機関交渉(債権者会議の開催など)、金融機関が認める精度の高い再建計画、計画策定後の3年間のモニタリングなど、金融専門知識が必要なので、経験が少ない経営革新等支援機関には荷が重い部分もあります。

経営革新等支援機関の選定には注意が必要です。

405事業の活用には、メインバンクの同意が必要です。まずはメインバンクに相談してみましょう。

メインバンクに、客観的な視点で支援してくれる専門家を紹介してもらうと良いでしょう。

405事業活用のポイント、詳しくはこの記事を参照してください。

【参考記事】405事業で赤字経営を立て直す!注意点とチェックリスト

 

再建計画策定を成功に導くには

再建計画策定の最終的な目的は、立案した再建計画を実施することで、会社業績が立ち直り良い状態で事業継続できることです。

そのためには、実現性の高いポイントを的確にまとめた再建計画が必要です。

実現性の高い再建計画を作成するためには、以下の様なポイントがあります。これらは私が経験を通じて学んだことです。

✔ 経営者が本気で経営再建に取り組む覚悟を持つこと
→ 過去を反省し、身を削る覚悟を持ち、隠し事をせず、プライドを捨てて再建に取り組むこと。

✔ 本業に強みを有していること
→ 業績悪化していても、熱心な固定客がいる、顧客から支持されている商品やサービスがある、他社にはない強みを持っている、など。

✔ 経営者をバックアップする家族や社員がいる
→ 家族や幹部社員が経営再建に力を貸す、経営者が家族や幹部社員に正直に現状を説明し、力を借りる。

✔ メインバンクがバックアップ体制をとっている
→メインバンクの支援なしには、再建計画は策定できません。

✔ 経験豊富で客観的視点を持ちながら、熱意をもって支援してくれる専門家と出会う
→ 長年付き合いがある顧問税理士は信頼できますが、会社の身内のような存在です。距離が近すぎて、客観的な視点にはなりません。

再建計画がゴールでないものの、再建のスタートではあります。

そして大切なのは、手遅れになる前に、素早く動き出すことだと私は考えます。

二期連続赤字は、その一つのサインです。

以上、「経営再建計画が必要な状況」について、お話しました。

今後の貴社の財務改善にお役立ていただけますと幸いです。

次回は、「経営再建計画の構成」についてお話しします。

 

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ご覧いただきありがとうございました。

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