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コロナ禍で追加融資を受けられる赤字、受けられない赤字

「地銀融資コロナで膨張」という、日経新聞の記事を読みました。

昨年5~6月にかけ多額に実行されたゼロゼロ融資は、1年間の元金据え置き期間を設定していることが多いようです。そろそろ返済が開始されます。

当初想定以上にコロナ禍が長引き、追加融資が必要な中小企業もあるでしょう。

追加融資が必要ではあるけれど、赤字で追加融資が受けられるか不安、、、。

赤字ということは、基本的に融資を受けても返済できる財源がないということです。

しかし、数多くの中小企業が赤字を計上しています。では赤字の中小企業は追加融資を受けられないのでしょうか?

結論から申し上げますと、赤字だから必ず追加融資が受けられないわけではありません。

そこで今日は、追加融資を受けられる赤字、受けられない赤字について、その違いは何なのか、一緒に考えてみたいと思います。

 

赤字の原因

まず赤字の原因です。

追加融資を受けられる赤字とは、一過性の要因に起因した赤字です。

例えば現在で言えば、コロナによる売上減少の赤字です。

新型コロナウィルス感染症は、災害指定扱いで、国の制度融資などでは、印紙税や金利の減免対応がとられています。

コロナが落ち着けば黒字化が期待できる赤字なら、今は一過性要因で赤字になっているだけと判断され、追加融資の審査土俵には上るでしょう。

逆にコロナ前から赤字だった企業でも、コロナにより昨年制度融資を受けられた中小企業はかなり多いと推定されます。

ただ、コロナ前から赤字だった企業が、コロナ融資を受けられたのは、政府が多額の予算計上を行った前回だけです。運よく融資が受けられた、と言えるでしょう。2度目のコロナ融資は難しくなります。

もともと赤字だったところ、コロナでさらに大きなダメージを受け、赤字が恒常化している場合、追加融資(2度目のコロナ融資)は難しくなると予測されます。

 

融資を受けるタイミング

前回いつ融資を受けたかも、重要な要素です。

通常金融機関は、前の融資から次の融資まで最低6か月程度の期間を空けることが多いです。

前回融資から1年程度期間が空いているなら、赤字でも審査の土俵に乗る可能性があります。

ただ、前回融資が元金据え置き期間中であれば、追加融資は難しいかもしれません。

据置期間を設定せず返済が進んでいるのなら、返済した金額は追加融資してくれる可能性があります。

例えば、500万円返済した部分を同額追加融資してくれるなどです。

 

赤字額の推移

前回融資を受けたあと、赤字幅が減少している場合は、赤字でも追加融資の土俵に乗るでしょう。

融資を受けた際、今後の見通しを金融機関に説明していたはずなので、改善が数値として目に見える形で現れれば、追加融資を受けやすくなります。

赤字額の改善を数値で説明できるよう、試算表など説明資料は、すぐ提出できるよう、常日頃から準備しておきましょう。

逆に前回融資より、赤字幅が増加していれば、追加融資は難しくなります。

金融機関は、追加融資にあたり、赤字幅の改善度を審査していることを知っておきましょう。

 

コストカット許容度

先ほどの赤字額の改善幅にも関係しますが、金融機関は追加融資にあたり、コストカット許容度を見ています。

今は赤字でも、コストカット許容度があれば、追加融資の審査土俵に乗るでしょう。

例えば、

☑ 社長が多額の役員報酬を取っていて、今後削減余地がある

☑ 接待交際費を多額に使っており、削減余地がある

☑ 親族向けに地代家賃を払っているが、親族は生活に困っておらず削減余地がある

などの場合は、コストカット許容度があると言えます。これらを削減できれば、今後黒字化できるからです。

逆に、今までコストカットをギリギリまで実施し、削減の余地がなければ、コストカット許容度はないと言えます。赤字解消は困難と判断され、追加融資に対して厳しい評価となるかもしれません。

【参考記事】銀行から見て首をひねりたくなる決算書⑤~赤字なのに役員報酬、接待交際費が多額~

 

既借入の返済状況

コロナ禍においてもこの部分は、金融機関の融資態度に変化がありませんでした。

すなわち、原則リスケジュール(融資元金返済猶予措置;以下リスケ)先には追加融資しない。

なぜなら、リスケ自体が融資行為だと考えているからです。

リスケに対して、金融機関と経営者の間では感覚の相違があります。

金融機関は、当初約束した返済を猶予していること=金融支援している≒追加融資している、と考えています。

だからリスケ期間中の追加融資に対して、とても消極的です。

逆に赤字であっても、返済猶予期間を設けず、支払いを期限通りきちんと実施していれば、追加融資に応じてくれます。

 

資金の使いみち

前回の融資が当初の約束通りの使いみちに使用されたのか、金融機関では「資金使途」と言いますが、非常に重視します。

なぜなら金融機関は、資金使途に違反した融資は返済の可能性が低いことを、経験上知っているからです。

そのため、融資審査では「資金使途」を重視します。

【参考記事】資金使途違反を見つけたときに銀行が取る行動 ~やってはいけない、即アウトの違反~

追加融資審査の際には、前回の融資が約束通り使用されたか、確認されます。

赤字であっても、約束通り有効に使用されていれば、融資審査は進みます。

約束通り使用されていなければ、融資審査は打ち切りになり、追加融資は難しくなります。

 

将来に向けた実現性の高い計画があるか

昨年度の前回融資は、コロナ禍の初回融資ということで、政治主導によりスピード感が重視されました。その結果、あまり細かいことを言われずに、多くの中小企業に多額の融資が実行されました。

2回目のコロナ融資、追加融資はこういうことにはならないと思います。

赤字企業であれば特にそうです。

「将来に向けた実現性の高い計画があるか」が、赤字企業が追加融資を受けるポイントになります。

立てた計画の中で、「金融機関借入をどのように返済していくのか」、道筋が示されている必要があります。

今後の計画のない赤字企業の追加融資は、ハードルが高くなります。

国の補助制度を活用した経営改善計画作成の進め方を、以下リンク記事で紹介しています。参考にしてください。

当事務所では、この事業を使って赤字企業を黒字化した支援実績があります。

 

【参考記事】405事業(経営改善計画策定支援事業)を使って赤字経営を立て直す!その注意点

 

 

 

以上、赤字企業が追加融資を受けられるケース、受けられないケースについてお話ししてきました。今後の追加融資申込みの参考にしていただけますと幸いです。

 

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