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銀行は、なぜ公的融資を勧め、プロパー融資を渋るのか?~コロナ禍で増す公的金融の存在感~

12月は、資金需要が旺盛な時期です。

今年は特に、新型コロナの影響で、運転資金が不足がちな企業が多いと推測されます。

経営者であるあなたも、今まさに銀行と借入交渉をしている最中かもしれません。

銀行からどんな融資形態を提案されていますか?

融資を受ける

 

銀行融資にはプロパー融資と信用保証付融資がある

民間銀行の融資には、ざっくり「プロパー融資」と「保証付融資」があります。

プロパー融資とは、銀行が独自に融資する制度です。貸し倒れが発生した時には、銀行が損失を被ります。

一方、保証付融資とは、各都道府県の信用保証協会(以下保証協会)が、銀行融資に保証を付けてくれる融資制度です。貸し倒れが発生した場合、大部分を保証協会が変わりに銀行に立て替えて払ってくれます。そのため、この融資形態をリスクが低いと判断して、銀行は企業に融資しやすくなります。

直接の資金出し手は銀行ですが、融資実行には保証協会の保証が付くことが前提です。この点から、保証付融資は、一種の公的融資と言えます。

企業が払えなくなった融資は、銀行から保証協会に債権者が変わり、融資を受けた企業は、保証協会に対して融資残高を支払っていくことになります。

この仕組みを、銀行に対して保証協会が一旦融資残高を支払ってくれるので、「代位弁済(だいいべんさい)」と言います。

銀行からすれば、「とりっぱぐれる心配が少ない」リスクの低い融資と言えます。

 

コロナ融資4号(売上減の大きい企業)は全額保証

先ほど、「貸し倒れが発生したとき、銀行に対して大部分を保証協会が立替してくれる」と言いました。

通常時においては、保証協会付融資と言えど銀行にも負担割合があり(20%の場合が多い)、銀行は一部リスクを被る仕組みとなっています。

しかし現在コロナ禍においては、融資に対して予算が付けられています。 セーフティネットという仕組みを使えば、企業は、最大4,000万円(その後6,000万円に増額されました)まで別枠で保証付融資を受けることが可能です(もちろん融資審査はあります)。売上が▲20%の4号保証は100%、売上が▲5%の5号保証は80%、保証協会が銀行に対して、融資保証します。

つまり、本来はリスクの高い、売上減少幅の大きい4号保証先の融資について、銀行の貸倒リスクはゼロ(保証割合100%)となるのです。

しかも、企業は3年間は無利子、無保証料で借入することができます。しかも無担保。

あなたも、もうすでに借入したかもしれません。

3年間、実質無利子融資。銀行は国から所定の金利を、きちんともらえることになっています。

つまり、「3年間実質無利子融資」は、本来企業が負担すべき金利を、国が替わりに銀行に支払っているのです。

3年間利子負担がない融資ですから、企業は助かります。

更に銀行にとっては、リスクがなく、利子のとりっぱぐれがない、取引先企業からは喜ばれる、、、

企業、銀行、双方にとって、メリットが大きい融資制度なのです。

 

【関連記事】アタリの融資担当者、ハズレの融資担当者 ~話が通じる担当者、通じない担当者の違い~

 

融資枠は争奪戦

融資先を奪い合う

そのため、融資枠は争奪戦。予算の消化も順調に進んでいます。

あなたの会社にも、取引銀行から提案があったのではないでしょうか?

メイン先の企業に、他の銀行からこの無利子・無担保4,000万円を提案され奪われたら、大変です。

担当者は責任重大です。

だから目の色を変えて、訪問してくるのです。

ただし、お誘いの言葉は柔らかく。

「コロナのこういう時期で、何かあったらいけないので、とりあえず3年間無利子ですから借りておきませんか?」

「予算が消化されるとなくなるので、今のうちに借りませんか。期限付きの融資です」

など。

また、表面上は良い提案をしているように見えて、自分の銀行のプロパー融資の残高を絞り、保証付融資に寄せている銀行も出ていると推測されます。

銀行の提案に対して、注意深く判断することも大切です。

 

次のステップはプロパー融資

緊急時において、こうしたセーフティネット保証などの公的融資は、有意義で効果を発揮します。

現在までのコロナ危機で資金繰りが圧迫されたものの、保証付融資により、助かった企業もたくさんあるでしょう。倒産件数が今のところ抑えられているのは、公的融資のおかげです。

私の支援先企業の中にも、保証協会付融資や政府系金融融資で助かった企業がたくさんあります。

ただ、公的融資は予算の制限があり、無制限に保証できるものではありません。

今後さらに資金繰り不安が発生した場合に、民間銀行がプロパー融資で支えることが必要になってきます。

プロパー融資で支える銀行と、リスク回避に走る銀行。

対応は分かれてくると思います。

地域銀行の本当の価値が判明するのは、その時です。

 

プロパー融資を渋るのはなぜか?今後の対応は?

銀行がプロパー融資を渋るのは、「貸し倒れを出して回収できないこと」を恐れているからです。

新型コロナという、今までに経験したことがない危機に対して、身構えているのです。

そしてこの危機の局面において、今後支える企業と支えきれない企業に分けて、対応を考えてくると思います。

銀行が支えきれない企業は、資金が回らなくなれば、残念ながら廃業も選択肢となります。

一方で、あなたの会社側にも、プロパー融資が出せない原因があるのです。

 

経営者のあなたは、何を準備するか

業績改善の見込みがなかったり、先行きの見通せない企業に、銀行は追加融資を出せません。

リスクの高いプロパー融資であればなおさらです。

では、経営者のあなたは何を準備しておくべきか?

銀行がプロパー融資を出したくなるように、会社を磨いておくのです。

今の業態が難しくなるのなら、次の展開はどうするべきか?

今の事業の強みを活かして、新たな領域進出したり、新商品を開発できたりしないか、、、

銀行に指摘される前に、自社の今後の方針を決めておく必要があります。

今後、追加融資を申し込む際、今後の展望を聞かれることが確実に増えます。

銀行に説明するのは、口頭では不十分です。

説明を受けた銀行担当者が、社長の言ったことを、上司や本部に正確に伝えることができないからです。

銀行に自社の状況を正確に伝えるために、事業計画書や、経営改善計画書など、書面に落とし込む必要が出てくるでしょう。

 

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