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新規事業進出の是非

新規事業の種類

経営者は、新規事業への進出について、思いをはせます。

企業が成長するための戦略について、アメリカの経営学者アンゾフは、「市場浸透」「新市場開拓」「新商品開発」「多角化」の4つに分類しています。

新規事業は、このうちの「新市場開拓」「新商品開発」「多角化」に該当します。

多角化は特にリスクが大きい

新市場開拓は、既存の商品・サービスを新しい市場に投入し、新規顧客層を開拓することです。自社の主力商品を、県外や国外へ販路を広げること、ネット通販に進出することなどが該当します。

新商品開発は、既存市場に新しい商品・サービスを投入することです。既存顧客向けに新商品を販売することが該当します。

多角化は、新たな商品・サービスを新たな市場に投入することです。建設業者が、介護事業に進出するなどが該当します。商品も市場も新しいので、リスクが高くなります。リスクを抑えるため、フランチャイズに参加したり、関連業界のコンサル会社の指導を受けたりすることでコストが高くなります。

経営者が新規事業に進出するきっかけ

皆さんは、新規事業への進出について、検討するきっかけはなんですか?

☑このままの事業展開ではじり貧なので、情報収集してみた
☑既存の事業を行う中で、顧客ニーズやビジネスチャンスをキャッチした
☑同業者の会合で情報交換する中で、思いついた
☑テレビや雑誌で見て興味をもった
☑展示会やイベントセミナー参加して興味をもった

その他にもいろいろなケースがあるでしょう。

具体的に何を検討するのか

進出する方向に興味をもったら、本格的にリサーチを開始します。

☑顧客は存在するのか(売上は確保できるのか)
☑競合業者の状態はどうか
☑設備投資はどれぐらい必要か(投資金額)
☑どこから見積もりを取れば良いか
☑資金調達の方法は

リサーチの結果、どうやら新事業をスタートできそうです。協力してくれる関係者も集まってきました。

しかし、このとき気を付けたいことがあります。

経営者は、欲しい結果に合わせた情報を集める

経営者にやりたい気持ちが強すぎると、新規事業進出に都合の良い情報ばかり集めてしまいます。

周りの関係者も、貴社が事業をすることでメリットが発生するため、背中を押す肯定的な意見を言いがちです。

結果、事業をスタートさせて、当初の想定通り進まないことになります。

正しい経営判断をして、事業リスクを抑える方法はないのでしょうか?

一つは、利害が発生せず、かつ専門的な知識を有している第三者の意見を聞いてみることです。

新規事業の是非を判断する2つの指標

または、数値を使って、新規事業の是非を判断する方法もあります。

「投資利益率法」や「回収期間法」を使います。

投資利益率が借入金利や市場金利と比較して、どうなのか?

回収期間は何年かかるのか、銀行借入期間と比較してどうなのか?

この2つの指標を使い、新規事業進出の判断をするのです。

2つの指標の計算式

少し専門的になりますが、計算式は以下です。

【投資利益率法】投資収益率の高さで判断する
利払前税引前償却後利益の(増加額;円) ÷ 投資額(円) =  %

【回収期間法】回収期間の長さで判断する
投資額(円)÷利払後税引後償却前利益の(増加額;円)=   年

投資前と投資後の利益増加額を比較します。

投資利益率を、借入金の金利や国債金利と比較して、投資の魅力度を測ります。

例えば、計算の結果、投資利益率が10%と算出されたら、その投資は魅力的だと言えます。

回収期間を借入期間や償却年数と比較します。

例えば、回収期間が10年で銀行借入を20年で組めるなら、その投資は魅力的だと言えます。

いずれの場合も、投資したあとの、将来数値計画をしっかり立てることが前提です。

この数値の見込みが甘かったら、指標を作成し比較しても、参考になりません。

数字を厳しく見積もり、一歩引いて俯瞰(ふかん)する

新規事業は企業が継続していくうえで、必要になることがあります。

顧客の生活スタイルや流行、周りの環境は変化しますから、企業も変わっていかないと、生き残りが難しくなるからです。

ただ新規事業はリスクもあります。

ここでお話しした2つの方法で、投資の是非を判断してみてください。

もし、良くない指標がでたら(投資利益率が低い、回収期間が長い)一度計画を立ち止まって、再考します。

このままで事業をスタートするのか、しないのか(計画を組み直すのか)の判断が、新規事業の成否を大きく左右するからです。

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