電通問題をきっかけに、長時間労働が社会問題になっている。
政府も「働き方改革」で、問題解決に取り組んでいる。
労働時間を削れ、賃上げをしろ、特に中小企業にとっては、利益に大きく影響する頭の痛い問題である。
今は改善されているようだが、私が新入社員で入社した20数年前には、長時間労働は常態化していた。「時短」など言おうものなら、やる気の無い社員のレッテルを貼られた時代だ。
しかし時代は変わった。
生産年齢人口が減少し、働き手が不足している。今後ますます、人員確保の問題が大きくなることが予想される中で、「労務管理」「時間管理」ができない企業は、働き手からそっぽを向かれる。
では、経営者としてどのように取り組めば良いか。
一つは、問答無用で、時短する方法である。
例えば時間が来れば、電気を消すとか、ノー残業デーを作るとか。まず時短ありきで取り組む。その中で、業務に対する取り組み方を従業員が工夫し、結果的に時短が達成できる方法である。時間が限られれば、業務をやれる方法でやるしかない。はじめは、「できるはずがない」と、文句を言っていた従業員だが、やってみればできてしまった、という事例はある。
次に、従業員は時短し、結果できない業務を経営者や役員、幹部社員で代わりに行うという方法がある。
これは結局、業務量自体は減らないし、逆に幹部層が慣れていない業務を行うことで、時間自体は逆に増えるかもしれない(しかし残業代は発生しない)。
もう一つは、業務の流れを見直し、生産性を向上させることだ。
今まで慣習的にやってきたことで、時代から外れ無駄になっていることはないか。業務の中で自社の業績の儲け部分、逆に赤字部分は何か。この仕事のやり方はベストか。色々案を出してみる。
関係部署で話し合って無駄を洗い出して、改善策を検討し、業務の流れをこの際思い切って見直してみる。
時短、賃上げだからと言って、利益を下げるわけにはいかない。利益が下がり続けると事業継続が危ぶまれるからだ。
時短の流れ。確かにピンチではあるが、工夫をしてプラスに転じる。そうした取り組みが、経営者には求められるのではないだろうか。