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四国でも金融機関再編の動きが。~銀行を取り巻く環境など、経営者として押さえておきたいこと~

~香川銀行と徳島銀行、大正銀行の経営統合~~

四国地区の金融機関経営統合の動きが、連日新聞紙上を賑わせている。

香川銀行と徳島銀行を傘下に置くトモニホールディングス(本社香川県高松市:以下トモニHD)と、大正銀行(大阪市)が経営統合に向けた話し合いを進めているというのだ。

この経営統合が今までのパターンと異なるのは、地方の銀行(トモニHD)が、都市圏の銀行(大正BK)を買収しようとしていることだ。

人口減少による市場の縮小を睨んで、地方の銀行が都市圏を新たな市場として行動し始めた。

~四国地区の人口減少が統合を後押しする?~

特に四国など人口減少による過疎化が進んでいる地域で、地方銀行は「人口減による市場縮小」「オーバーバンキングによる貸出金利競争」「相続預金の域外流出による預金の伸び悩み」などの環境変化が予想されている。

現在は①アベノミクスによる株高や債券高、②公共工事増や補正予算などにより貸出先が一時的な業況改善となっているため、計上していた貸倒引当金を戻している、など追い風が吹いているため、銀行の決算状況は良い。

しかしながら、前述したとおり人口減を原因とした市場の減少は、すぐそこまで来ている。

~時代に合わせた金融庁検査の変化~

この状況を受け、金融庁は数年に一度銀行に行う金融検査を『資産査定重視』から、『銀行のビジネスモデル把握重視』に切り替えた。今までは、銀行が融資している貸出先の個別状況の精査を主目的に金融検査を行っていたが、それは銀行の自主判断の範囲を広げた。変わって、銀行自体に「市場縮小の中、5年10年単独で生き残っていくビジネスモデルがあるのかどうか」を細かくヒアリングしているのだ。

通常銀行は、貸出先に融資金返済のための計画を確認する。その際会社が生き残っていくための、ビジネスモデルを問う。同じことを銀行自体が金融庁から確認されている。

この金融検査を受けることで、自銀行を取り巻く経営環境を見直すことにもなって銀行の背中を押し、その結果、現在全国各地で銀行の経営統合が発表されている。

~銀行間の経営統合に関する温度差~

銀行の経営統合に向かう姿勢は、当然ながら銀行によって温度差がある。四国では先のトモニHDは積極姿勢だが、私が住んでいる愛媛県では伊予銀行、愛媛銀行共に単独でやっていくとコメントしている。確かに、必ずしも経営統合が最適解とは限らない。そして単独でやっていくのなら、規模が小さくコストも割高になる可能性があるから、「この銀行はこんな特色がある、この分野に強い、だから取引したい」など、顧客から見た優位性が必要となるだろう。

では、経営統合は、銀行、顧客にどのような影響があるのだろうか。

~銀行経営統合のメリット、デメリット~

経営統合のメリットとしては、①重複店舗やシステムの統合によりコスト削減が可能となること、②広域地域の情報が顧客に提供できること(トモニHDの場合なら、取引先に大阪圏の店舗情報などが提供でき、銀行、取引先ともにビジネスチャンスが広がる)、などが考えられる。

デメリットとしては、①統合銀行間の社風の違いで組織内で混乱が生じる可能性がある(みずほHDの事例など)、②意思決定のスピードが鈍化する可能性がある、③統合当初はシステム障害など事務処理リスクがある、などが考えられる。

経営者として押さえておきたいのは、自社の取引銀行の再編に関しての動向や、今後の業況の見通しだ。

もし自社の取引銀行(特にメイン)が、経営統合で買収される側に回ったり、業績が悪化したりしてしまうと、自社の資金調達や資金繰りに影響が出てくる可能性があるからだ。経営統合される側に回ると、融資方針が変更されるかもしないし、店舗の統廃合もあるかもしれない。そうしたリスクもあると、頭に入れて自社の取引銀行の動向を注視したい。

《記事のまとめ》
・四国エリアでも人口減少による市場縮小を見越した経営統合の動きが出始めた
・金融庁は時代の変化に合わせて、金融機関検査の内容を変えてきている
・経営者としては、自社の取引銀行が経営統合に関してどのようなスタンスをとっているか、確認していく必要がある

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