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銀行業界に脅威となる異業種の参入

銀行の経営統合と提携

本日の新聞に、千葉銀行と武蔵野銀行の提携についての記事が掲載されていました。

経営統合ではなく、お互いの銀行を残しながらの「提携」という形で進めていくようです。全国の銀行で、「資産運用」「IT化」など、事業分野別の提携が、特に第一地方銀行中心に動き出した印象です。

日銀のマイナス金利導入後、一気に金融環境が動き出した気がします。消費者に一番関係するのは、住宅ローンでしょう。私がいる松山でも、銀行間の住宅ローン獲得競争が激化しているようです。競争の激化は、消費者にはメリットがありますが、逆に銀行の体力を奪っていきます。

 

銀行業界への異業種参入

私が最近気にしてみているのは、銀行業界への異業種の参入です。具体的には、流通系のイオン銀行と、ネット通販系のアマゾン、楽天です。

イオン銀行の住宅ローン金利は、3年固定が0.38%、5年固定が0.5%、10年固定が0.79%【H28.3.26時点】です。そして住宅ローンを組むと、イオンでの毎日の買い物が5%オフです。ものすごく魅力的な条件です。

これらの好条件は、イオン銀行は、住宅ローンで儲けるというより、「買い物を含めた総合的な取引で儲けられればいい、という考え」と、「営業コストを既存銀行と比較してかけない戦略」ゆえに、実現できていると推測されます。そして、「既存の銀行に住宅ローンを申込むのは、敷居が高い感じがするけど、買い物ついでにちょっとイオン銀行を覗いてみよう」、というように新たな顧客層を開拓している可能性があります。

 

異業種から提供される差別化された金融サービス

また、ネット通販系のアマゾンや楽天は、出品者に対して、少額の運転資金を融資し始めています。既存銀行のように、担保や保証人を求めたりしません。決算書の提出なしで、早ければ数日で融資が決定します。

なぜこのような担保・保証なし、決算書なしのスピード事業融資が可能かというと、出品者の売り上げ状況や顧客レビューを把握しているからです。ネット通販会社は、出品者が日々どのように売り上げを計上しているか、消費者からの評判はどうなっているか、を常に把握しております。既存銀行に先駆けて、決算書以外で融資の可否を判断する「事業性評価融資」をしています。システム化されているため、そこには審査部や営業部隊はいません。よって審査・営業コストがかかりません。

このように、出品事業者にとってメリットが大きいため、今後ネット通販企業の融資シェアは、増加していくと予想されます。

 

銀行が今後経験する異業種との戦い

これから銀行業界は、人口減少により全体のパイが縮小する中、同業者間の競争に加えて、これら異業種である流通系やネット通販系と闘っていく必要がでてきています。クラウドファウンティングなど、ネットを通じた資金調達の取組も増えてきています。異業種には、銀行業界の常識は通用しません。何を仕掛けてくるか分からない強敵です。

銀行業界は、今まで様々な行政規制に守られてきたため、(すべての銀行がそうではないですが)基本的には新しいことをしたり、リスクをとったりするのに慎重です。だから優良会社に融資が集中して、金利のダンピング競争になります。人事面でも、「組織内で気が使えて、ミスが少ない人材」が登用されていく傾向にあります。それが社員へのメッセージとなって、守りの組織文化が形成されます。(逆に最近は、一昔前民営化議論で消滅が危惧された政府系金融機関の方が、危機感をもって取り組みを行っており、柔軟で積極的、顧客志向で、頼りになるような気がします)。

顧客に対しても、「融資している」という気持ちが働くからか、どこか顧客志向に欠けている部分があります。(私も銀行員時代そうだったかもしれません)。しかしこれからは、こうした姿勢では、異業種を巻き込んだ生き残りは難しくなってきます。顧客の選択肢は、今お話しした通り、以前に比べて随分と広がっているからです。変化に対応できなければ、銀行だから一生安定、生涯大丈夫という時代ではなくなってきています。

他の業界や企業と同じく、変わっていく姿勢、リスクをとって挑戦していく姿勢、がより求められるのではないでしょうか。

 

《この記事のまとめ》

・銀行業界への異業種参入が増加している。特に流通系のイオン、ネット系のアマゾン、楽天は、今まで銀行が取り組まなかった便利なサービスを打ち出しており、既存の銀行には脅威となるだろう

・顧客に対して今までの意識を変えない銀行は、異業種との戦いに苦戦するだろう

 

【この記事書いたのはこんな人】プロフィール

【参考記事】

地銀の経営環境③~異業種銀行との競争~

地銀の経営環境⑩~地銀への提言~

地方銀行が顧客に提案できる差別化サービス

 

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