平成26年度補正予算が固まり、内容がだんだん明らかになってきた。
個人的に気になっているのは、「創業・第2創業促進補助金」「ものづくり・商業・サービス革新事業補助金」などだ。
補助金と助成金は区別がつきづらい。補助金は、経済産業省系のもので設備投資や販路開拓に関するものが多い。我々中小企業診断士の得意分野だ。一方助成金は、厚生労働省系のもので、人材雇用や人材育成に関するものだ。窓口はハローワークで社会保険労務士のフィールドだ。
ここで考えてみたいのは、補助金。私見だが、「良い使い方」と「悪い使い方」があると考えている。
まずは「良い使い方」。事業の方向性の延長上に補助金を持ってくる。例えば、市場ニーズがあり、自社で新事業展開や新商品開発を考えていたところに、該当の補助金を当てはめるケース。増産のために設備投資を考えていたところに、設備投資の補助金。設備老朽化による省エネ投資を考えていたところに、省エネ設備の補助金。起業を考えていて、ある程度いけそうだと準備していたところに、創業補助金。
これらは、自社の事業展開にあった「良い補助金の使い方」といえるだろう。
次に「良くない使い方」。補助金がでるから使わなければ損と考え、補助金に合わせて、あわてて事業や設備投資を考えるやり方。いわゆる『補助金ありき』の考え方。「そんなバカな。」と思うかもしれないが、これが結構多い。人間心理で、「貰えるものは、貰っておかないと損する」、ような気分になるからか。
仮に補助金の申請書が上手に書け、補助金採択(補助金は競争的資金で、事業プランの優越で採択不採択が決まる)になったとしても、失敗するリスクが高くなる。市場ニーズの分析や、競合分析、価格戦略など、重要事項に時間が取れず、見切り発車になるからだ。また、もらったお金だからと甘い収支計画や、コスト高の購入に至ることも多い。自分のお金ならこうはならない。気のゆるみは怖い。
失敗すると、補助金採択を受けての事務処理負担のコストや、自己資金投入部分(全額補助の補助金は少なく、自己負担が発生するケースがほとんど)、また経営資源の分散に関するマイナスなどがあり、大きな痛手となる。合わないと思えば「使わない、申請しない」という気持ちも持っておくべきだ。
このように補助金には、「良い使い方」と「良くない使い方」があるように感じる。
リスクを負って起業する創業者や、資金的に余裕がない経営改善過程にある企業の補助金活用は、有効だと考える。しかしながら、余力のある優良企業は、スピード感がもて、柔軟な事業展開が可能な、自己資金や銀行借入で進めるのも選択肢としてもっておいてもよいのではないか。(補助金の弱点は、スピード感と柔軟性の不足)。
補正や本予算の具体化が進み、騒がしくなっている時こそ、雰囲気に流されず、冷静な補助金活用が求められる。それは支援者たる私を含めた我々コンサルタントにも当てはまると思う。
《記事のまとめ》
・ものづくり補助金、創業補助金など、比較的使い勝手の良い補助金の募集が始まった
・考えていた事業に合致する補助金があり、採択されると、事業リスクを軽減する効果がある
・補助金に合わせて事業を考える(補助金があるのでとりあえず事業を考えてみる)のは、良くない
・デメリットも頭に入れた上で、冷静な活用が求められる(周りからあおられて応募は良くない)
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