【前提の話】
この記事は、補助金を否定するものではありません。補助金は正しく使うことで、事業を成長軌道に乗せることも可能です。ただ、補助金活用には失敗事例が多いのも事実です。補助金にありがちな失敗原因を分析し、その罠に陥らないよう準備することが大切です。補助金を有効活用できることを願い、記事にしました。
【目次】
これから、年度末、年度初めを迎えるにあたり、補助金の募集が本格化してきます。
新型肺炎が経済に大きな影響を与えているため、例年より補助金に注目が集まることが予想されます。
ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT補助金、創業補助金、事業承継補助金、などなど。
魅力的な部分もあり、正しく活用すれば、会社成長のエンジンとなることもあります。
ただ、貰えるからといって安易に取り組むと、思わぬ痛手を被ります。
情報にアンテナを張っている経営者は、自ら補助金の情報を獲得します。
しかし、多くの経営者が、他人からの勧めで、補助金のことを知ります。
知らせてくれるのは、取引がある銀行員、公的中小企業支援機関の職員、顧問税理士、経営コンサルタント(私もジャンルで言えばここに入ります)、知人の経営者、などです。
「いい補助金があります!申請をお手伝いしますので、挑戦してみませんか?」(銀行員、補助金コンサルなど)
「あの補助金、自分も使ったことあるけど、良いよ」(知人の経営者)
と魅力的な言葉でお誘いやお薦めがあります。
「もらえるものは、もらっておかないと、損ですよ!」「補助金は、タダでもらえる返還不要な公的資金です!」
このような言葉で勧誘されたら、要注意です。
そうすると、あまり補助金のことに詳しくない経営者でも、「チャレンジしないと損なのだろうか?」という気持ちが出てきます。
この軽い気持ちが失敗の始まりです。
補助金は、事業プランを提出し、そのプランが採択されないと、受けることができません。
しかし、補助金申請慣れしているコンサルや銀行員のバックアップがあると、採択になってしまうことがあります。
軽い気持ちで、応募して採択になってしまうと、そのあと不幸が待っています。
補助金は、全額出ることはあまりありません。1/3補助とか、1/2補助とか、がほとんどです。
すると、残りを自己資金か銀行借入での調達が必要となります。
補助金を活用して事業をすると、脇が甘くなることがあります。補助金が出るのだからと言って、割高なものを投入したり、無駄な経費を入れ込んだりする可能性が出てきます。
その結果、事業が失敗する確率が高くなるのです。
補助金は採択されると、基本的に最初に提出したプラン通りの実施が求められます。途中で臨機応変に事業展開を変更することが難しくなります。
補助事業を実施するために、人員の配置で人件費が膨らんだり、経営者の労力を取られたり、本業の足を引っ張る結果になります。
では、どうすればこのようなリスクを減らすことができるのでしょう?
補助金とは本来、自社が進みたい事業の方向性があって、そのために活用する手段です。
しかし、「ほしい、ほしい」で、補助金を獲得すること自体が目的化してしまうことがあります。
大事なことなので、繰り返します。目的は、あくまでも「事業の成功」。補助金はそのための手段です。
ですから、まずは自社の目指すべき方向性をしっかり見定めて、それに合う補助金があれば活用するようにします。
【判定】 | 【目的】 | 【手段】 |
○ ⇒ | 事業の成功 | 補助金 |
✖ ⇒ | 補助金獲得 | 事業プラン |
他人から勧められ、流されて活用すると失敗します。甘い言葉に乗ってはダメです。
自社が会社の将来像についてしっかり考え、経営者自身が補助金のことを勉強し、汗をかいて取り組みます。自社が主体となり、足りない部分を補填してくれるコンサル支援なら有効です。
その一方、他人がプラン作成から申請事務手続きまで、すべてやってくれる。自分はハンコを押すだけ。こんなおいしい話はありませんが、ほぼ確実にビジネスプランは机上の理論になり、補助金事業は失敗します。
私も付き合いが長い経営者に、補助金情報を提供することがあります。その時は、「今は取り組む時期ではないです」「もう少し調べてから取り組みます」と言われました。
さすがだなぁ、と感心したものでした。こういう経営者は、補助金に対して自分なりのスタンスを持っているので、結果を人のせいにしません。
逆に、安易に補助金に取り組む経営者に限って、失敗を他人のせいにする傾向があります。
もちろん、正しく使えばメリットがあります。
事業リスクを少なくできること、新事業展開の背中を押してくれること、事業プランを自社主体で作成することで社内にノウハウが蓄積され、経営者や社員が成長できること、などです。
経営者は補助金にチャレンジする際、自分に問いかけてみるべきです。
「本当にこの補助金にチャレンジが必要か」
「経営資源を投入し、取り組むに値するプロジェクトか」
そして、例え補助金に不採択になっても、自己資金でその事業に取り組むぐらいの本気度や必要性があれば、事業の成功確率は高くなるでしょう。
私は、補助金に不採択になってもその後成功した事業、一方、補助金に採択されたけど失敗した事業もたくさん知っています。
以上、補助金の注意点についてお話ししてきました。参考にしていただけますと幸いです。
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