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コンサル成功の定義 ~Yahoo!ニュース、補助金記事を読み考えたこと~

Yahoo!ニュースに気になる記事がありました。

経済産業省の補助金に関する記事です。

中小企業経営者に使い勝手が良いとして人気がある「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」に関して、財務省が「抜本的な見直しが必要だ」と表明したとのこと。

「補助金依存や適正な市場競争原理が阻害される」

「真に必要な企業に適切な支援が行き渡る見直しが必要」

「リピーターが3年で15%」

など、センセーショナルな文言が並びます。

記事に関して、Yahoo!コメント欄(いいね!が多くついている上位コメント)には、

『ものづくり補助金なんて、実態は単なるバラマキやん。成功報酬を狙うコンサルに丸投げして作った事業計画で、生産性が向上するわけない。』

『事業再構築補助金について。補助金を獲得している企業は大半が特定のコンサルへ依頼しています。行政に太いパイプをもつコンサルです。実質独占状態。そこへ依頼して全体の3割が承認されるかどうか。更に、そのコンサルへ依頼するには金融機関を介さねばなりません。これも至難。更に、成功報酬として高額のコンサル料を請求されます。』

(ここまでYahoo!ニュース コメント欄)

コンサルに対して、否定的な見解が。すべて正しいとは思いませんが、厳しい意見があることは事実です。

ものづくり補助金、事業再構築補助金などの補助金申請に関係している中小企業診断士(以下;診断士)は、全国に多数いることが推定されます。

このような見解が増えてくると、我々診断士の資格を活用した経営コンサルタントは、非常に仕事がやりづらくなります。

そこで今回は、自戒も込めて、経営コンサル成功の定義はなにかについて、考えてみたいと思います。

 

補助金申請支援という仕事 ~依頼が診断士に集まりやすい背景~

診断士の主要業務の一つに「補助金事業計画書申請支援」があります。

ものづくり補助金や事業再構築補助金は、所轄が経済産業省です。

診断士は、行政支援策と中小企業のつなぎ役として期待されています。

補助金の募集要項にも、「中小企業診断士など専門家に事業計画の支援を受けること」との文言があります。

補助金申請書事業計画には、「SWOT分析」「競合分析」「業務フロー分析」「将来の数値計画」など、診断士の得意分野に関する知識が求められます。

中小企業に対して、融資以外のコンサルティング支援に注力している地域金融機関は、「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」の申請支援を推進しています。

金融機関の組織内部で支援することもありますが、手が足らなければ、支援を外注することもあります。

そのため全国的に、金融機関経由で、補助金事業計画書策定支援を診断士に依頼するケースが増えているようです。

 

補助金申請支援という仕事 ~診断士が受注に力を入れている背景~

一方、診断士側(特にプロコン)の事情があります。

補助金事業計画は、必要とされる知識が診断士の得意分野であることに加えて、成果が見えやすいのです。

中小企業経営者から見れば、採択になれば成功。

いくらの金額採択(○○千万円など)になったと、コンサルを受けた成果が目に見えるのです。

診断士は、成功額の中から成功報酬としてコンサルフィーをいただきます。

プロコン診断士は事業なので、売上を立てていかないと生活できません。

採択金額が大きく、かつ成果が見えやすいため報酬につながりやすい、補助金事業計画申請に動機づけが強く働きます。

また、これらの補助金は1回かぎりではなく、今のところ、年に複数回の募集があります。

診断士側も支援実績が積み上がり、採択事例が多い診断士ほど案件が集まります。継続的な仕事になるのです。

 

診断士でも立場の違いが

診断士にも、プロコンと企業内診断士がいます。

立場の違いにより、補助金に向き合うスタンスが違います。

この仕事を生活の糧としているのは、プロコン診断士です。

企業内診断士は、どちらかというと自身のスキルアップ、支援者の満足に重点をおいています。

どちらが良いかというのではなく、立場の違いなのです。

ただプロコン診断士がフィーに固執するあまり、強引で自分本位の支援をしてしまい、診断士自体のイメージを悪化させてしまうと、企業内診断士に迷惑が掛かります。

プロコン診断士は、成長ステージに合わせて、自分の仕事のやり方をアップデートして仕事の品質を高めていく必要があります。

 

私の補助金支援の考え方

私の補助金支援に関する考え方です。10年半のプロコン活動の中で、現時点で補助金に対して、以下のように考えています。

補助金自体は否定しません、ただ問題は取り組み方です。

① 全体の事業戦略の中で、一つの有効手段として位置付ける。決して補助金を獲得することのみを目的としない。補助金は事業戦略の手段であり、目的ではない。目的は事業の強化、成長である。

【参考記事】補助金好きな経営者の末路~正しい使い方、誤った使い方~

 

② 補助金を適切に使用することで、中小企業の成長や体質強化につなげる。事業の成長や安定化により利益を計上し、計上した利益から法人税を支払うことにより、地域に好循環をもたらせる。

このような方針で補助金を使用するなら、喜んでお手伝いしたいです。

 

コンサルの成果とは

私も開業最初は、事業を軌道に乗せるため、今思えば首をかしげるようなこともしました。

(開業当初)

☑ 補助金は獲得が大切。自分のフィーが多くなるため、成功金額は多いほど良い

☑ 銀行から借入金をできるだけ引っ張る。経営者は喜ぶし、自分のフィーも多くなる

☑ 事業計画書はできるだけ詳しく。多くの要素を盛り込む

しかしプロコン歴も10年半が経過し、失敗も多々しながら、方向を変えていきました。

 

(現在の考え方)

☑ 補助金は取り組み方が大切。採択後にその事業が成功して継続してくことが成果。事業が成功するなら、補助金の諾否は重要ではない(補助金不採択でも事業が成功ならよし)。

☑ 銀行から多額の融資を引っ張っても、その資金が返済できないと無駄な支援。

☑ 事業計画は中身はもちろん重要だが、更にポイントを的確につき実効性が高いことがもっと大切。経営者が具体策を実行に移し、プラスの成果が出てきてこそ、支援の成果が出たと言える。見かけはきれいだが、実行が伴わない机上の理論はダメ。

 

よってコンサルの成果とは、

①補助金を採択させることだけではなく、採択されたあと長年に渡り、成功事業として補助事業が軌道に乗っているか(補助事業完了後の成果を見る)

②事業計画を作るだけではなく、作った事業計画が実行先導役として機能し、会社の経営課題が解決され、数値として改善・成長が見えているか(事業計画の期間終了後の成果を見る)

だと私は考えるのです。

 

あとがき

銀行員時代に営業マンとして、それが自分のため組織のためと信じて、お客が買いたくもない商品を押し売りしてきました。

今になって時々振り返り、懺悔の気持ちが沸き上がります。

あの時の失敗はくりかえしたくないと、心には持っていますが、生活してくためには売上もあげていかないといけない、葛藤の日々を過ごすこともあります。コロナ禍では特に気持ちが揺れました。

だから、補助金を積極的に推進するコンサルタントを、無条件に批判するつもりはありません。

銀行員時代に、お客が欲しくもないこちらも売りたくない商品を売りながら、「ビジネスモデルが間違っているのではないか、給料をもらうために押し売りが必要なら、ビジネスとして間違っているのではないか」と自問自答していました。

大手コンサル会社から、「お薦め補助金のメルマガ」が、同業の私のところにも、毎日何回も届きます。コンサルタントも同じではないか、そのビジネスモデル(補助金を推進し続ける)には無理があるのではないか、と感じるのです。

 

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