9年間プロコンとしてやってきましたが、中小企業診断士(以下診断士)も事業者として見てみると、色々競合があります。
民間コンサル会社や、銀行系のコンサル部門、行政系の中小企業支援機関、税理士や公認会計士などの財務系の士業。
それに加え、今はあまり感じませんが、将来的にはAI(人工知能)もライバルになるかもしれません。
上記競合に比較して、診断士が不利なのは、中小企業経営者に対しての認知度の低さです。経営者は、診断士という資格を知らないことも多いですし、そのため何を解決してくれる人か、イメージできないのです。
ですから、常日頃からそのことを意識し、競合と比較して、より差別化した取り組みが必要になります。
今回は、診断士として私が考える「競合より選んでもらうために必要な資質」について、考えてみたいと思います。
①成果物の作成能力
報酬の対価として経営者に提出する、事業計画書、診断報告書、調査報告書、戦略提言書などの成果物。
実はどんな営業活動より、最も有効な営業ツールとなるのです。私の場合は、成果物の品質が評価され、リピートにつながったことが多くあります。
成果物の品質が低ければ、次の仕事にはつながらないでしょう。
品質の高い成果物を完成させるためには、経営者の考えを引き出し、文章や図表としてまとめ、見える化する能力が必要です。
仮に、事業計画書が成果物だとしたら、大切なのは、現状分析です。正しい現状分析を踏まえて、未来を予測していく能力が大切になるでしょう。
特に、企業を取り巻く内外の環境分析(SWOT分析)、業務フロー分析などの事業デューデリジェンスは、診断士が最も得意な分野であり、徹底的にこだわりましょう。
②コミュニケーション能力
経営者の話を聴く力です。自分の考えを押し付けるのではなく、経営者の話を聴きながら、気付きを与えるイメージです。
事業に関しては、診断士より業界のプロである経営者の方がよく知っています。業界知識で上回ろうとしても、無理があります。
診断士の強みは、色々な業種や経営者に接しているため視野が広いことです。業界の専門家ではないけれども、第三者目線で助言できる機会があるのです。
助言を聴いてもらうためには、経営者との信頼関係が必要となります。
また、経営者をやる気にさせる能力も必要です。面談を通じて、経営者の奥に眠っている考えを引き出したり、「これなら実行できる」、と経営者に当事者意識を持ってもらうことも大切です。
いくら良くできたプランでも、経営者が評価して実行に移さなければ、机上の理論になり、価値はありません。コンサルが作った計画だからと、人ごとになってしまうと、コストも時間も無駄になります。
だからと言って、経営者のイエスマンではダメです。言いづらいことを、タイミングを見計らって指摘する場面もでてきます。
コミュニケーション能力が求められるのです。
③人間力
人間力というと、おおまかですが、以下のような姿勢が求められます。
コンサル業界もどんどん新たな動きが出ています。クライアントが属する業界もそうです。
そのため、診断士は、最新の知識や情報をどん欲に吸収する姿勢をもち、常に自分の能力をアップデートしていくことが大切です。
またプロコンなら、自分自身も経営者として事業を行っているはずです。
もし診断士がリスクをとって真摯に事業を行っているのなら、支援先の経営者に、その迫力は伝わるはずです。この人の助言を聴いてみよう、となります。
最後に、最も大切なのは、支援先である中小企業経営者に対しての「親愛感」です。
この経営者の力になりたい、なんとか心配事を減らしてあげたい、、、
寝ても覚めても、そのことばかり考えます。強い想いが、有効な支援につながると思います。
だから、支援者との相性や信頼関係は大切だ、と感じます。
以上、現時点で私が気を付けていること、「中小企業診断士に求められる資質」として感じていることを、お話ししてみました。
【この記事書いたのはこの人】
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