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コロナ禍 これから中小企業診断士に増える依頼にどう備えるか ~事業デューデリの能力を磨け~

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中小企業の金融支援は次のステージに

 

今、国会では、2次補正予算の議論が行われています。

2次補正の新たな取り組みで、私が注目しているのは、資本性劣後ローンと中小企業再生ファンドです。

詳細はこちらの記事に譲りますが、診断士の強みが発揮できるではないか、と思うからです。

1次補正予算に関しては、政府系のコロナ対策融資や給付金など、資金繰り支援がありました。

第1波が収束し、緊急事態宣言が終了した今、支援は次のステージに移っていきます。

資本性劣後ローンにしろ、中小企業再生ファンドにしろ、導入するためには、対象企業の「事業継続性の判定」が不可欠になります。

事業継続が難しい企業に対して、資本性劣後ローンや再生ファンドを通じた公金の投入はできないからです。

ここに、「診断士の出番があるのではないか」と予想するのです。

 

 

事業継続判定を行う

 

事業継続性の判定には、対象企業を正しく分析することが必要です。

今でいう事業性評価です。

対象企業に今後継続していく力があるか、事業面と財務面から分析していきます。

事業面の分析を事業デューデリジェンス(以下事業DD)、財務面の分析を財務デューデリジェンス(以下財務DD)と言います。

資本性劣後ローンは、日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関、中小企業再生ファンドは、中小機構や中小企業再生支援協議会、事業引継ぎ支援センターなどの公的支援機関が窓口になると予想されます。

日頃から上記支援機関とつながりがあれば、事業DD、財務DD依頼の声がかかってくるでしょうし、つながりがなければこれから構築していきます(診断士も事業ですから、その方法は、自分で汗をかいて探していかねばなりません)。

 

診断士は事業デューデリジェンスでアピールする

 

診断士の、他の士業やコンサルタントとの比較優位性は、「事業DDの品質が高いこと」です。

診断士の資格勉強や実務実習などが、まさしく事業DDの力をつけるためのもの、だからです。

例えばSWOT分析や、競合分析、業務フロー分析、業界特性分析、窮境要因分析などです。

常日頃から、こうした能力を高めておけば、事業DD成果物の質で勝負できるでしょう。

成果物の品質が高ければ、各方面から声がかかりだしますし、手を抜いていれば仕事の依頼が来なくなります。

仕事の品質が下がる理由は、スケジューリングが不十分なことで、やっつけ仕事になってしまうことや、日々の業務に忙殺され、自分の能力を高める自己啓発を行っていないからです。

事業DDの能力を高めるために私が気を付けているのは、経済雑誌を定期的に読むこと(日経ビジネスや週刊東洋経済)、日経新聞を読むこと、経営者の話をよく聴くことです。

外部環境分析で、公的データ・業界データやグラフを連ねている事業DDを目にしますが、一般的過ぎて説得力に欠ける気がします。ネットデータの切り貼りと見られ、DD資料の評価が低くなります。

それより、内部環境分析をしっかり行い、その企業が持つ特色(SWOT)や業務フロー、経営課題、窮境要因を徹底的に掘り下げていったほうが、説得力のあるDD資料が出来上がります。

 

財務デューデリジェンスについて

 

財務DDについては、公認会計士などとチームを組む場合は、必要ありません。

とはいえ、財務DDも同時に依頼されることがありますので、一定の知識と能力は必要です。

出来るけどやらないと、出来ないからやらないは、大きく違います。

ここでは詳細はお話ししませんが、やり方は、こちらの記事(財務DDについて)などを参考にしてください。

実態バランスシート作成のポイントや粉飾決算の見破り方などは、知っておく必要があります。

私も17年間銀行員だったので分かるのですが、金融機関職員や再生系の公的支援機関から、診断士の評判が低いのは、数字に弱い診断士がいるからです。

現状分析のための財務諸表の見方、部門別収支分析や原価分析、妥当性のある将来数値計画作成、などの能力は、普段から勉強したり、実務を積んだりして高めておく必要があります。

数字に弱いと理論の裏付けが弱く、説得性の高いDD資料や事業計画は作成できません。

 

【参考記事】銀行が、提出した経営改善計画を認めない3つの理由

 

金融支援枠組み変化を予測して、診断士も準備する

 

私の見立ては、上記のように資本性劣後ローンや中小企業ファンド導入に際して、診断士に対する期待が増してくるのではないか、ということです。ただ、人それぞれ、やり方は違ってくると思います。

新しい生活様式が始まり、消費行動も変化しています。消費行動の変化に伴い、支援先企業も動き出しています。

金融支援の枠組みも進化しています。

診断士も事業です。今後の見通しを立てて準備しておくことが必要ではないか、と感じるのです。

 

 

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