お問合せ

【銀行融資の不動産担保】評価方法と抵当権・根抵当権の違い|担保があっても融資が出ない理由(2025年版)

「銀行融資を受けるのに、不動産担保は必須?」

「担保に入れる不動産の評価額って、銀行はどうやって決めているの?(銀行 担保評価)」

「抵当権と根抵当権って、何が違うの?」

「十分な価値のある担保があるはずなのに、なぜ銀行は融資してくれないの?(担保あるのに融資しない)」

会社の事業拡大や設備投資、運転資金の確保のために銀行融資を検討する際、「担保」は非常に重要な要素となります。特に不動産は、多くの中小企業にとって主要な担保提供資産です。しかし、その担保の評価方法や、設定される権利(抵当権 根抵当権の違い)、そして「担保があるのになぜ融資が受けられないのか」といった疑問を持つ経営者の方は少なくありません。

この記事では、ここ愛媛県をはじめ多くの中小企業をご支援してきたコンサルタントとして、銀行融資における不動産担保の基本的な考え方、抵当権と根抵当権の違い、銀行が行う担保評価(「銀行 担保評価」)の実態、そして「担保あるのに融資しない」と言われる状況がなぜ起こるのかについて、分かりやすく解説します。

銀行融資における担保とは?

まず、基本的な用語を確認しましょう。

有担保融資と無担保融資

銀行融資には、大きく分けて「無担保融資」と「有担保融資」があります。

・無担保融資: 担保を提供せずに、企業の信用力(決算内容、事業性など)に基づいて行われる融資。

・有担保融資: 土地・建物などの不動産や、預金、有価証券などを担保として提供し、それを裏付けとして行われる融資。
一般的に、融資額が大きくなる場合や、返済期間が長期にわたる場合、あるいは企業の信用力が十分でない場合には、有担保融資となるケースが多くなります。

不動産担保が主流

担保には様々な種類がありますが、中小企業の融資においては、会社所有または経営者個人所有の**土地・建物といった「不動産」**が担保として提供されることが最も一般的です。本記事では、この不動産担保に焦点を当てて解説します。

抵当権と根抵当権:知っておくべき2つの権利の違い

不動産を担保に入れる際、銀行はその不動産に対して「抵当権」または「根抵当権」という権利を設定します。この二つは似ていますが、性質が異なります。

抵当権とは?

・特徴: **特定の一個の融資(債権)**を担保するために設定されます。
・効力: その特定の融資が完済されると、抵当権も消滅します。
・主な用途: 住宅ローンや、特定の設備投資のための融資など、一回限りの融資で利用されることが多いです。日本政策金融公庫などの政府系金融機関も、抵当権を主に利用します。

根抵当権とは?

・特徴: 特定の融資ではなく、**あらかじめ設定した「極度額(きょくどがく)」という上限金額の範囲内で、将来にわたって発生する複数の融資(債権)**をまとめて担保します。
・効力: 個別の融資を完済しても、設定した極度額の範囲内であれば権利は消滅せず、反復して利用可能です。
・主な用途: 企業との継続的な融資取引(運転資金の借入・返済など)が見込まれる場合に、民間銀行が設定することが多いです。その都度、担保設定の手続き(登記費用や手間)が不要になるメリットがあります。

(注意点) 根抵当権は融資残高が減っても極度額は変わりませんが、万が一、会社が返済不能になった場合に銀行が回収できるのは、その時点での実際の融資残高(+利息・損害金)が上限であり、極度額満額ではありません。

使い分けとメリット・デメリット

・根抵当権: 銀行にとっては反復取引がしやすく、企業にとっては追加融資の際に手続きが簡便になるメリットがある一方、設定した不動産が広範囲の借入の担保になってしまう側面があります。

・抵当権: どの融資に対する担保かが明確ですが、融資の都度設定が必要になる場合があります。

銀行は担保不動産をどう評価する? (銀行 担保評価)

銀行は、担保として提供された不動産の価値をどのように評価しているのでしょうか? これが「銀行 担保評価」です。

評価プロセスの概要

銀行は、独自の評価システムや専門部署、場合によっては外部の不動産鑑定士などを活用して、担保価値を算出します。

① 時価額の算出(路線価・公示価格等を参考)

まず、土地については国税庁の「路線価」や国土交通省の「公示価格」、都道府県の「基準地価」などを参考に、立地条件、形状、法規制などを考慮して時価(市場で売買されるであろう価格)を推定します。建物については、構造や築年数に応じた再調達価格から経年劣化分を差し引くなどして時価を算出します。

② 担保掛目の適用(時価額からの割引)【重要】

次に、算出した時価額に対して、「担保掛目(たんぽかけめ)」と呼ばれる割引率を掛け合わせます。 これは、銀行が万が一担保権を実行して不動産を売却処分する場合に、市場価格よりも安価でしか売れない可能性や、売却にかかる時間・費用などを考慮した安全マージンです。
担保掛目は、物件の種類(土地、建物、マンション等)や所在地、用途などによって異なりますが、一般的に時価額の50%~80%程度になることが多いです。

結果:「担保評価額」は時価より低い

したがって、銀行が融資判断の基準とする「担保評価額」は、経営者が考える「市場価値(時価)」や「購入価格」よりも、かなり低くなるのが一般的です。例えば、時価1億円と評価された土地でも、担保掛目が70%なら、銀行の担保評価額は7,000万円となります。

なぜ「担保評価」で行き違いが起こるのか?

この銀行の評価方法と、経営者の認識との間にギャップが生じることが、しばしば行き違いや不信感の原因となります。

銀行の「担保評価額」 vs 経営者の「取得価額・簿価・期待値」

銀行: 上記の通り、**保守的(シビア)な時価評価に、さらに担保掛目を適用した「処分可能価額」**を見ています。
経営者: 不動産を購入した際の**「取得価額」や、決算書上の「帳簿価額」、あるいは「これくらいで売れるはずだ」という市場での期待値**で考えがちです。特に土地の場合、取得時より時価が下落しているケースも多くあります。

この評価基準の違いが、「1億円で買った土地なのに、銀行の担保評価は5,000万円しかないのか!」といった認識のズレを生むのです。

銀行の評価はなぜシビアなのか?

銀行が保守的な評価を行うのは、融資が焦げ付いた場合に、迅速かつ確実に回収できる価額を見積もる必要があるためです。理想的な条件で時間をかけて売却できる市場価格とは異なる基準で評価しています。

「担保あるのに融資しない」銀行の真意は?

経営者にとって最も納得がいかない状況の一つが、「これだけの価値のある担保を提供しているのに、なぜ銀行は融資してくれないんだ?(担保あるのに融資しない)」というケースでしょう。これには、担保に対する根本的な考え方の違いがあります。

担保は「最後の砦」であって融資の主目的ではない【最重要】

**銀行融資の審査において、最も重要なのは「事業そのものの収益力と、それによる返済能力」です。担保は、あくまで「万が一、返済が困難になった場合に、損失を補填するための最後の手段(保険)」**という位置づけです。銀行は、担保を回収することを目的に融資をしているわけではありません。

返済能力(事業性)の評価が最優先

したがって、たとえ十分な価値のある担保があったとしても、会社の業績が悪化していたり、提出された事業計画の実現性が低いと判断されたりすれば、銀行は「返済能力に懸念あり」として融資を見送ります。 銀行は、担保処分という手間とコストのかかる事態は避けたいのです。

担保評価額が融資希望額に満たないケース

もちろん、返済能力には問題がないと判断された場合でも、銀行の保守的な担保評価額が、希望する融資額に対して不足しているために、融資額が減額されたり、追加の担保や保証人を求められたりするケースはあります。

[関連記事:担保アリでも融資ナシ!?銀行が教えない不動産担保の真実]

まとめ:担保は重要だが、事業の健全性が第一

銀行融資における不動産担保について、その種類(抵当権 根抵当権)、銀行 担保評価の方法、そして「担保あるのに融資しない」理由を解説しました。

・抵当権は特定の融資、根抵当権は極度額内の反復利用が可能な権利。
・銀行の担保評価額は、時価からさらに割り引かれた保守的な金額。
・銀行融資の審査では、担保の価値以上に、事業の収益性と返済能力が最優先される。

担保は重要な信用補完手段ですが、それだけで融資が決まるわけではありません。日頃から事業の収益力を高め、健全な財務内容を維持することが、安定した銀行取引と円滑な資金調達の基本となります。銀行に担保評価について疑問があれば、遠慮なく質問し、その評価根拠について理解を深めることも大切です。

この記事が、貴社の銀行との担保に関するコミュニケーション、そして融資戦略の一助となれば幸いです。

 

ご相談はこちらからどうぞ。☟

「【銀行融資の不動産担保】評価方法と抵当権・根抵当権の違い|担保があっても融資が出ない理由(2025年版) 」
ご覧いただきありがとうございました。

「銀行融資審査の考え方」 関連の記事一覧

お問合せ
セミナーの依頼
 
注目の記事カテゴリ

経営者の方へ

銀行員の方へ

中小企業診断士の方へ

ページトップ