先日、三重県の伊勢市産業支援センター主催で、セミナー講師をする機会があった。
演題は主催者要望で、「銀行は貴方をどうみるか?」~元銀行員が語る 融資を受けられる人、受けられない人。
講義した中から、何項目か当コラムで話してみたいと思う。まず第1回は、「銀行へのプレゼンテーション」について。
融資を受けるためには、銀行へ事業計画書を提出し、なぜ資金が必要なのかについて説明する必要がある。
□融資を受けられない人は、
・話が大きく、抽象的に夢を語る
・コンサルタントや税理士が同席し、事業プランや計画書の説明をこれら専門家が行う
□融資を受けられる人は、
・話が具体的で、内容に現実味がある
・コンサルタントや税理士は、裏方に徹し、経営者自身の言葉で事業プランを説明できる
事業者からすれば、大きな夢を語れば、今後の将来性が銀行に買われ、融資が出やすくなるのではないか、と思いがちだ。しかし、銀行は抽象的で大きな話より、具体的で堅実な計画を評価する。
また、融資申込の際、専門家を同席させることがある。えてしてそういう場合は、経営者が数字に弱かったり、事業計画を専門家に丸投げしてたり、する。社長は、専門家を連れて行けば銀行の評価が上がるだろう、と思っている。
専門家は、クライアントにいい顔をしたいので、事業計画を積極的に説明する。
でもこうしたことを、銀行はあまり評価しない。銀行は経営者自身の口から、事業プランについて聞きたいのだ。つたない言葉でも良いので、自分自身で説明すべきだと思う。自分で説明するためには、事業プランを頭に入れる必要がある。
もちろん専門家が前面に出て行く例外的なケースもある。(例えば認定支援機関制度を活用する「経営改善計画策定支援事業」の場合など)。しかし基本的には、専門家は裏方に徹する方が良いのだ。
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