前回まで5回に渡り、「ちょっと考えたい中小企業のその財務対応」と言うテーマで、色々な事例をお話してきた。
その総括として、今日は、「経営者は数字に対してどうあるべきか」について、自分なりに考えをお話したい。
今までお話してきた通り、私が中小企業の財務対応について「???」と感じたことは、ほとんどが経営者の財務知識不足に起因している。
経営者にも様々なタイプがいる。顧客との交渉事など営業が得意なタイプ、現場が得意な職人タイプ、部下に信頼されてる親分タイプ。。。
その中に、「自分は数字に強くないから、経理担当者や嫁さん、税理士などに任せているんだ」という経営者も結構いる。
このタイプの経営者の元では、事業が順調な時は特に問題はない。明るくて前向き志向なので、プラスに歯車が回る。問題が起こるのは、決まって業績下降局面だ。私が22年間の間、接してきたケースでは、計数面に弱い経営者が、順調に経営しているケースも確かにあった。しかし一方で、業績が悪化した会社の経営者の多くは、計数面に関心が薄く、計数把握力が弱かった。
計数関係に弱い経営者は、数字で分析ができないので、状況に気付くのが遅れる。そして、改善策が抽象的で中途半端になる。
逆に、日頃から計数管理ができて、大まかな傾向をつかんでいる経営者は、どこに問題があるか理解できている。例えばこの部門の業績が悪化しているとか、この商品の利益率が落ちているとか、この取引先のシェアが低下しているとか。だから素早く改善策を打つことができる。
一方、計数管理が弱い経営者は、悪く言えば現場に逃げる。現場で汗を流しているれば、仕事したような気になるからだ。そして見て見ぬふりをして、財務や資金繰りを他人に投げて、自分は現場作業に没頭したりする。
しかしこの局面で大切なのは、現場ではなく、経営だ。現場は社員に任せて、経営に集中する必要がある。
経営者がおおらかで、「財務などは嫁さんや経理担当に任せておけばよい」、と言うのが通用したのは、右肩上がりの経済成長の時期だ。今はもう、そういう経営環境ではない。経営者が、自社の計数面が分からないとか、財務関係に無頓着だ、とか言う状態はリスクが高い。
特に中小企業の経営者は、自社の計数面には常に関心を払い、把握しておく必要があるのだ。
以上、6回に渡り、「ちょっと考えたい中小企業のその財務対応」についてお話してきた。参考にして今後の活動に役立てていただければ幸いだ。
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