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ちょっと考えたい中小企業のその財務対応⑤~粉飾決算の怖さ~

今回は「粉飾決算の怖さ」についてお話したい。

決算書の粉飾には、おおまかに2種類ある。

 

意図的な粉飾

 

一つは、意図的な粉飾決算。少し前に東芝(中小企業ではなく大企業だが)で問題になった。あの大企業が粉飾決算発覚で、窮地に追い込まれたことは記憶に新しい。

 

中小企業の場合は、経営者が経理担当者や税理士に働きかけることが多い。対取引先や対銀行向けに、お化粧した数字を見せることで、取引の打ち切りや融資ストップを防ぐなどの意図がある。売上金の架空計上や、在庫の水増し、経費の過少申告、債務の簿外処理などがある。

 

知識不足から生まれる粉飾

 

もう一つは、意図されずに行われる、悪質ではないが、結果的な粉飾。これは、経営者の財務知識の不足に起因することが多い。売上代金計上時期が不適正だったり、経費の計上漏れ、減価償却(減価償却は税法上は任意)をしなかったり、不良在庫の処理をしていなかったり、売掛金の焦げ付きの放置、などがある。

 

上記いずれのケースも見かけは実態よりよく見え、利益が過大に計上される。

 

罰則が明確にある上場企業(上場廃止や告訴)と比較すると、中小企業には粉飾決算に対する処分が見えづらく、経営者は粉飾決算に手を染めやすい。粉飾決算をすると利益がたくさん出て、その結果、税金をたくさん納めることになるので、税務署からのお咎めはない(逆に喜ばれるかもしれない)。

 

しかしながら、中小企業の決算粉飾には、以下3点のリスクがあると考えられる。

 

黒字と勘違いして、対策が遅れる

 

①自社の実態が見えなくなり、勘違いしてしまう

中小企業で、自社の業績管理用の収支実績表を作成している会社は少なく、ほとんどが税務署提出用の決算書を代用し、自社の業績を確認している。そして、適正処理を施されていない粉飾された決算書を見て、それが黒字であれば、自社は黒字なんだと勘違いしてしまう。結果、今後の事業推進の方向や設備投資などについて、誤った経営の意思決定を引き起こしてしまう。また、正しい姿を把握できていなので、業績悪化時に経営改善の取組が遅れる。

 

赤字なのに税金を支払い資金繰りが悪化

 

②実際は赤字なのに、税金支払いで資金流出して、資金繰りが厳しくなる

本当は赤字で、ただでさえ資金繰りが厳しいのに、その上税金支払いで資金を準備しないといけない。また次年度以降に黒字が発生した場合、本来なら利用できる繰越欠損金が、活用できない。

 

 

銀行からの融資ストップ

 

③銀行に粉飾決算を見破られると、今後の資金調達に支障をきたす

銀行は決算書を念入りにチェックし、粉飾が発覚すれば、非常に厳しく評価する。特に意図的な粉飾が発覚した場合には、場合によっては新たな資金提供をストップすることもある。「信頼していたのに騙された。」と銀行員は怒りを抱く。また、経営者の知識不足から発生した粉飾に対しても、「この経営者はこんなに計数面に弱いのか、融資して大丈夫だろうか。」と、不信感を抱く。

 

以上のように、粉飾決算は様々なカタチで、中小企業の経営に悪影響を及ぼす。粉飾は一時的な逃げの対策だ。いずれ必ず大きな問題になって、企業に跳ね返ってくる。やらない方が良い。

 

どのような処理をすると粉飾になるのか、何をしてよくて、何をしてはいけないのか。経営者として自分の考えと、そして基本的な財務知識は持っておきたいものだ。

 

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