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マイナス金利導入で、銀行の動きはどう変わるのか

先週、日銀がマイナス金利導入を発表しました。

今まで、ゼロ金利は聞いたことがあっても、マイナス金利というのは、あまり耳にする機会がなかったように思います。実はこの金融政策、先行してユーロ圏で実施されているようです。

マイナス金利?おかしな響きですが、つまり預金をすると金利を払わないといけない、ということです。荷物を預けると、預かり賃をとられますよね。それと同じ原理です。

しかしご安心ください。私たち個人が預けている預金の事ではありません。銀行が日本銀行の当座預金に、これから新規で預け入れる預金に対して手数料を取るということです。

銀行は預金者から集めた余剰資金を、日銀の当座預金にプールしています。本来は貸付や投資に回されるべきですが、リスクがあるため、一部を日銀当座預金に入金し、預金利息をもらっています。

今回のマイナス金利導入では、新たに日銀当座預金に預けると、手数料を取られます。銀行はその資金を中小企業貸付や、債権や株式に回すため、お金の周りが良くなり、その結果経済が活性化する事。。。日銀はそれを狙っているようです。

銀行への影響としては、中小企業への貸出金利が低く抑えられ、収益の源である利幅(貸付利息と預金利息の差異)が減少することが挙げられます。すでに国債利回りは低下し、それを基準に決定される住宅ローンや長期資金の金利も、今後低下が予想されます。

銀行は、今までのような守り中心では、厳しい状況が予想され、ある程度リスクをとって攻めていく姿勢が必要でしょう。事業性評価融資なども増えてくる可能があります。

横並びではなく、銀行の色を出した融資姿勢(リスクの高い融資先には金利を高く設定し、支援するなど)を含む事業展開が求められそうです。特に地方銀行は、ある程度リスクをとって地域経済を支えてもらいたい、と個人的には思います。

中小企業や会社員など、顧客側の影響はどうでしょうか。住宅ローンの金利は、過去最低を更新してくると思います。では中小企業の融資金利は、同じように低下と言う形で影響してくるのでしょうか。

私は、そう一本調子には低下しないと思います。金融庁は現在、全国の中小企業経営者をヒアリングのため、直接訪問しています。そこで経営者からは、「地域金融機関には金利より、経営に対する理解を求める」という声を多く収集している、と聞きます。そのため、地域金融機関には、融資先に対して、リスクに見合った適正金利に修正していくべきだ、と考えている向きもあるようです。つまり監督官庁は、金利のダンピングによる過当競争ではなく、適正な金利設定を望んでいるということです。

経営者側も、考えを変える必要があります。銀行に「低い金利」ばかりを求めるのではなく、お互いが長く付き合えるような関係性を構築していくべきではないでしょうか。自分たちに置きかえても、顧客に低価格ばかり求められても困りますよね。銀行も同じです。

銀行との付き合いの基準は、「低い金利」より、「設備投資など必要な時や、事業が苦しく困ったときに、タイムリーに資金を提供してくれる」事の方が、重要だと思います。

そこで一点気をつけておきたいのは、銀行が融資姿勢を積極に転じたとき、「じゃあ折角だから借りておこうか。」と、安易に融資をうけないことです。考えなく借りてしまうと、過剰債務となり、その後返済負担に苦しむことになります。あくまでも自社の事業展開に合致した資金調達をするべきです。

以上のように、初めて導入された「マイナス金利」。色々な影響がでてきそうです。経営者としては、自分なりに影響を予測し、対策を立てておく姿勢が必要かもしれません。

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