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ネットによる価格破壊~無料とどう戦うか、もしくはうまく活用するか~

長年事業を営んでいる経営者にとって、消費者の購買行動の変化、価格破壊は、頭の痛い問題かもしれない。

以前と違って現在は、売り手(事業者)より、買い手(消費者)の方が情報を持っていることもある。インターネットで情報がタダ同然で手に入るからだ。消費者は事前に下調べするか、もしくは購入前にネットで安い値段を確認してから、その商品やサービスを購入するかどうか決める。売り手にとっては厄介な時代になった。経営者と話をしていても、「ネット化で価格破壊が進む以前のように利幅が取れなくなった」という話を聞く機会が増えた。

我々コンサル(専門家)にとっても同じだ。知りたいことがあれば「ウィキペディア」で調べれば、大筋は分かる。専門家が囲い込んでいた専門の書式だって、ネットで無料書式をダウンロードできる。グーグルに検索ワードを入れれば、会いたい人や情報に近づくことができる。このように専門家にとっても、囲い込んでいた知識が一部コモディティ化し無料で手に入れることができてしまうなど、難しい時代になった。

様々な業界で、今まで有料(十分に利潤が取れる)だったものが、ネット世界から無料(またはディスカウント価格)という競合の進出により、価格破壊が起こり、販売価格が限界利益割れに近づいているのだ。そのため、無料と戦うのか、もしくはうまく活用するのか、など、『無料といかに付き合っていくか』、を考える必要がでてきた。

例えば、音楽業界においては、音楽や動画は無料で配信されている。今まで主力であったCDの売上は激減したが、かわりに無料配信で新たなファンを開拓したり、既存ファンのロイヤルティを高めたりして、コンサートライブやグッズ販売を増加させることで、収益の柱を切り替えた。無料とうまく付き合っている事例だ。

一方で、これから起業する人間にとっては、ネットの進展による無料化や価格破壊は、大きなチャンスともいえる。ネットを活用してyoutubeで広告収入を手にしたり、facebookで世界を相手に販売促進をしたり、HPを活用して低コストで集客したり、工夫をすればいくらでもチャンスが生まれる。設備投資や人件費負担を気にせず、低コストで事業を展開できる事業も増えた。

「フリー」の著者クリス・アンダーソンは言う。「あなたがどの業界のいようとも〈無料〉との競争が待っている」と。そして解決策は、「フリーと競争するためには、贅沢を素通りしてその近くで希少なものを見つけること。」「もしも自分のスキルがソフトウェアにとってかわられてコモディティ化したならば、まだコモディティ化されていない上流にさかのぼって行って、人間が直接かかわる必要のある、より複雑な問題に挑めばよい」と説く。簡単に言えば、「ネットとの差別化」か。

皆さんは、〈ネットによる価格破壊〉や〈無料〉と、どのように戦っているだろうか、もしくはうまく活用しているだろうか。

「ネットによる価格破壊~無料とどう戦うか、もしくはうまく活用するか~ 」
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