銀行と融資取引をしていると、何かと頼まれ事をされることがあります。
例えば、銀行の決算期である3月や9月に預金量や融資量の残高アップを依頼されます。具体的には、「決算期をまたぐ短期借入金を借りてください。」とか、「他銀行の預金を自銀行に移動させて下さい。」などです。
銀行にとって3月と9月は最も大事な月で、この数字が銀行の業績の判断材料になります。(最近は4半期決算が発表されるため、6月12月も大切になっています)。そのため、この時の預金や貸出金の残高をできるだけアップさせておきたいと考えるのです。
そこで気をつけなければならないのは、3月9月に限りませんが、銀行がこうした「お願い」をしてきた時が、自社の決算期とダブっていないか、頭に入れたうえで、依頼を受けるかどうか判断する、ということです。
当たり前のように感じますが、実際は「お世話になっている銀行からの依頼だから」と引き受ける経営者が案外と多いのです。どんな問題が起こるのでしょうか?
例えば預金の場合、サブバンクや3番手以降の銀行から預金依頼があり、メインバンクから残高を移したとします。すると、決算書の付属明細書にメインバンクの預金残が少なく、依頼を受けた銀行の預金残が多く記載されてしまいます。当然メインバンクはいい顔をしません。
また、融資で言えば、不要な融資を受けることで、自己資本比率の低下や、負債比率の増加に繋がり、自社の格付けが低下します。格付けは決算書を基にされますから、格付けが低下すると、金利も上昇しますし、今後の追加融資についても不利になります。
残念ながら銀行は、こうした企業にとって不利になることより、自社の業績が優先です。(特に決算期は)。だから、上記のような不利になることを自社で把握して、対応を慎重に考える必要があるのです。
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