今日は起業について考えてみます。
私も銀行員から脱サラし、起業して8年が経過しました。
経営コンサルタント業の一経営者として、事業継続に不安を覚えながらやってきましたし、事業を続ける限り、これからもそうでしょう。
一方で、銀行員時代に17年、コンサル8年を合わせると合計25年間、数多くの中小企業経営者と向き合ってきました。
組織時代に非常に優秀で人柄が良くとも、必ずしも事業が継続できているわけではありません。
事業を断念した事例に接すると、他人ごとではなく、私自身も自分の事業が心配になります。
「何が続く起業と続かない起業を分けるのか?」
最近よく考えるのですが、なかなか答えが出ません。ただ自分の記憶をたどって、自分が接したことから、推測することはできます。
今日は、「続かない起業」に絞って考えてみます。
当たり前ですが、売上が立たないと、起業は続きません。
ただ起業するときは、夢が先行していますし、周りの業者さんも色々勧めてくれます。
「考えていたほど、売上が立たない」にも、いくつかのパターンがあります。
☑そもそもその商品、サービスに思ったほど、ニーズがない(魚のいない川で釣りをしている)、
☑最初は売れたけれど、類似品があとからたくさん出てきて競争が激化した、
☑一度売れたけど、リピートがない、
などです。これらは当初計画の甘さが原因です。
対策は、顧客リサーチのためのお試し販売をしてみる、先行している類似業者を徹底的に調査して自分のプランと比較してみる、などが有効でしょう。
顧客から見て、「あなたの商品・サービスをどうしても必要とする理由はなんでしょう?」
他にないからか?利用することで良い気分になるからか?自分のお困りごとを解決してくれるからか?
この部分が曖昧だと、商品・サービスは売れません。
また悩ましいのは、類似品が次から次に出てくることです。価格競争になり、収益も圧迫します。
売上を継続的に立てていくためには、顧客に自社の商品・サービスを購入してもらう強いニーズが必要です。そのために商品・サービスを常にアップデートしていく必要があります。
私の場合は(コンサル業で特殊かもしれませんが)、起業最初の3年間は、行政のコーディネータとして週3回勤務しながら、夕方以降と残り3日間に事務所業務をしていました。
行政のコーディネータ業務を通じて、起業当初に不足する信用と実績を積み上げながら、生活費も確保しました。そしてその間、顧客が自分のサービスを必要とする理由を探しました。
その後3年した時点になり、事務所業務1本に集中するという段取りを踏むことで、起業リスクを低減しました。その時点では必死でしたが、この方法は今考えると、自分の力を試すという意味において、お試し販売に通じるところがあるかもしれません。
起業すると、資金との戦いになります。脱サラしたのなら、今までもらっていた給料がなくなります。
このプレッシャーは、大きくのしかかります。
資金繰りに行き詰まるのは、前述した「売上が立たない」はもちろんそうですが、それ以外の要因もあります。
例えば、過大投資、固定費負担、在庫です。
過大投資には、銀行借入や補助金が高い確率で関係します。
私も銀行員時代に接したのですが、実は自己資金を多く持っている人や社会的信用の高い人が、過大投資を結構やってしまいます。
銀行も自己資金が多かったり、社会的信用の高い人(今まで勤務先で実績を上げた人)に、積極的に融資します。
融資や補助金を受けるのが上手な人も、必要以上の融資や補助金を受けてしまうという点で、リスクがあります。
融資や補助金を受けるのが上手いということは、プレゼンや企画立案に関して能力が高い、ということです。
しかしながら一方で、融資や補助金が多く出ると、どうしても過大投資につながりやすいのです。過大投資をしていると、支払いが多くなったり、途中で事業から撤退しづらくなったりするため、業績が悪化したときに焦ります。
焦りは、強引な営業や無理した販売につながり、結果、事業継続に必要な信用を低下させます。
固定費負担は、主に人件費や家賃です。売上があがらなくとも、固定費は同じだけかかります。
売上が上がらないのに、人件費を払っていると、経営者は従業員に対して厳しく当たってしまい、雰囲気がギスギスします。
在庫も売れないと、すぐに陳腐化して破棄する必要が出てきます。
対策として一番良いのは、起業を検討する際、①投資が少なく済み②固定費が少ない③在庫を持たない 事業や業界で勝負することです(だからユーチューバーが増えているのだと思います)。
もしそれが難しいのなら、起業当初は、初期投資や固定費を抑えたスタートに注意すれば良いでしょう。
業者から相見積もりをとったり、固定費の外注化を検討したり、色々方法はあります。
投資額は、厳しめの事業計画と照らし合わせながら、検討します。
耳当たりの良いことばかりではなく、自分に客観的な分析を踏まえた厳しめの意見(決して批判一本やりではなく)をぶつけてくる人を大切にします。
厳しめの意見をクリアしていけば、その過程で事業プランも精度を増してくるでしょう。
以上、起業して続かない2つのパターンとその対策について、考えてみました。
全てこの話通りではないと思いますが、少しでも参考になると幸いです。
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