金融円滑化法 出口戦略の現在、第4回目は「資本性借入金の活用」についてお話します。
資本性借入金とは、会計上は借入金として負債に計上されますが、銀行が企業の財務状況を判断する際に、負債ではなく資本と見なすことができる借入金のことをいいます。具体的には、DDS(デッド・デット・スワップ)があります。
DDSとは、特約(コベナンツ)を課して、対象の借入金を劣後ローン(他の債務よりも弁済順位が劣る借入金)に借りかえる手法です。企業側からのメリットは、銀行が劣後化した部分を資本と見做してくれるため、信用力が向上することです。銀行側から見ると、債権を別の債権に変更するだけの手法であり、債務者が最終的に返済義務を負うことには変わりがないため、比較的実行しやすいと考えられます。債務免除ではないため、課税上の問題は発生しません。
金融庁は、このDDSの活用を出口戦略の重要ポイントと考えています。2011年11月に「資本性借入金の積極活用について」を公表し、銀行の積極活用を促しています。しかしこのDDSを活用できる企業は限られているのが現状です。それは活用に「地元での有力企業で雇用に貢献している」「過剰債務が経営不振の原因である」「本業のCFが黒字で、DDS活用で経営改善が進み、経営再建が可能となる」など、それなりの条件が整う必要があるからです。そして銀行に「生き残る企業」と判断される必要があります。
DDSを使いたくても、使えないジレンマがあります。DDSを使うかどうかは、銀行の判断にかかってくるところが大きいと考えます。企業側からDDSの要請をしても現状では難しいのではないでしょうか。
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