先日、雑誌を読んでいると興味深い話が掲載されていました。
イオンが、英小売大手のテスコ日本法人の株式50%を、1円で購入するということです。テスコは日本国内に食品スーパー117店舗を展開し、売上は550億円を計上しています。しかし店舗の半数が赤字であるため、今後投資により経営改善が必要になっています。テスコは近い将来日本から撤退し、イオンが完全子会社にする方向です。
テスコは2003年に日本に進出し、その後日本に約300億円の投資をしてきたと推測されています。それ故、一時売却交渉額は、200億円~300億円とささやかれていました。
破格なのは譲渡金額だけではなく、撤退費用や債務の建て替えなど、テスコは200億円以上の負担をイオンに対して行い、イオンの投資コストはほとんどないということです。
なぜこれほどの悪条件で買いたたかれたのか。理由は、テスコジャパンの店舗サイズの問題でした。立地や店舗サイズがばらばらで魅力がなかったからです。一方、テスコが売却交渉で優先したのは、全店舗の引き受けと約1900人の従業員の雇用の維持でした。そのため売却交渉が難航し、店舗を一括で引き受けられるのは多様な業態を抱えるイオンぐらいしかなかったということが真相のようです。
それほどのコストをかけてまで売却しないといけない、撤退コストとは厄介なものです。近年、外資スーパーの日本撤退が散見されます。
自分たちが成功した方法をその地域に合わせて修正することを「ローカライズ」といいます。欧米と日本の買い物スタイルの違いが原因で、外資スーパーにとって日本でのローカライズは難しいようです。
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