融資を受けている企業にとって、銀行との関係は重要だ。
行き違いにより、銀行との信頼関係にヒビが入れば、資金調達に支障を来すこともある。
銀行と事業者の関係は、どちらが上でも下でも、有利でも不利でもない。手をとりあって、お互いが対等な事業パートナーとして良い関係を築くことができれば、心強い。
しかしながら、事業パートナーである双方の考え方には、確実にギャップが存在する。
どのようなギャップがあるのか。経営者としては知っておくと良いかもしれない。今回から何回かに渡り、「銀行と経営者との考え方のギャップ」についてお話したい。第1回目は、「決算書の見方について」。
経営者の皆さんは、決算書が完成し、担当の税理士事務所から渡された場合、どの部分をまず確認するだろうか?
多くの経営者は、損益計算書(PL)の売上をまず確認するだろう。今期の売上はいくらだったのか。前期と比較して増加傾向か、それとも減少傾向か。増加していればホッとするし、減少していれば不安になる。決算書の中で、売上は経営者にとって最重要項目であろう。
そしてその後、粗利益、営業利益、最終利益を確認し、どの部分でどれぐらいの利益を計上できたのか確認する。
しかしながら、銀行は経営者とは逆から損益計算書を見る。
まず確認するのは、最終利益(税引後当期純利益)。ここが黒字か、赤字か。この部分を最重視する。次に確認するのは、減価償却費。きちんとフル償却できているか。利益調整のために、償却不足を発生させていないか。
銀行員は、損益計算書を下から確認する。理由は、利益+減価償却費が、銀行が融資している貸付金(企業からみれば借入金)の返済財源となるからだ。(利益+減価償却費)がマイナスであれば、会社の預金を取り崩すか、社長個人の預金を投入するか、新たにどこからか借入するか、なにかしらの資金調達をしないと、借入金が返済できない。このことを心配しているのだ。
だから、社長が売上が増えている、業容は拡大し順調だ、と感じていても、先行投資などにより最終利益が赤字であれば、銀行員は渋い感情を持っているかもしれない。
このように、決算書の見方の一部分を説明しただけであるが、銀行と経営者には感じ方考え方にギャップがあるのだ。
次回は、融資の申込みの際に存在するギャップについてお話したい。
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