今回は、「1期赤字が出た際の動き」について考えてみたい。
経営者の皆さんは、黒字が続いてきた企業に、1期赤字が出たとき、どのような対応をするだろうか。案外、すぐに手を打つことをせず、様子を見てしまうことはないだろうか。自社を客観視することは難しい。そして2期赤字が続くとあわてるが、その時はすでに遅いことが多い。
決算後2か月が経過し、税務署提出用の決算書が経営者の手元に届いたときは、すでに次の期が始まっており、恐らく前期の赤字を引き継ぐ流れで、その期も厳しい状態となるだろう。
ポイントは、1期目に赤字が出たときの素早い対応だ。そのために税理士が決算終了2か月後に、決算書をもってくるのを待っていてはいけない。少なくとも決算完了1週間以内には、自社なりに計数を把握し、次の期のスタートを切らねばならない。(もちろんそれより早く、期の途中で対応するのが一番良い。そのためには、期中であっても随時、自社の状況を数字で把握しておく必要がある)。
何をしなければならないのかは、各社置かれた状況によって様々だろう。
経費が膨らみすぎていれば、事業計画の中で経費カットを行う。顧客離れによる売り上げ低下傾向が見られれば、原因を分析し、商品構成の見直しや営業強化を行う。利益率が低下していれば、材料調達や部門別の採算性を分析してみる。
いずれにしろ、ぼんやりしてはいけない。1期目の赤字が出た際には、素早い対応を心掛け、次期は黒字化を目指して動き出す必要がある。2期連続して赤字が出るようなら、それは一過性のものではなく、恒常的な赤字態勢になっている。赤字癖がついた企業が、黒字体制に移行するには大変な労力を要するのだ。
次回は「在庫で利益が水増しされること」についてお話したい。
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