今回は「経営改善計画書作成の注意点」についてお話したい。
私自身色々気をつけていることがあるが、実務をして気付いたことについて、重要と考える点をお話してみる。
それは、「現状分析をしっかりしないと、中身の濃く実態を反映した計画書はできない」ということだ。
現状分析の作業は、デューデリジェンスと類似している。デューデリジェンス(以下:DD)とは、企業を様々な角度から分析調査すること。事業DDと財務DDからなる。中小企業診断士は特に、事業DDを得意分野としている。財務DDは公認会計士や税理士の得意分野だ。
事業DDとは、該当企業が属している業界の特徴を把握したり、当社を取り巻く経営環境を複数の視点から分析することだ。その結果、該当企業が、今後も継続できる企業かどうかを分析する。
私が通常行っている現状分析の手順は、以下の通りだ。
①創業から現在まで当社の歴史をひも解く(会社年表を作る)
主力商品の推移は、業況はどのように変化してきたか、設備投資はいつ行い、どのように資金調達してきたか、銀行との関係はどう変化してきたのか、など
②業界の特徴をつかみ、当社の置かれている現状を分析
業界特有の商慣習は、同業他社との位置関係は、など
③過去10年間の計数実績表を作成
10年をさかのぼり、損益計算書、貸借対照表をチェック。計数実績と会社の歴史年表を突き合わせてみると、「この時期にこんなことがあったので、こういう計数実績になったのか」と、改めて気づくことがある。10年並べてみると色々な事が分かる
④SWOT分析
内部環境(強み、弱み)、外部環境(機会、脅威)について様々な角度から分析する⇒この作業は、当該会社内でプロジェクトチームを組んでもらい、自分たちで気付いてもらうことを主旨として、進めることもある
⑤窮境要因(きゅうきょうよういん:会社の業況不振の理由)を把握する
現在の苦境に至った真の要因を把握し、苦境を乗り越えられる可能性があるかどうかを分析する
⑥経営課題を抽出
自社が抱えている経営課題を抽出、その際、最も重要で解決を急ぐ経営課題を見つけ、改善計画の中で改善策を考えていく
以上のような流れで、現状分析をすることで、『真の窮境要因、真の経営課題』が、あぶりだされる。時間がかかっても、ここをしっかりしておかないと、的を得た経営改善計画書にはならない。逆に現状分析をしっかりしておけば、次に行う「経営改善計画書策定」の工程で、その弱点をつぶしていけばよい、ということになる。
また、現状分析を経営者と一緒にすることで、経営者自身が、自分の意思決定の特徴や、くせに気付く。このことは、今後経営をしていくうえで、意思決定の状況に直面した場合、プラスとなることがある。
私が現状分析を重要だと考えるのは、こうした理由からだ。
次回は財務DDについてお話したい。
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