銀行に新事業展開に関する融資を相談したら、支店長は前向きに検討してくれそうです。
安心していると後日、「あの話、少し難しそうです」。
ガーン。期待していただけに。
何が起こったのでしょう?
それでは、一緒に見ていきましょう。
考えられるのは、本部に反対された可能性です。
銀行融資は、稟議制を取っています。
支店長の権限を越える融資は、本店審査部の了承を得る必要があります。
正式稟議前の事前相談で、本部に難色を示された可能性があります。
そのため最初は乗り気だった支店長の態度が、トーンダウンしたのです。
【参考記事】銀行は融資約束をしない ~融資稟議システムの仕組み~
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)
そもそも最初は乗り気だった支店長。
申し出に対して、「面白そうだ。応援したいな」と考えていたはずです。
それが態度を180度転換。
あなたは不信感を感じるでしょう。
銀行支店長は、若返りが進んでいます。
なかには、融資の修羅場をあまり経験したことのない支店長もいます。
一方本部(本店審査部)には、長年支店長を経験したような海千山千の重鎮が配属されていることが多いのです。
そのような経験豊富な先輩から指摘されると、支店長は言い返せません。
特に温厚な支店長ほど、その傾向があります。
本来は、現場の支店長が会社のことを一番よく知っているはずです。
ただ現場ではやることが多すぎて、会社のことを理解する時間があまりありません。
この会社をこのように支援したい、という明確なビジョンもありません。
あなたは普段思っています。
この銀行とは長い付き合いだから、支店長は会社のことをよく理解しているだろう。
勘違いかもしれません。
会社のことを理解していない支店長は、自分の支援方針に自信が持てないのです。
【参考記事】銀行融資担当者 アタリ、ハズレの見分け方 ~話が通じる担当者、通じない担当者の違い~
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)
銀行支店長の任期は、最近は少し長期化の傾向がありますが、2~3年程度が多いでしょう。
次のステップに上がるためには、短期間で業績を上げる必要があります。
銀行の人事評価制度が、業績向上を評価する仕組みになっているからです。
長いスパンで方針を立て、将来の種をまくことなどは、本来銀行の人事評価基準としてとても大切なことです。
しかし残念ながら、数値化できないため、将来に種をまいても評価されません。
そのため、支店長は短期で業績を上げられる「手数料収入」に傾注します。
具体的には、投資信託・仕組債の販売、保険販売、М&A(成約の可能性が高い案件)、手数料付融資、私募債発行、マッチング手数料などです。
それでも、自分の考えをしっかり本部に伝えられる支店長は存在します。
自分の支援方針に確信をもって、本部と交渉します。
そのような場合、本部も「現場の支店長がそこまで熱心に推薦するなら」と、条件などをつけて、承諾することもあります。
説得できる支店長と出来ない支店長の違いは、会社支援に対する熱意です。
熱意の根拠は、会社に対する理解です。
また、難色を示す本部を説得するために、支店長には戦略も必要です。
政府系銀行や信用保証協会と連携してリスクを抑えた資金調達法を用意したり、投資妥当性を数値で見える化して本部を説得したり、など。
それらは面倒なので、熱意がなければ、避けてしまいます。
上記の様な銀行支店長の特性を踏まえ、会社側で準備できることは、以下のようなことです。
✔ 支店長に会社をよく理解してもらえるよう、年に一度は決算報告に出向く。
【参考記事】銀行へ決算報告に行くときの注意点~準備・段取り・話す内容を徹底解説!~
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)
✔ 普段から工場や商品を見せて、自社に対する理解を深めておく
【参考記事】銀行融資で財務以外にチェックされるポイント ~数字で見えない6つの項目~
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)
✔ 取引銀行を増やしておく(銀行は取引シェアを落とすことを極端に嫌がるので)
【参考記事】メインバンクの概念について~メインバンクが企業にされて嫌なこと~
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)
などが有効策と考えます。
以上、今日は「本部を説得できる支店長、出来ない支店長」について、お話ししました。
今後の貴社の財務安定のために、お役に立てていただけますと幸いです。
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